約70名もの参加者が集まった2018年11月16日(金)大阪・舞洲で開催されたスカニア新モデル大阪試乗会。「P360 6×2 P17N」「P410 4×2 P20H」「G450 4×2 P20H」の3モデルに試乗した参加者、そして本試乗会を企画した担当者に話を聞きました。
21年ぶりのフルモデルチェンジは日本中で話題沸騰中!
21年ぶりにフルモデルチェンジを果たした『SCANIA(スカニア)』の新モデルは国内各地で多くの注目を集めています。もともとは2016年9月にIAA国際商用車ショー(独ハノーバー)で世界初公開、その後ヨーロッパを中心に世界中で知られる存在となり、日本では2018年4月にトラクターをリリース。そして同年9月にはリジッドトラック(単車)も発売され、大きな注目を集めています。今回フルモデルチェンジしたスカニアの新モデルについては、先ごろ掲載した記事をご覧ください。
さて、この好評の新モデル、やはりその注目度は非常に高く、2018年10月に岡山国際サーキットで開催された試乗会は大きな反響を呼びました。「自分の地元でもやってほしい」という声を多くいただき、そんな声に応えるべくスカニアジャパン株式会社・大阪中央ディーラーが中心となって、2018年11月16日(金)に大阪・舞洲スポーツアイランド「空の広場」でカスタマー向けの試乗会を開催しました。
「P360 6×2 P17N」「P410 4×2 P20H」「R450 4×2 R20H」、3台の試乗車を用意。トラクターとリジッドトラックがあり、お客様が気になるモデルを試乗することができました。
舞洲スポーツアイランド「空の広場」に特設コースを設置。十分な広さがあり、直線では最高60km/hまで出し、その性能を試していただきました。
今回はより多くのお客様に乗っていただくべく、すでにスカニアを導入されている方だけでなく、まだスカニアの車両に乗られたことがないという方もご招待。総勢約70名と、非常に多くの方に試乗いただくことができました。
スカニアジャパンのスタッフが添乗し、操作方法やコースの誘導などを行うため、はじめてスカニアに乗るというお客様も安心して試乗を楽しまれていました。
じっくり乗って、話も聞ける。充実度の高い試乗会
現役プロドライバーから管理職や役員まで、多くの方が試乗。そして、降りた途端に満面の笑みを浮かべられているのがとても印象的でした。
試乗会当日は晩秋の肌寒さを感じる曇天……とはいいつつも、天気予報によれば雨の心配もなく、暑苦しくもない絶妙な試乗会日和。スタートとなった午前10時にはすでに数組の来場者がありました。しかし、特に混み合うということもなく、どちらかというとのんびりとした雰囲気。それもそのはず、事前にお客様には来場時間を告げていて、当日混雑したり、待ち時間が発生しないように調整されていたのです。忙しい合間を縫って来ていただくお客様に無駄な時間を過ごさせず、しかもゆっくりと試乗できる配慮にお客様も満足されていました。
グレードの違いなどを展示したボードに興味津々の来場者。説明をするのは、今回の試乗会を企画した大阪中央ディーラーの森山 元気氏(奥)。
来場された皆様はまずテントで簡単なグリーフィングを受けます。スタッフとほぼマンツーマンなので、わからない点や聞きたいことがあれば遠慮なく聞くことができます。さらにお目当てのモデルに乗り込むと、ここでもスタッフが操作方法を説明。コースも助手席から教えてくれるので、不安なく乗ることができました。もちろん、試乗は1台だけでなく、気になるモデルはすべて乗ることが可能。用意されたモデルすべてに乗るお客様も少なくありません。
そして、はじめのお客様が帰ろうかというときに、次のお客様が来場。混雑することなく、しかしひっきりなしに来場者がやってきます。来場者でごった返す大賑わいの試乗会もイベント的な盛り上がりを感じて楽しいものですが、納得のいくまでしっかり試乗できて、説明も聞ける……こうしてしっかりスケジュール管理の行き届いた試乗会は、お客様にとってとても有意義なものではないでしょうか。
さて、コースはこの日のために広大な「空の広場」いっぱいに設営されたもの。直線では時速60kmまで加速でき、さらに左右のコーナーもあります。サーキットほどではないにしろ、その性能を十分に知ることができるものとなっています。用意されたのは前述のとおり、「P360 6×2 P17N」「P410 4×2 P20H」「R450 4×2 R20H」の3台です。
「P360 6×2 P17N」はスタンダードモデル・Pシリーズをベースに、最高出力360ps(296kW)/1900rpm、最大トルク1700Nm/1050〜1350rpmを発生する直列5気筒9.29ℓの「DC09」エンジンを搭載。日本トレクス製完成ウイングを装備したリジッドトラックです。キャブはノーマルルーフで、日本のリジッドトラックに要求される荷室内長9.6mを確保しつつ、ベッドスペースをしっかりと確保した「デイキャブ(17キャブ)」を採用しています。
「P410 4×2 P20H」もベースはPシリーズのトラクター。エンジンは最高出力410ps(302kW)/1900rpm、最大トルク2150Nm/1000〜1300rpmを発生する直列6気筒12.7ℓの「DC13」です。キャブは広いベッドが好評の「スリーパーキャブ(20キャブ)」。ハイルーフと相まって、広い室内空間が魅力です。
そして「R450 4×2 R20H」は最上級Rシリーズのトラクターで、エンジンはP410と同じ直列6気筒12.7ℓながら、最高出力450ps(331kW)/1900rpm、最大トルク2350Nm/1000〜1300rpmを発生。こちらもハイルーフと広いベッドを持つ「スリーパーキャブ(20キャブ)」仕様となっています。
さらに当日、特別にV8エンジンを搭載したR520も試乗可能となり、来場者の方々を喜ばせていました。V8モデルに限らず、今回は来場者のすべてが、試乗車から降りると満面の笑顔だったのが印象的。これまでのトラックにはない快適性と走行性能の高さを評価いただいたようです。
デザイン、乗り味、ブレーキなど、来場者は一様に絶賛!
