スカニアへの情熱に溢れるディーラー、藤代自動車
ご存知のとおり『SCANIA(スカニア)』はスウェーデンが本社の企業のため、製品であるトラック・バス・産業用エンジンは輸入されて日本にやってくる。日本法人であるスカニアジャパンは、日本全国各地に広がるスカニアディーラーでスカニア製品導入後のサポートをしっかり行える体制づくりを進めている。
山梨県甲府市に居を構えるスカニアのディーラー「有限会社 藤代自動車」。デモカーにお客様の車両と、スカニアトラックがずらりと並ぶ。販売はもちろん整備全般まで手がける“技術力”を強みとする会社だ。
今回取材に訪れた山梨県甲府市のスカニアディーラー「有限会社 藤代自動車」でも、スカニアへの情熱に溢れたスタッフたちが、スカニアユーザーが安全安心にスカニアを使用できるよう全力で真摯に取り組んでいた。今回のGRIFF IN MAGAZINEでは、ここ藤代自動車で「スカニアの整備技術にかけては誰にも負けない」という信念を持つ整備士 ── サービステクニシャンと、スカニアを愛してやまないセールスマンと、それぞれの姿を追った。
藤代自動車は自動車に関するさまざまなサービスを提供
藤代自動車は、次の4つの事業から成り立つ企業だ。各種車両の点検、整備、車検のほか、鈑金塗装、新車・中古車の販売、自動車保険を取り扱う「FJ MOTORS」(エフジェイモータース)、高所作業車やマイクロバス、パッカー車をレンタルできる「FJ RENT」(エフジェイレント)、スカニアをはじめとしたアパレル・ファッショングッズ、ミニカー、部品や工具を販売する「FJ SHOP」(エフジェイショップ)、山梨県内4ヶ所あるガソリンスタンドの運営を担う「FJ OILS」(エフジェイオイルズ)である。なお、FJ MOTORSはベルギーのトレーラーメーカー「フェイモンビル」の正規代理店でもある。
藤代自動車では、山梨県内4ヶ所のガソリンスタンド「FJ OILS(エフジェイオイルズ)」を運営している。こちらは「エフジェイオイルズ 甲府バイパスSS店」。
藤代自動車ではスカニアディーラーのデモカーとして鮮やかなグリーンに塗られたG410を持つ。フロントにはホワイトカラーの差し色、ウインドディフレクターにはスカニアの象徴であるグリフィンのエンブレムが大きく描かれ、とても目を引く仕様になっている。
藤代自動車とスカニアの関わりは、2013年の東京トラックショーから。出展していたスカニアブースに藤代自動車のスタッフが訪れたことが始まりだ。その後、話が進み、2014年にスカニアのディーラーの運営を開始することになった。スカニアのディーラーネットワークとしては、早い段階での参入になる。
本社に隣接する整備工場。一級自動車整備士、特殊整備士による整備・点検作業を行う。
整備工場の向かいには、鈑金・塗装や架装、オリジナル部品の製作、内装修理、パーツ取り付けなどを行える建屋がある。この日も数台のスカニアが出庫を待っていた。
甲府市内の本社に隣接する工場は2棟あり、ひとつは大型車の点検整備も可能な規模を持つ整備工場で、もうひとつは鈑金、オリジナルの金属製部品製作、各種パーツの取り付けを行う建屋である。ここではトラックの荷台を架装も担当する。トラックやトレーラーの場合、シャーシやキャブ後ろにオリジナルのボックスを設置する場合があるが、それらもすべて自社で製作することで、納期の短縮や販売時の価格を下げられるメリットがある。整備工場は大型車がすっぽり収まるほど大きな塗装ブースを持ち、ユーザーが希望するトラックのキャブへのカラーリングを施すことも可能だ。納車まで一貫してオーダーを受けることができるのは、ユーザーには大きなメリットになるだろう。
大型の旋盤や溶接機によってさまざまなパーツの作成に対応する。左のスタッフは、今まさにトラックに取り付けるオリジナルボックスを作り上げている最中だ。
大型車を丸々飲み込むほどに大きな塗装ブース。乾燥させるコーナーもあり、キャビンのカラーリングなどの塗装に対応する。スタッフは下地処理の真っ最中。
「自分こそスカニア整備のナンバーワン」という自信と情熱
