Scania Japan

【新年のご挨拶】難局面でも挑戦を続けたスカニアと、日本で開花しつつある「サステナビリティ」〜スカニアジャパン 代表取締役社長 ミケル・リンネル氏インタビュー〜

スカニアジャパン 代表取締役社長 ミケル・リンネル氏に聞く、2020年の振り返りと2021年の展望

2021年のグリフィンマガジンは、毎年恒例となった、スカニアジャパンの代表取締役社長 ミケル・リンネル(Mikael Lindner)氏へのインタビュー記事からスタートしたいと思います。

新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で、これまでとはまったく違う年になった2020年。社会・経済など各方面に、大きな影響をもたらしています。スカニアジャパンにおいても、2019年に全国を縦断して、『SCANIA(スカニア)』製品の良さを多くのユーザーに伝えたイベント「スカニアキャラバン」のような、積極的なプロモーション展開が難しくなりました。しかしその中でも、スカニアジャパンの歩みは止まることはなく、日本のスタンダードとなりつつある「スカニアエンジン+シャーシの二階建てバス」を採用する事業者も確実に増えたほか、新しい市場に向けたトラックの投入も行われ、スカニア製品の日本市場での活躍が、さらに見られるようになりました。

そんな激動の2020年と、明るい兆しに期待する2021年について、様々な視点からミケル・リンネル氏にお話を伺いました。

難局面でも様々な挑戦を続けた、2020年のスカニアジャパン

──2020年はコロナ禍により想像もしないような年になりました。スカニアジャパンでは、どのような一年でしたか?

「2019年の11月に、私たちは2020年の計画を立てました。その時は誰も、コロナウィルスのことを知りませんでした。2020年に入った頃の市場はとても活況でしたので、スカニアジャパンも、スカニアキャラバンのような、多くの人にスカニアに触れていただけるようなイベントや、アクティビティをたくさん企画して、1月、2月、3月と計画を進めていきました。しかし、3月の半ばになって、日本のお客様、欧州のサプライヤーに対して、コロナの影響が出始めました。続いて4月から9月前後までの、日本や世界を取り巻いた出来事については、みなさんもご存知の通りです。

今まで誰も経験してこなかった、パンデミックという難局面に対し、日本の多くの企業も、数多くの挑戦や努力を行なっています。同じように、スカニアジャパンでも『アダプト(適合)』と『アジャスト(調整)』というキーワードで対策を進めてきました。これは、マーケットだけでなく、わたしたちの会社組織にも当てはめることが出来ました。その一つが『新しい働き方』という新しいチャレンジで、『ワーク・フロム・ホーム』、いわゆるテレワークと呼ばれるアプローチです。その結果、2020年は、2019年に比べ良い成果を生むことができました。この厳しい状況に耐えてきたことを、私たちは誇りに思っています。」

──2020年は在宅ワーク増加の一方、外出が減ったこともあって、宅配を利用する人が大きく増え、物流の重要性がますます高まりました。それを担う企業の一翼であるスカニアジャパンは、日本の物流市場でどんな役割があると思いますか?

「歴史的に見ても、将来を見ても、物流は社会の中心にあり、とても重要なものです。また、おっしゃる通り、このような危機的な状況では、一層物流の大切さがわかってきました。その物流業界に籍を置く私たちは、物流を担う責任があり、スカニアジャパンでも社会的な責任を負うために、コロナ禍の2020年において1日もサービス工場を閉めることなく、活動を続けました。サステナブルな輸送を行うための、ニーズに即した製品を生み出す責任も持っていますので、今後も、その義務を果たしていく所存です」

「サステナビリティ」の概念が、日本でも浸透し始めた

──日本のトラック・バス市場全体では、どのような動向・傾向がありましたか?

