Scania’s History

革新の文化を継続してきた「スカニアトラック 117 年の歴史」VOL.03〜1980 年代から 1990 年代まで〜

ただいまGRIFF IN MAGAZINEで連載中の『SCANIA(スカニア)』「トラックの歴史」。第3回となる今回は、モジュラー思想が開花した1980年代、そして、現在に至るスカニアトラックのベースとなった1990年代登場のトラックを辿ります。

「スカニアトラック117年の歴史」VOL.01 〜創業から1945年まで〜 はこちら

「スカニアトラック117年の歴史」VOL.02 〜戦後から1970年代まで〜 はこちら

【1980年】モジュール式の「GPRTレンジ」(2シリーズ)デビュー

1980年に入り、「2シリーズ」が登場しました。この2シリーズのエポックは、現在もスカニア製品の根幹である「モジュール化」が採り入れられたことでした。エンジン、ギアボックス、プロペラシャフトなどのコンポーネントを広範囲にわたってモジュール化。少ないパーツで無制限とも言える種類のトラックを生み出すことが可能となり、増えゆくさまざまな輸送ニーズにも、さらに柔軟に応じられるようになりました。

1980年 スカニアGPRTレンジ

イタルデザインのジウジアーロによってデザインされたモダンなスタイリングを持つ2シリーズ。キャブの仕様に合わせてG、P、R、Tの4レンジが設けられた。G、P、Rは現在でも使用されている呼称であるが、「G」に関しては時代によって設定が異なるので注意を要する。

1980年 スカニア G82M

スウェーデン郵便局のG82。「8」では、7.8ℓエンジンが積まれた。2シリーズのGとPレンジは、キャブの高さが抑えられ乗降性に優れていた。現行のスカニアトラックでは、Gシリーズのキャブは通常の高さである。なお、現在ではスウェーデン郵便局は民営化され、PostNord Sverigeとなっている。

しかも、モジュール化は走行部品のみならず、キャブにも採用されました。その結果、G、P、R、Tの4つのキャブレンジを持ちつつ、従来設計でフルレンジをした場合に必要な部品点数を約70%減少させ、キャブの平均製作時間も約30%削減することに成功しました。

1982年 スカニア R112M

Rレンジは背が高い「ハイキャブ」。「112」は11ℓエンジンの2シリーズを意味した。末尾の「M」は積載量に応じたフレームのクラスを表し、Mはミドルを示す。その上には「H=ヘビー」、「E=エクストラヘビー」(超重量物運搬、建設車両用)があった。

スカニア R142M(撮影:1989年)

タイヤメーカーのカラーをまとったスカニアR142Mトラクター。1989年のF1モナコグランプリの1シーンだ。国をまたいで欧州全土で長距離移動を行うモータースポーツのモーターホームやパーツ供給用トラックに、スカニアは最適だった。「142」の14という数字は、V8、14.2ℓエンジンを搭載していた証だった。

スカニア P82M(撮影:1987年)

スカニアは世界各国で活躍した。こちらは香港でビールの配送用に使われていたスカニアP82M。現在のスカニアトラックでも、Pシリーズは、都市間輸送や配送などに適した、高い性能と快適性を備えたスタンダードモデルだ。

【1988年】モジュラー思想を発展させた“3シリーズ”が登場

1988年、スカニアは、2シリーズを発展・洗練させた「3シリーズ」を送り出しました。改良点は多岐にわたり、ダッシュボードがドライバーに向かって湾曲した形状に変更されるなど、内外装もブラッシュアップ。最高出力も向上し、V8エンジンは500hpに達しました。

1988年 スカニア プロダクトファミリー

1988年のスカニアのバス、トラック、エンジン。トラックはいずれも1988年に登場した3シリーズで、バスはCN113。スカニアでは、バスも同年に3シリーズとなった。トラックとのモジュール化で、多くの部品を共用する。

1988年 スカニア T143H

材木を満載して坂を登ってくるT143H。「H」シャーシにV8を積む。ボンネット型トラックは林業など一定の市場で需要を残していた。

モジュラー化の思考はさらに洗練されています。注文された内容に合わせ、フレーム、アクスル、キャブ、トランスミッション、エンジンなどの構成要素をコンピュータが分解。ニーズに合わせていっそう細かくなった独自の仕様を、所定の納期で収めることが可能となりました。なお、3シリーズは1989年のトラック・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。

1991年 スカニア R113 ストリームライン

1991年、スカニアはトラックに優れた空力性能を与えた「ストリームライン」を発表。サイドを覆うカバーや、キャブサイド及び上面に設置されたエアディフィレクターによって、以前のモデルと比べ空気抵抗係数を12〜15%、燃料消費量を4〜5%削減することに成功した。

1993年 スカニア P93M

ブラジルのサンパウロ市におけるP93H。海外の都市では、スカニアを使用した塵芥車を数多く見かける。スカニアは1957年からブラジルに現地法人を置き、現地生産を行っているほか、アルゼンチンにも工場を持っており、スカニアにとって南米は重要な市場となっている。

1991年 サーブ・スカニア プロダクトファミリー

スカニアは1969年から1995年まで、スウェーデンの航空機/自動車メーカーのサーブと組み、サーブ・スカニアグループを形成していた。そのため1980年代には、このようにグループ全体の製品レンジをダイナミックに紹介することもあって注目を浴びた。後方から飛来するのはサーブ37ビゲンと、サーブ340。速度差を考えると驚きのカットである。