ここからは、実際に試乗された来場者の皆様にお話を伺います。
まずは香川県で解体業や運送業を営む有限会社西岡産業で常務取締役を務める西岡 潤さんとドライバーの合田 奉弘さん。お二人ともスカニアに乗るのは今回がはじめてということで、 P360とR520の2台に試乗されました。まずは西岡さんに伺います。
香川県に拠点を置く有限会社西岡産業 常務取締役の西岡 潤さん(左)とドライバーの合田 奉弘さん(右)。
「弊社は海外製トラックが9割、国産が1割の比率で稼働しているのですが、以前からスカニアが気になっていたので、今回試乗会に参加しました。はじめて乗りましたが、印象的だったのはエンジンの吹け上がりの軽さ。それでいてリターダーが良く止まるので、運転が楽しいですね。サスペンションシートも良くて、これなら長距離も疲れにくそう」
そして合田さんからも大絶賛をいただきました。
「AT(12段AMT)がスムーズでラクですね。リターダーの効きも良くて、これなら高速道路でフットブレーキはいらないくらい。これは社長にお願いして、ぜひ導入してほしいですね(笑)」
── 社長がOKを出す可能性は?
「社長はもともと車好きで、しかもヨーロッパ車が好きなんですよ。だから、この良さを説明したらOKが出るかもしれない。車好きが納得するトラックですよ!」
株式会社山城運送の大野木 一仁さん(右から2番目)と坂東 省吾さん(左から2番目)。
続いて京都府綴喜郡の運送会社・株式会社山城運送からは4名で参加。普段は国産に乗っているということでしたが、今回は上司が「スカニアを見てみたい」ということで来場されたとのこと。R450をはじめ、それぞれが2〜3台に試乗していらっしゃいました。今回は代表として、大野木 一仁さんと坂東 省吾さんにお話を伺いました。
「中の広さにびっくりですね! とにかく広いし、デザインも良い。乗用車に近い感覚で乗れます。普段は大阪から仙台までとか、長距離を乗りますが、ベッドの広さも良いですよね。大の字になって寝られるのは嬉しい。それにハイルーフの高さも開放感がありますね!」と、大野木さん。
坂東さんも続けて「高級セダンのようなデザインと乗り味。全体的にトラックではなく、高級車のようなイメージですね。これなら僕、スカニアの中にずっといられます(笑)」と、感想をいただきました。
また、リターダーの効きの良さも高ポイント。大野木さんは「スカニアが導入されたら仕事のモチベーションが上がりますよ。上司にはぜひ導入を検討してほしい!」と、終始笑顔で語っていらっしゃいました。
堀川化成株式会社でドライバーを務める吉富 善衛さん(右)と、取締役・生産管理部長の清水 昭一郎さん(左)。
最後は大阪市鶴見区にある堀川化成株式会社でドライバーを務める吉富 善衛さんと取締役・生産管理部長の清水 昭一郎さん。溶剤のリサイクルなどをおこなう同社では、もともとリジッドトラックは少なく、タンクローリーが多いそうですが、今回すでにスカニアのリジッドトラックを購入予定とのこと。今回は、あらためてその乗り味や質感を確かめるべく、試乗会に参加されました。感想は、実際に導入後にスカニアを運転することになる吉富さんに伺いました。
「フルエアサスの乗り心地は素晴らしい。シートもサスペンションが入っていて、良いですね。視界の広さも気に入りました。今は国産に乗っていて車体価格だけを見れば、スカニアは決して安くはない。だけど、いま言ったような装備を考えると、スカニアはむしろお得やと僕は思います」
九州や関東まで走ることも少なくないという吉富さん。だからこそ走行性能と快適性は重要で、スカニアはそのどちらも十分に満たしていると感想を述べてくれました。
リジッドトラックを購入するため、はじめはP360に試乗されていましたが、実際に購入するのは直列6気筒エンジンの「DC13」。そのため、P410にも試乗されました。
「エンジンのスムーズさが全然違いますね。速い! また、走行モードを変えられるので、ラクに安全に運転ができそう。今回はトラクターでウイング車がついていなかったので、実際荷物を載せたらどういう走りになるのかはまだわからないですけど、期待値は高いですよ。運転好きなら、スカニアはいくら乗っても苦にならないんとちゃうかなぁ……それくらい良いですよ!」
