スカニアを体感できる全国キャラバン「Scania Caravan 2019」 、ついに北海道へ上陸
2019年は、『SCANIA(スカニア)』ジャパンが創立されてから10周年を迎えるメモリアルイヤーだ。そこで、スカニアジャパンは創立10周年を祝う記念イベントを企画、5月9日から10月15日の約半年にわたって「Scania Caravan 2019」を開催している。この催しは、3台のスカニアデモ車両がキャラバンを組んで全国11カ所のディーラーをまわり、各地で展示会や試乗会を実施して、多くの企業やトラックドライバー、経営者の方々に、北欧生まれの世界的なトラック・バス・エンジンメーカー、スカニアが提供する製品の良さを体感してもらうためのプログラムである。その「Scania Caravan 2019」も、いよいよ終盤を迎えることになり、7月末の埼玉県越谷市に次いでキャラバン隊はついに北海道に到着。8月23日から27日にかけて、展示と試乗が行えるイベントを行なった。
GRIFF IN MAGAZINEでは、「Scania Caravan 2019」のスタート地、佐賀県佐賀市のスカニアディーラー「株式会社モトシマ」で開催された際の様子をレポートしているので、ぜひご覧になっていただきたい。
「Scania Caravan 2019」第1回佐賀でのレポートはこちら
実際にスカニアに触れ、乗ることでスカニアを体感できるイベントが「Scania Caravan 2019」。イベントのキャッチコピー「DRIVE & FEEL」が描かれた「P360 6×2」リジッドトラックも、2019年5月に佐賀県をスタートした後、7府県を経て、8月にはついに北海道に到着した。
夏でも湿度が少ない、北の大地の澄み渡った青空に、スカニアマークが美しく映える。
北海道での舞台は、道内初のスカニアサービスディーラー・株式会社滝川自工
北海道での「Scania Caravan 2019」の舞台は、2019年2月に北海道初のスカニアサービスディーラーになった株式会社滝川自工。北海道札幌市白石区に本社と工場、西区と札幌近郊の北広島市にそれぞれ工場を持つ。同社の始まりは戦後間もない1947年。1958年に株式組織(滝川自動車整備工場)に改め、1968年には滝川自工へと社名を変更、今年で創業72年という長い歴史を誇る。
軽自動車から普通車、小型〜大型トラック、バスはもちろんのこと、トレーラー、架装側の荷台やバンボディ、タンクローリーなどの特装車、除雪車、特殊作業車・建設機械まで、あらゆる車両を対象に整備・点検・修理・車検を行なっていることが大きな特長だ。手がける対象が幅広いことは、約1万坪という広大な敷地を持つ北広島工場に入庫している車両たちを見れば一目瞭然である。
普通車からトラックやバスなどの商業車、専門的な技術を要する大型車や特装車の整備や修理まで対応する株式会社滝川自工(本社:北海道札幌市)。車両整備以外にもリース・レンタル、自動車保険のほか、フレームを錆から守る「タフコート」、オートタイヤチェーンの「オンスポット」といった北海道らしい製品や、「収納式可動バンパー」など、各種トラック向け装備も取り扱っている。
1975年に開設された、滝川自工北広島工場(北海道北広島市)は、同社が持つ3工場で一番大きな規模を持つ。大型車両のフレーム修正機・大型塗装ブースまで備え、滝川自工の中心的な役割を果たしている。写真の第1工場のうち、1番から7番ブースが収まっているのが北広島工場で最初に稼働を開始した建物で、以前は車検のラインだった。現在はコンクリートポンプ車や、建設機械・特装車両の修理・点検を行っている。奥には塗装ブースも完備。
北広島工場は、1975年に開設以来、今年で44年を迎える。特装車両を扱っている中心的な役割を果たしている工場で、敷地は約1万坪。社内の移動に自転車や自動車を使用するほどだという。滝川自工ではアメリカ製のレッカー車を国産トラックの規格に合わせて作り変えるなど、確かな技術を有しており、国内外の主要架装メーカー、建設機械の指定工場となっている。
