新しい『SCANIA(スカニア)』トラックの発売と全国各地での大型試乗会開催、日本市場に特化した商品を展開する「リジッドトラック(完成車)」の発売や、日本各地の事業者で連節バス・二階建てバスの導入が進むなど、2018年もスカニアジャパンは数多くの話題を提供してきました。販売台数やディーラーの数も増え続けており、毎年大きく前進と発展を続けています。イベントや試乗会、発表会の模様を詳細にお伝えしてきたGRIFF IN MAGAZINEも、日本におけるスカニアの知名度向上や発展を強く感じています。
そこで2019年最初の記事として、2017年6月にスカニアジャパンのCEOに就任したスウェーデン出身のミケル・リンネル(Mikael Lindner)氏に、2018年に感じたこと、そして2019年に予定されているプランなどをお聞きしました。
エキサイティングだった2018年
── 2018年4月には新しいスカニアのトラクターが、そして9月にはリジッドトラックの発売が開始されました。茨城、岡山、大阪などで大規模な試乗会を行うなど、昨年は例年以上にスカニアジャパンの動きが活発だったように感じました。ズバリ、2018年を振り返ったご感想をお聞かせください。
「そうですね、とてもエキサイティングな1年でした。まず、2017年10月の東京モーターショーでスカニア新モデルの発表を行い、大きな反響をいただきました。そして2018年4月からいよいよトラクターの販売を開始、同じく4月には茨城県の城里町で試乗会を行いました(参照記事 スカニア新モデルの試乗会を開催!重量級車両も難なく走らせ停める性能に驚き!)。このときにいただいた新しい製品に対するお客様からのご評価が、東京モーターショーに出展した際のフィードバックを強化するものとなりました。この試乗会も大きな節目になったと感じています。
スカニアの新しいトラクター初の試乗会となった2018年4月、茨城県城里町での模様(Photo _ Yosuke KAMIYAMA)
7月にはお客様をお連れしてスウェーデンのスカニア本社を訪ね、9月にもドイツ・ハノーファーで開催されたIAA(商用車の国際モーターショー)見学も兼ねてお客様とともにスウェーデンに行っています。10月は岡山でリジッドトラックのイントロダクションを含めた試乗会を開催しました(参照記事 スカニアの新モデル“リジッドトラック”試乗会【前編】「パワフルで、快適!」ユーザーの声を聞く)。ウイングボディのリジッドトラックを発売したことはスカニアジャパンにとって大きな一歩となりましたし、日本のトラック市場では大きなシェアを占める、完成車=リジッドトラック分野にスカニアが参入したことへの反響も非常に大きかったです。
昨年も販売台数を更新した記録すべき年になったのですが、私たちの“こころざし”はもっと高いところにありますので、毎年記録を塗り替えていかないとその目標は達成できません。それも重要な仕事のひとつなのですが、それよりも大切なのは、高まってきたお客様のニーズに真摯にお応えすることです。それを達成していけば、必ず販売台数は毎年増えていくものと信じています。
このように、トラックに関して、2018年はとても良い1年になりました。お客様、ディーラーのご協力にとても感謝しています」
スカニア新モデルの発売と今後の成長戦略
── スカニア新モデルに対するお客様からの反響について、具体的な内容を教えてください。
「嬉しかったのは、私たちがスカニア新モデルに対して与えた付加価値や“スカニアの強み”を、お客様が感じてくださったことです。私たちの製品はドライバーを中心に考えて開発を行っていますので、ドライバーの快適性や操作性を大事にしています。お客様からのご評価も、そのポイントに関する内容が多かったです。
私たちはお客様が求める“正しい製品”をご提供している、と感じることができました。パワートレインの効率化と燃費の向上にはスカニアはリソースを大きく割り当てて開発していますので、『燃費が良くなりました』というフィードバックをいただけたことも嬉しいです。燃料をセーブできた、という情報は、実際にお客様がスカニアに乗って、使っていただいたということですものね」
── いよいよリジッドトラックの発売も開始されました。
「リジッドトラックの市場は日本のメーカーが大きなシェアを持っていますので、そこに海外メーカーの私たちスカニアが参入していくことは大きな挑戦だと思います(註:過去、海外のメーカーがトラクターではないトラックの販売をしたことは稀)。この数年、社内でもリジッドトラックの販売について検討を繰り返してきましたが、トラクターへの反響をお聞きして、『トラクターのお客様にご提供できることをリジッドトラックでも提供できるに違いない』、『トラクター販売への情熱と自信を持って、新たなお客様の層に広げていくことができる』という結論に達しました」
2018年に注目を集めたスカニアのリジッドトラック。10月に岡山で開催された試乗会には90名もの参加者が訪れた(Photo _ Masato Yokoyama)
── 発売されて間もないですが、リジッドトラックの反響はいかがですか。
「リジッドトラックには新たに9ℓエンジンが追加されましたが、試乗会では、このパワートレインに対して効率的でパワーも十分にある、という評価をいただいています。馬力とトルクの数値は良く話題になるのですが、重要なことはお客様のトラックの使い方や、オペレーションにマッチしたトラックなのかどうかです。現在の一般的なウィングボディトラックのオペレーションに関して言えば、9ℓユニットで十分と考えております。今後この9ℓエンジンへの反響を調査していきたいです」