「国内主要トラック・バスメーカーおよびスカニアジャパンでは、数年先まで市場予測を行なっています。コロナウィルスの影響を受ける前から、2020年の市場は前年比で少なくなるだろう、と考えられていたのですが、実際にはさらに大きくシュリンクしており、数値的にはおよそ10%ほどに達するのではないでしょうか。この先、市場規模の水準が2019年頃まで戻るには、さらに数年を要するでしょう。

しかし一方で2020年は、産業界において多くの変換点がありました。先日、日本の大手運送事業者数社と打ち合わせをする機会があったのですが、多くの企業が、二酸化炭素の削減・電動化・石油代替燃料という環境の諸問題を、これまで以上に注目し始めています。日本のトップである首相が、『2050年カーボンニュートラル』に向けた記者会見をしたことも話題になりましたよね。このように、スカニアが提唱してきた『サステナビリティ=持続可能性』という概念に対して、明らかに、日本も同じ方向を向き出した年と言えます」

──元来、日本人には「倹約」「節約」「モッタイナイ」という概念があり、「エコ(エコロジー)」「コストダウン」への関心はとても高いのですが、エコと関連するはずの「サステナビリティ」に関しては、各個人、企業ともに、理解がなかなか広まっていない印象がありました。しかし、いよいよサステナビリティへの取り組み・理解が進んできたということなのですね。

「はい。その変化を強く感じたのです。日本では以前からエコに対する様々な取り組みは積極的に行われてきましたが、さきほどお話しした日本でも有数の大手運送事業者でも、明確にエコとは違う考えとしてのサステナビリティという言葉を使い始めました。歴史がある日本の伝統的な大企業でも、いよいよサステナビリティが、エコという概念を超えて語られるようになったのです。すでに、政府が出した目標を長期的にどうやって達成するかまで考えられており、意識の変化に驚かされました。排出ガス削減だけでなく、従業員の働き方や男女平等、賃金問題など企業の社会的責任までブレークダウンしているのです」

──たしかに2020年は、社会・経済的に苦境したが、逆に、サステナビリティへの理解が進む機会になったのかもしれません。スカニアとスカニアジャパンが唱えていた考え方が正しかった、もしくは時代が追いついてきた、という一年になったのではないでしょうか。

「実際には、多くの人々や企業が、未来に向けた努力を行っていますが、地球環境を守るための二酸化炭素削減などに関しては、一社がひとつのことを頑張っても達成はできません。企業が業種を超えた『日本というチーム』として、さらに世界規模でひとつになって、『地球という惑星』でこれから先も暮らしていくため、サステナビリティというテーマに向かい合う必要があります。2021年は、持続可能性について提唱してきたリーディングカンパニーとして、スカニアジャパンでもさらにこの取り組みを進めていきます」

──まさに大きな変革期がやってきたという印象ですね。

「変革には、痛みを伴うことや、改革へのチャレンジに多くの苦しい状況を迎えることもあります。しかし、その先には必ず成功が約束されていますので、わたしたちは必ずやり遂げなければなりません」

新市場に積極的にアプローチ中

──2020年に、スカニアジャパンがリリースした新製品・進出した新市場について、そして2021年に発売を予定している新製品などを教えてください。

「2020年も、多くのお客様にリジッドトラックや二階建てバスの導入を進めていただきました。また、スカニアジャパンは様々な業種・業態に向けて特化した製品を得意としていますので、お客様の要望にお答えした新しい商品を生み出すこともできました。そのひとつが、日本のタンクローリー牽引用トラクターです。このマーケットで、スカニア製品が採用されたのは初めてです。」

株式会社コーエイ(山梨県中央市)のタンクトレーラー(タンクローリー)を牽引した、スカニアトラクター「G410」。
(Photo_佐藤 大輔) 

安全な石油製品輸送に貢献する、日本初のタンクトレーラー用スカニア 〜株式会社コーエイ様〜 はこちら

──2020年のコロナ禍がいったん収まった頃、取材陣も数社を取材しまして、ユーザーボイスをたくさんお聞きしました。今、お話をいただいたタンクローリー用トラクターは、ニーズに合わせて最適な車両を柔軟に生み出せる「スカニアの美点」が行かされた、「日本にありそうでなかった」トラクターで、管理監督の方・ドライバーを含め、評判がとても高いのが印象的でした。