また、古くなったタンクローリーのタンク部を再び使用できるよう、徹底して再整備、路上に復帰させる作業も数多く手がけている。タンクには美しく板金を行い、古くなった配管を配置し直して“再生”することで、新車価格よりもリーズナブルに、しかもさらに長い期間使うことができるという。トラクターはトラックメーカーのディーラーで整備を行えるが、トレーラーは対象外になることが多い。そのような場合でも、滝川自工ならオールインワンで持ち込むことができるのは、ユーザー側からしても大きなメリットである。塗装ブースを備え、大型車用のフレーム修正やアライメント調整も可能なのも特記すべき事項である。
こんなに大きな65t吊りクローラクレーンまで入庫していることからも、滝川自工の豊富な経験と技術力が窺える。
同社では、タンクローリーのタンク圧力検査、各ボディ架装修理を得意としており、こちらの第3工場では、まさにタンクローリーのトレーラーの修繕が行われているところだ。タンクを板金し、配管類をユーザーに合わせて引き直してリフレッシュした車両の方が、新車で買うよりも1/3以下のコストで済むという。
2017年に竣工したばかりの北広島新工場。庫内はとても広く、天井も高い。大型バスやトラックなどの整備、点検、車検を行うことができる。奥行きも深く、全長27mの車両もすっぽり入れられる。これは冬の寒い時期に屋外で作業をしないようにする配慮から。壁には断熱材も入れられており、厳しい冬季への対応も万全。
北海道とスウェーデンは似ている?道内でも注目されたスカニア
実は、北広島工場敷地内の案内は、株式会社滝川自工 代表取締役社長 滝川 琢朗氏ご自身にしていただいた。工場内の細かなところまで熟知されており、スタッフにもどんどん声がけをされていたことが印象的だった。そして引き続き、滝川社長から、同社の沿革やスカニアディーラーになった経緯をお聞きすることができた。
「弊社は私の祖父が設立しました。当初は、一軒家の階下で自転車の修理などを行なっていたのですが、その後三輪バイクなどの修理もするようになりました。当時はまだ木材を運ぶ馬車も残っていて、その整備も含め、まさしく“なんでも”直していました。やがて馬車のユーザーが自動車に移行し、木材を取り扱うためにクレーンの導入が進みました。それが契機で、クレーンの特装部分を始めるようになったのです。お客様からいただく未経験の修理依頼に対しても、“とりあえずやってみよう”という気持ちで当たっていました。その流れが、今日の『なんでもやる会社』『ご来店いただいたお客様はお断りしない』という考えにつながっています。その積み重ねで各メーカーさんの代理店や指定工場になったのですが、実はご指定をいただく前に、すでに弊社では修理や整備にチャレンジしていたというケースもあります(笑)」
株式会社滝川自工 代表取締役社長 滝川 琢朗氏。気さくで柔らかな雰囲気が印象的。取材当日は社長自ら、広大な北広島工場の隅々まで案内をしてくださった。
──道内初のスカニアサービスディーラーになった経緯を教えてください。滝川自工さんがディーラーになったからスカニアを買います、という方もお客様にいらっしゃるようですね。
「道内初のサービスディーラーになることを決めた理由の一つに、弊社が得意としている『コンクリートポンプ車』があります。安定してコンクリートを圧送する必要があるコンクリートポンプ車のベースとして、低速トルク豊かなエンジンを積むスカニアの性能は優れており、相性も良いのです。お客様の中にも、その性能を求めている方がいらっしゃる。それならスカニアで作りませんか?とご提案もできますし、弊社はシャーシと特装部分の架装も得意という利点もあります。また、弊社の伝統的な素地である『チャレンジする』という気持ちも、サービスディーラーになることを後押ししてくれました。
また、スカニアが北欧生まれで、スウェーデン鋼が錆に強いと言われることも、北海道ならではのセールスの強みになると考えました。今回、スカニアの展示会を見に来ていただいたお客様の中には、200km離れた道東からおみえになったり、弊社とお取引がない企業様も来てくださっています。それほどに、道内でもスカニアは注目されています」