藤代自動車でスカニアの整備を担当するのは、サービステクニシャンの堀田 龍氏。10代後半からつい最近までキックボクシングを行っていたという経歴の持ち主だ。同社がスカニアディーラーになった頃からスカニアを扱っている。それまで主に国産メーカーのトラックを整備して来た堀田氏は、未知の領域でもある輸入トラックのスカニア整備に対して果敢にチャレンジしてきた。当時はスカニアの整備を行える工場が少ないなか、「スカニアユーザーがトラブルや車両上の悩みで感じる負担を軽くして、ドライバーが安心して乗れるようにしたい」と思い、整備の勉強を始めたとのことだ。
スカニア整備を担当するサービステクニシャンの堀田 龍氏。「自分がスカニア整備のナンバーワンだ」という真剣な思いとガッツは、戦う男らしく燃えるように熱かった。
スカニアディーラーになって、スカニアの富里ディーラーで行われるトレーニングにも参加しているが、最初の頃は周りに「整備を教えてくれる先生」がいないので、頼りどころがなく苦しい時期もあった。今でも手がけたことがない事象に遭遇することもあり、そんなときは過去の経験や知識を応用して当たっているという。
── スカニアの整備に関して、遠方からの依頼も多いと聞きました。
「他のところで直せないような難解なことがあるなら、その分やってやろう!といつも思っています。“藤代さんなら対応できる!”と県外からもお客様が来てくださる。そうしたらもう、燃えるしかないじゃないですか!」
真剣な眼差しでスカニアの整備を行う堀田氏。
── 整備で難しいと思ったときは、誰かに相談することはありますか?
「できるだけ頼らずに、自分で解決できるようにしていますが、壁に当たって心が折れそうになったときに相談する人がいます。的確にアドバイスをくれるのですが、頼ってばかりいたら、その人を追い越せないですよね」
── 追い越したいですか、やはり。
「当たり前じゃないですか! “俺が一番だ!”って言いたいですもの。しかもその人は今、工場長になって現場にいないんです。なので、技術力を上げてその人を超えていけるチャンスだと思っています」
寡黙に見えつつも、ストイックな答えにキックボクサーらしさを垣間見せてくれる堀田氏。「自分にはできないことはない」「日本のサービステクニシャンのなかでも一番だと思っている」という絶対的な自信を持っている。いろいろな話をお聞きするだけで、旺盛な好奇心と深い探究心、強い責任感で真剣にスカニア整備にあたっていることを感じることができた。堀田氏は、常に忍耐強く、高いハードルを課して自分や仕事と戦っているのである。
この取材の際も、緊急入庫したスカニアの整備を続けていた堀田氏。「お客様を待たせられない」という高いプロ意識と、スカニアへの情熱を感じさせてくれた。
スカニアの整備に情熱を燃やす堀田氏。この日も緊急入庫したスカニアに、真剣な眼差しで寡黙に対応していた。
スカニアでは、ディーラー単位で参戦する技術コンテストが世界規模で開催している。まずアジア・オセアニア、アフリカ、南米、ヨーロッパの4つの地域から代表チームが選ばれ、毎年12月にスウェーデンで最終決戦が行われる。最近ではニュージーランドのチームが世界一の栄誉を獲得した。名実ともに世界一になれるこのコンテストに、スカニアジャパンも「ゆくゆくは日本予選開催に向けて動きたい」とのことだ。いつか、日本のチームが世界での技術コンテストに出場する勇姿を見られるかもしれない。
堀田氏と、好奇心とチャレンジ精神にあふれた藤代自動車の明るいサービステクニシャンたち。
優れたサービス技術があるからこそ安心して販売できる
スカニア愛にあふれるもう1名は、藤代自動車 営業部の大網 伸幸氏である。親戚が運送業を営んでいたこともあり、「小さい頃からトラックが身近な存在だった」という大網氏は、以前は大手国産トラックメーカーに勤務。その後は8年ほどトラックドライバーとして働き、前職では中古のトラックやスカニアを全国に向け販売する仕事をしていた。