「私も先日、タンクローリー用トラクターの納車に立ち会いまして、お客様がとても喜んでおられるのを感じられました。私はよく、スカニアを『ツールボックス=道具箱』である、と説明します。スカニアジャパンでは、お客様の使い方に合わせ、より効果的な活用を可能とし、より利益が出るよう、また環境負荷も低くできるよう、道具箱をテーラーメイドで作り上げて提供してきました。その独自性は、お客様にとってとても効果的であり、大きな変化をもたらすものです。

この他、新たなビジネスとして、大型トラックもレスキューできる『レッカートラック』発売に向け準備が進んでいます。ティザー情報として、出してしまいますね(笑)。このように2021年も、新しい提案や、新市場への車両導入を続けていきますので、楽しみにしていてください。」

2018年9月の発売開始後、着実に台数を増やしているリジッドトラック。こちらは2020年に導入された、株式会社カネヨシ(愛知県みよし市)のR410 6×2。

Try & Action!――スカニアが運ぶ未来への想い 〜株式会社カネヨシ〜 「スウェーデンと日本、そしてサステナブル」 はこちら

2021年もスカニアジャパンの発展は続く

──本日は、ありがとうございました。2021年、スカニアジャパンのさらなる発展を期待しています。

「ありがとうございます。先ほどもお話しした通り、苦境を生き残るために、2020年は様々なチャレンジを行い、満足のいく成果を得られました。コロナウィルスの影響で、まだまだ先の見えないこの状況も、次第に収束していくことを期待いたします。2021年は、しっかりと挑戦を続けていきつつ、長い視野で先を見据え、戦略的かつ慎重に動いていこうと考えています。スカニアジャパンは今後も、日本のマーケットに対する永続的な投資を変わらずに進めていきます」

──最後に、グリフィンマガジンの読者、スカニアのユーザー、そしてスカニアファンの皆様にメッセージをお願いいたします。

「2020年は、予定されていたイベントの開催が中止されてしまったため、お客様やファンの皆様と直接会い、お話を聞くことができなかったこと、感謝の気持ちをお伝えできなかったことが残念でした。『カスタマーファースト』のスカニアにとって、お客様は何よりも大切な存在です。そして、スカニア製品の販売・整備にご協力いただいき、物流の担い手として社会の中心で動いていただいているスカニアディーラーにも、「ありがとう」の気持ちをお伝えしたいです。お客様もディーラーも、『スカニアファミリー』です。心から感謝しています。未曾有のパンデミックが過ぎ去るまで、私たちは、安全かつ健康でいることを一番大事にしていきたいと思っています。皆様も、どうぞご健康な毎日をお過ごしください」

サステナビリティについて、知る機会、教える機会を作っていきたい

「私たちが、これから先もこの地球で生きていくために、今からできることを考える」……と聞くと、とてもオーバーに感じるのですが、今やもう、サステナビリティという考えを避けて通れない時代になりました。

グリフィンマガジンでは、これまでもサステナビリティについて、またスカニアジャパンが積極的にサステナビリティの概念を広めるべく努力してきたことを、読者のみなさんにお知らせしてきました。その中で、ミケル・リンネル氏のサステナビリティに関する説明は、持続可能性という概念をあまり持っていなかった私たちにも、とてもわかりやすく伝わりました。そこで、2021年のグリフィンマガジンでは、「日本におけるサステナビリティ飛躍の年」として、積極的にサステナビリティを知る記事、学ぶ記事をお送りしていく予定です。それは、まさにミケル・リンネル氏の希望でもあります。日本におけるスカニアの活躍をご紹介する記事のほか、これからもどうぞご期待ください。

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Text:遠藤 イヅル
Photos:安井 宏充

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