滝川氏をはじめとした展示会スタッフの皆さんと、株式会社滝川自工 常務取締役 佐藤 伸一氏(左端)。滝川自工とスカニアを結んだ立役者だ。スカニアの評判はとても良い、と教えてくださった。
また、滝川自工とスカニアジャパンをつないだ立役者、株式会社滝川自工 常務取締役 佐藤 伸一氏にもお話を聞く機会を得た。
──スカニアのご評判はいかがですか。
「スカニアのサービスディーラーなった反響は大きいです。今まで弊社のお客様ではなかった企業様が、『スカニアを取り扱っているなら』と、取引を開始されることもあります。輸入トラックはすでに道内でも走っているのですが、『スカニアに乗り換えたい』という方も多いです。乗り心地とスタイリング、スムーズな変速、リターダーなど、スカニアの評判はとてもいいですね。私も乗ってみたところ、とてもイージーに、スムーズに運転できました」
北海道初展示のスカニア新モデルに、来場者も興味津々
それではここで話を「Scania Caravan 2019」へと戻し、北海道会場の模様をご紹介しよう。佐賀県を出発し、季節の移り変わりとともに日本各地を走ってきた3台のスカニアは、滝川自工の展示場に並べられ、10時の展示会オープンを待っていた。そして続々とマイカーや会社のクルマでユーザーが来場すると、早速スカニアのチェックを開始。実質的に道内初公開となるスカニア新モデルの細部を、プロ目線で熱心に確認していた。オープン時の天気は不安定だったが、展示会開始前後には晴れ間がのぞき、晴れやかな雰囲気をアシストした。この日は滝川自工が設定した、一般道を用いた試乗コースも用意されていたため、キャラバン隊の一員・「R450 4×2」トラクターは時間内のほとんどが試乗に用いられたほど。ユーザーの「スカニアに乗ってみたい!」という熱意を感じさせた。
冒頭で紹介した「P360 6×2」リジッドトラックキャラバン以外にも、「R450 4×2」トラクターも長駆北海道までやってきた。ユーザーの多くがトラクターを所有する会社だったため、展示会開催中はずっと人が絶えなかった。「R450 4×2」トラクターの詳細スペックは、記事末のギャラリーコーナーに記載している。
運転席に座り、レクチャーを受けるユーザー。取材日は土曜だったこともあり、来場者が途切れることはなく、大盛況だった。
続いて、「Scania Caravan 2019」をまわる3台のデモ車両も解説したい。まずは、ウイングボディ側面に大きくイベントのキャッチコピーが掲出されたPシリーズ(Pキャブ)・リジッドトラックである。安全性と快適性、効率を追求したスタンダードモデルである。そしてさらに快適性に優れたRシリーズ(Rキャブ)のトラクターが2台だ。中でも、Rシリーズのトラクターのうち1台は、V8エンジン搭載のため、各地で注目を集めてきた。
こちらもキャラバンで全国を巡る「R520 6×4」トラクター。V8エンジンを搭載する。皆さん、プロ目線でのチェックに余念がない。さすがの視点に取材陣も感心。
試乗コースにはアップダウン、カーブ、片側2車線が含まれたルートが選択されており、スカニアのエンジン性能、シフトアップ・ダウンのスムーズさ、リターダーの効きなどを確認することができたのではないかと思う。全体的にゆったりとした雰囲気を持つ北の大地に、北欧生まれのトラックは見事なマッチングを見せてくれた。
展示会ではスカニアを一般道で運転することも可能なよう、試乗コースが設定されていた。
室内の広さ、リターダーの効き、トランスミッションのスムーズさなど、「見て乗って」知るスカニアの良さ
展示会に来場していたユーザーは、スカニアにどんな印象を持ったのだろうか。そこで、何組かの来場者にスカニアについて感じたことをお尋ねした。まずお話をお聞きしたのは、試乗を終えて会場に戻ったばかりの、丸幸ムサシ工業株式会社 百瀬 吉伸氏だ。
「普段は国産メーカーのトラクターを使っており、滝川自工さんに修理を依頼しています。スカニアのディーラーになったとのことで、来てみました。スカニアに乗った印象は、室内の広さや内装、収納が多いことが気に入りました。変速もスムーズですね。いつもかなり重たい貨物を積んで使っているので、後ろに重たいものを引いた状態で運転してみたいです。興味はとってもあります!」