有限会社藤代自動車 営業部の大網 伸幸氏は、国産トラックメーカー勤務ののち、トラックドライバーやトラックの中古車販売など経て同社にたどり着いたトラック一筋という人物。「憧れだった」スカニアを取り扱えることに大きな喜びを感じているという。
全方位でトラックに詳しいエキスパートで、かつ大のトラック好きな大網氏は、さらにスカニアのセールスマンでもあることから、スカニアというメーカーの個性や魅力を知り尽くしている。「欧州製のスカニアには欧州製の荷台やトレーラーが似合うんです!」など、取材中もスカニアに関する話が尽きることはなかった。
スカニアを知ったのは20年ほど前、欧州で初めて見たときと語る大網氏。今こうしてスカニアディーラーで憧れのスカニアを販売する仕事に就くことになったのも、スカニアが縁だった。
「弊社は修理工場から始まった会社ですので、これまでの経験の積み重ねから。だから技術力には自信があります。誰にも負けないというガッツがあり、常に好奇心とチャレンジ精神を持って整備をするサービステクニシャンたちの腕前は“藤代自動車のアピールポイント”でもあります。なんでも任せられるスタッフが揃っており、僕らセールスマンは、彼らの技術力というバックボーンがあるからこそ安心して車両を販売することができるのです」
スカニアを導入することで得られる“見えないが大きな効果”
大網氏は、実際にスカニアを仕事で使用するユーザーからの声を教えてくれた。
「お客様からもっとも多くいただく声が“スカニアは居住性が高くて快適”というものです。快適といわれるのはキャブ内のスペースが広いということだけでなく、ドライバーにとって快適に運転できるキャブであるということ。例えば、東京方面から山梨県に入るには、上り坂が厳しい中央自動車道の難所、談合坂がありますが、それもラクラク超えられると好評です。遮音性の高いキャブ、低いエンジンの回転数などで音と振動が少ないため、長距離でも負担が少なく疲れにくいのですね」
スカニアの同社デモカーのステアリングを握り満面の笑みを見せる大網氏。
現在もトラックで長距離移動することがある大網氏は、「同じ距離でもスカニアと他メーカーとの疲労感には歴然たる差があります。もちろんスカニアは全然疲れません」と語る。
「山梨のお客様は保有台数がそれほど多くない、社長自らがステアリングを握るといういわゆるプライベートユーザーが多いです。社長の“マイカー”的に装備を豪華にして乗られることもあります。一般的に、国産車の相場より輸入車の購入価格は高い傾向にあるため、奥様が経理をご担当されている場合などは当初購入に反対されることが多いのですが、『社長も社員も楽しんで仕事をするようになりました』と感謝されたこともあります」
「そして、スカニアを導入したことによる社員のモチベーションの向上、求人への反応の高さなどの“目に見えない効果、反響の大きさ”もお聞きします。『素敵なトラックで運んで来てくれるので、商品自体のイメージアップにつながる』と荷主さんに喜んでいただける、という声もあります。スカニアを導入することで“あらゆる面でクオリティを第一に考える企業”という信頼感につながります」
スカニア導入に関する大網氏の話は実に興味深かった。同氏の実体験からくるこれらのスカニアへのユーザーボイスは、GRIFF IN MAGAZINEでこれまでもさまざまな取材を通じてお聞きしてきた「スカニアへの高評価」、「スカニアを導入することで得られた効果」そのものと言える。これこそまさしくスカニアのセールスポイントなのだ。
藤代自動車では近々スカニアの新モデル「Sキャブ ハイルーフ」という最上級モデルがデモカーで導入される。お近くにお寄りの際はお伺いしてご覧になってはいかがだろう。
ストイックにスカニア整備の道を極めるサービステクニシャン堀田氏と、知識が豊富な大網氏がタッグを組んで力強く引っ張るスカニアディーラー・藤代自動車。これからもさまざまな話題を提供してくれるに違いない。アルプス山脈が連なる風光明媚な山梨を、これからもスカニアが走り続けることだろう。
PHOTO GALLERY
Text:遠藤 イヅル
Photos:Masato Yokoyama