「スカニアの良さを知ってもらうには、乗ってもらうのが一番」
今回の試乗会を企画した大阪中央ディーラーのディーラーマネージャー大柿 文昭氏と森山 元気氏にお話を伺いました。
今回の試乗会は大阪中央ディーラーが主催。企画から段取りまでをおこなった森山 元気氏(右)は前職在籍時にたまたま読んだ「GRIFF IN MAGAZINE」でスカニアを知り、「お客様に喜んでもらえる製品作りをしている」という点に魅力を感じたのだそう。もうすぐ入社丸二年。写真左は大阪中央ディーラーでディーラーマネージャーを務める大柿 文昭氏。今回の試乗会を影から支えてくれました。
── 今回、大阪中央ディーラーが主催となって試乗会を開催することになった経緯を教えてください。
大柿氏「おかげさまでスカニアは好評で、新モデルも好調なセールスを記録させていただいています。その売れ行きも、お客様が口コミで広げていただいている部分が大きく、中には実車を見ずに買われる方も意外と多いのです。もちろん、それはとてもありがたいことなのですが、やはり実車を見ていただきたい。そしてお客様の生の声を聞きたいということがありました。新モデルがリリースされたこともあり、ちょうど良い機会だということで、半年前から企画して、今回の開催に至りました」
── 実際に企画を発案して、準備を進めていったのは森山さんだとお聞きしました。
森山氏「開催の一番の理由はやはり『スカニアの良さを、もっといろいろな人に知ってもらいたい』ということですね。評判を聞いたお客様からお問い合わせをいただくことは多いのですが、見積もりを出してみると『高い』で終わってしまう……。だからスカニアの良さを知ってもらうには、とにかく乗っていただくのがいいな、と。製品の良さには自信がありますから、見積もりの数字だけでなく、乗ってもらうことが大切だと思ったのです」
── 実際に来場者の反応はいかがでしたか?
森山氏「やはり口コミで聞くだけと、実際に乗るのとは大きな違いがありますので、とても喜んでいただけたと思っています。先ほどインタビューされていた堀川化成株式会社のご担当者様も、私どものご紹介とご説明だけで購入を決められたのですが、こうした機会に乗っていただけ、『買って良かったな!』とおっしゃっていただけるのは我々としても嬉しいですね」
── 非常にスムーズな試乗会だったという印象があります。
大柿氏「今回はすべてのお客様が、事前にお知らせした時間通りに来てくださったので、スムーズに運営できました。お客様のご協力もあって、イベントは大成功と言えると思います。今後も半年か、せめて一年に一度は試乗会を開催したいですね」
森山氏「関西のお客様は裏表のない方が多く、忌憚のない意見もどんどん聞くことができます。こうした機会を増やすことで、皆様の意見を取り入れたり、実際にスカニアをアピールしたりと、今後もぜひとも開催を増やしていきたいイベントだと考えています」
── 今後の課題などがあれば、教えてください。
森山氏「より良いサポートやアフターケアの充実です。やはり仕事で使う道具ですし、何かあったときに対処できなければ、お客様に多大な迷惑をかけてしまいます。そうしたことのないよう、さらに充実させていきたいと思います。また、大阪中央ディーラーはスカニアジャパン直営ディーラーです。その強みを生かしつつ、関西各地のディーラーの皆様ともうまく連携して、より良いサービスを手がけたいと思っています」
スカニアの良さを実感してもらう格好のイベント
実際に導入されている会社では絶賛いただいているスカニアのトラクター。今回のフルモデルチェンジではすべてが一新され、そのレベルはさらにアップしたと言えるでしょう。ラインナップはさらに充実し、一層の広がりを見せています。その良さは口コミなどで広がってはいますが、とはいえ やはり安くはない買い物です。だからこそ、その良さを知ってもらうには試乗会で乗っていただくのが一番。
まさに「百聞は一見に如かず」……そんな言葉を実感した一日でした。
PHOTO GALLERY
Text:佐賀山 敏行
Photos:濱上 英翔