丸幸ムサシ工業株式会社(北海道札幌市)の百瀬 吉伸氏は、「室内の広さと内装が気に入りました」と感想を述べてくださった。
そして、次に試乗を終えたK.DASH TRANS株式会社 代表取締役 川井 浩一氏にも、スカニアの印象をお伺いした。
「もともと、スカニアが欲しかったのです。でもディーラーが北海道になかったので、昨年違うメーカーのクルマを買いました。北海道にもディーラーができたことで、今後の購入を検討したいです。見てみましたら、やはりスカニアはいいですね!音が静かでびっくりしました」
「スカニアを買います」と話されたのは、地元北広島のK.DASH TRANS株式会社 代表取締役 川井浩一氏。スカニアが静かなことに驚かれていた。
続いて、阿部建設からお二人でお越しの佐藤 太志氏(右)にご感想をお聞きした。
「実はすでに、スカニアの注文を入れてあります。乗ってみて思ったのは、乗り心地の良さです。車内も静かですね。リターダーの効きには感心しました。トラクターだけの状態なら、リターダーを1段入れただけでも停まるのには驚きました」
株式会社阿部建設(北海道石狩郡)からお越しの佐藤 太志氏(右)は、「リターダーの効き」に驚いていた様子。ご一緒にご来場の菊池 均氏にも、写真に入っていただいた。お二人の笑顔が、スカニアへの好印象を教えてくれる。
最後は、試乗後に終始笑顔が絶えなかった、エア・ウォーター物流 苫小牧区域営業所課長 高山 篤志氏に「スカニアはいかがでしたか?」とお尋ねした。
「スカニアを乗ったり触れたりしたのは、初めてです。乗った感じは、まるで乗用車ですね。あと、リターダーがすごい。入った状態に気がつかず、アクセルを戻したらすごい勢いで減速して、一瞬何が起こったのかわからなかったくらい(笑)。荷物乗せた状態で走ってみたいなって思いました。あと、トランスミッションも良いです。発進でアクセル踏んだ時、ラフに踏んでもスムーズでした。再加速もいい」
高山氏はこの後、ご同行の方にも「試乗してみては」と積極的に試乗を進めていただくほど。スカニアがとても気になったご様子だった。
運輸・食品物流などさまざまな事業を展開するエア・ウォーター物流 苫小牧区域営業所課長 高山 篤志氏は、スカニアの12段AMT「オプティクルーズ」が良い、とのご評価。自らの試乗後も、他の方に試乗を薦めていただいたほどだった。
「Scania Caravan 2019」もいよいよ終盤へ!
今回、北海道で開催された「Scania Caravan 2019」で改めて感じたのは、スカニアが持つ快適、高性能、高品質、燃費が良いという評価は、「見る」「触れる」「乗る」ことで一層理解ができるということだった。来場者のスカニアへの熱い視線、乗った後の笑顔、そして高評価の感想がその証拠だと思う。
その役割を果たし、多くの人々にスカニアの魅力を伝えてきた「Scania Caravan 2019」も、いよいよ残り2会場。GRIFF IN MAGAZINEでは、キャラバン隊が最後に到着するスカニアジャパン富里ディーラーで行われるイベントの模様をお送りする予定となっている。ラストはどんなシーンが展開されるのか、今から楽しみである。
なおスカニアジャパンでは、ディーラーネットワークの構築に積極的に取り組んでおり、2019年8月現在、全国におけるスカニアサービスディーラーは25店舗(うち、販売ディーラー10店舗を含む)を数えるようになった。道内初のスカニアサービスディーラーとなった滝川自工は、創業以来一貫してユーザーのために“どんなことでもチャレンジする”ことを忘れず、「サービスとはユーザーに満足をお売りすることである」をスローガンに北海道の発展に尽くしてきた。今後も、スカニアジャパンとともに大きく発展を続けることに違いない。
こうしてルート図を見ると「ここまで来たんだね」と、キャラバン隊3台のスカニアに、労をねぎらってあげたい気持ちになる。「Scania Caravan 2019」のゴール、スカニアジャパン富里ディーラーまであとわずかだ。
PHOTO GALLERY
Text:遠藤 イヅル
Photos:Masato Yokoyama