── これまでは比較的“ニッチ”なマーケットに向けて販売をされてきたと思います。一方、ウイングボディのリジッドトラックは一般的な市場になり、国産4メーカーのトラックと同じ選択肢に乗ることになります。今後の販売戦略はどのようなものですか。
「現在スカニアグローバルではアジア地域をとても重要視しています。スカニアは長い視点で成長戦略を立てていますが、5年以内にスカニアの販売ボリュームの3割をアジアで販売することが目標です。この成長戦略の中で日本は非常に重要な市場であり、日本市場での成長に高い期待を寄せています。
また、今年スカニアジャパンは創立10周年を迎えます。はじめはニッチなマーケットから販売をスタートしました。スカニアの強みは輸送の領域でも発揮されますので、日本でトラック販売のシェアを広げるには、多くのお客様に選んでいただけるリジッドトラックの取り扱いは“避けては通れない道”です。
そして新しい車種を販売するにあたり必要になるのは、ネットワークの構築と改善です。2018年には5カ所のディーラーがネットワークに加わりました。これは、私たちの構想が計画どおりに進んでいるということです」
高まる二階建てバスの需要
── 2018年はスカニアエンジンを搭載したバスが数多く走り始めました。トピックの多い1年だったのではないかと思います。
「はい、昨年はとても市場が拡大しました。特に二階建てバスは反響が大きく、需要が高まっており、新規受注も多くいただきました。その理由のひとつに、JRバス関東様が二階建てバスを高速路線バスとして運行開始されたことが挙げられます。スカニアエンジンを搭載した二階建てバスは、1台あたりの座席数を多く確保できるので、少ないドライバーでより多くのお客様を乗せることができ、消費燃料も節約することができます。また、乗車口が低床でお年寄りの方や車いすの方の乗降も容易です。スカニアではトラックを持続可能なトランスポートと捉えていますが、バスも同様に“持続可能なモビリティ”なのです」
JRバス関東ほか、さまざまなシーンに導入されることとなったスカニアシャーシのバス(Photo _ Hiromitsu Yasui (weekend.))
今年もスカニアジャパンはお客様のために貢献する
── 2019年、スカニアジャパンはどんなことをされる予定でしょうか。またあっと驚くような新製品や市場への展開を楽しみにしています。
「2018年はひとことで言うと“成長の年”でした。これほどにボリュームを増やせたとことは、私たちが正しい方向に進んでいる証です。引き続き、次の5年間でもこの成長を続けていきながら日本市場に定着していくという未来を信じています。
先ほど述べましたとおり、スカニアのアジア戦略の中で日本はとても重要な市場ですので、投資の対象になっています。つまり、今後5年間において、新しい製品や新しいサービスのご紹介、ネットワーク構築などに取り組んでいきます。私は、それをとても楽しみにしています。これからも新しいソリューションをご紹介する予定がありますので、楽しみにしてください。
私たちがここにいる理由は、お客様のビジネスに貢献するためです。重要なことはお客様にどのような付加価値とベストなチョイスをご提供できるか、お客様のビジネスにどんなご協力ができるのか、ということです。私たちは常にそれを考えて行動しています。2019年はもっとお客様にスカニアを身近に感じていただけるようフォーカスしていきます。そうですね、例えばより多くのお客様にスカニアを体験していただけるような機会をご提供したいです」
(Photo _ Dan Boman)
── ありがとうございました。それでは最後の質問です。GRIFF IN MAGAZINEを読んでいる皆さんに向けて、メッセージをいただければと思います。
「改めまして、お客様にはスカニアの製品、サービスのすべてを信じてくださったことに心より御礼を申し上げます。そして、私たちの活動のすべてはお客様のためにあります。それらをご理解いただき、またご評価いただいたことにも感謝いたします。
日本がスカニアにとって重要な市場になることは確信しておりましたし、これまでも“日本に定着します”という意思を発信してきました。その言葉は間違っていないと今でも確信しています。これからも日本のお客様、パートナー、ディーラーの皆様と一緒に、私たちが市場に新しい価値を生み出していきたいです。これからもたくさん興味深いことをご紹介していきます」
2019年のスカニアにも大いに期待!
ミケル・リンネル氏は屈託のない笑顔で、スカニアジャパンの今と、そしてこれからを話してくださいました。確かに2018年はスカニアジャパン大躍進の一年でした。空港バスや高速バス、連節バスなどが走り始め、身近にスカニア製品と触れることができるようになったことは嬉しいですよね。街ゆくスカニアトラックも日増しに見かける回数が増えています。これまで海外のトラックメーカーでは成しえなかったことを次々と日本市場で打ち出してきたスカニアジャパンは、今年もきっとあっと驚くような製品やサービスを私たちに見せてくれることでしょう。GRIFF IN MAGAZINEでは、これからもスカニアに関する最新かつディープな情報を発信していきます。どうぞご期待ください。
Text:遠藤 イヅル
Photos:Yosuke KAMIYAMA, Masato Yokoyama, Hiromitsu Yasui (weekend.), Dan Boman