【1995年】4シリーズデビュー。再びトラック・オブ・ザ・イヤーを受賞

そして1995年。スカニアは「4シリーズ」を発表しました。3シリーズの源流である2シリーズの登場から、15年ぶりとなるフルモデルチェンジでした。新しい時代となる2000年代に向けて、外観はさらに現代的に。イタリアの自動車メーカー「ベルトーネ」が描いたという美しいデザインは、登場してから24年が経った現在でも色褪せることがありません。インテリアも使い勝手や視認性が一層向上しました。連綿と続くスカニアのモジュール化哲学はさらに推進され、部品の共用化も進んだことで、トラックやバスだけでなく産業用エンジンとの統合性も高まりました。

優れた性能とデザイン、深化した設計思想などが評価された4シリーズは、1996年のトラック・オブ・ザ・イヤーを獲得。3シリーズに次ぐ快挙を成し遂げています。

4シリーズはその後も改良を重ね、2004年にPRTシリーズに進化。スカニアジャパンでは、2018年まで販売していました。その詳細な経緯は、次回改めてご紹介します。

1995年 スカニア R124

引き締まったグリルと柔らかなキャブが美しい対比を見せる4シリーズのR124L/400 トップライン。車名の命名方法はこれまでどおりで、12ℓエンジン+シリーズ名(4)だが、シャーシのクラスを示す記号が「M、H、E」から「L、D、C、G」に変更されている。このトラックのシャーシは「L」。向かって右側の数字は最高出力(400hp)を示す。

1995年 スカニア4シリーズ インテリア

ドライバーに向かって湾曲した4シリーズのダッシュボードは、前任3シリーズから引き継いだ人間工学に基づいた設計。整然と並ぶスイッチが機能性の高さを感じさせる。

1996年 スカニア4シリーズ キャブの比較

手前から、ボンネット型のT144L/530、R94L/310と続き、4番目に見える低いキャブはPレンジだ。4シリーズではGレンジのラインナップがなく、「G」はシャーシのクラス記号に変化している。ボンネット型トラックは4シリーズでも残された。デザインはさらにモダンになっている。

1996年 スカニア P124

P124C/360のダンプ。リア2軸駆動の6×4。シャーシクラスは上から2番の「C」。

1998年型 スカニア R124

T124G/360。ヘッドライトなどの部品がP、Rレンジと共用してあるのがよくわかるショット。4シリーズでは220、260、310hpの9ℓ、360、400hpの12ℓ、460もしくは530hpの14ℓV8など、さまざまなエンジンが用意されていた。

今回は、1980年代の北欧モダンデザインが魅力的な2/3シリーズ、一気に最近のトラックに近づいた1990年代の4シリーズをお送りしました。日本でも見慣れたデザインのスカニアが登場してきたかと思います。

「スカニアトラック117年の歴史」、最終回となる次回VOL.4では、2000年代から現在までのスカニアトラックを追います。引き続きご期待ください。

Text:遠藤 イヅル
Photo:SCANIA

>> 次回「革新の文化を継続してきた「スカニアトラック117年の歴史」 VOL.04 〜2000年代から現代〜」は2019年7月上旬掲載予定です。

「スカニアトラック117年の歴史」VOL.01 〜創業から1945年まで〜 はこちら

「スカニアトラック117年の歴史」VOL.02 〜戦後から1970年代まで〜 はこちら

SHARE ON SOCIAL MEDIA

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

SCANIA JAPANの最新情報をお届けします。

NEW

ニーズに合わせて展開される、さまざまなスカニアトラックをご紹介!第1回 〜リジッドトラック 完成ウィング車編〜

スカニアでは、ニーズに対応する車両分類を「アプリケーション」と称しています。今回は過去の記事から、日本市場で活躍するスカニアトラックをアプリケーションごとに分類し、ニーズに応じて導入されたスカニアの姿を、3回に分けてご紹介します。第1回は、スカニアの主力商品のひとつに成長した「リジッドトラック」から、「完成ウィング車編」をお送りいたしましょう。

Scania Japan

車両輸送のパイオニアが選んだ、車載トレーラー用スカニア 〜株式会社小山運送様〜

今回ご紹介する株式会社小山(おやま)運送は、車載トレーラー(キャリアカー)用のスカニアトラクターを運用している。そこで取材陣は、同社が車載トレーラ用トラクターにスカニアを選び、実際に使っている感想をお聞きするべく、一路、同社本社がある熊本へと向かった。

CUSTOMER

スカニアへの熱意と、スカニアがもたらす温かな企業の発展〜山建運輸株式会社様〜

GRIFF IN MAGAZINEでは、これまで数多くのカスタマーを訪問し、ドライバーやその家族を大切にする社長、活気に満ち温かく元気なドライバー、スカニアに関わる人たちの「スカニアへの熱い思い」などもご紹介してきた。そして今回 訪れた、青森県青森市に本社を持つ山建運輸株式会社も、社員を思う社長に率いられ、スカニア導入によりさらなる発展を続けている企業だった。

CUSTOMER

GRIFF IN MAGAZINE創刊100号記念!印象的な記事を振り返る その2 〜スカニアの評価・導入効果・スカニア愛 編〜

スウェーデンに本社を置く、トラック・バス・産業および船舶用エンジンメーカーの『SCANIA(スカニア)』。その日本法人、スカニアジャパンがお送りする公式Webマガジン『グリフィン・マガジン(GRIFF IN MAGAZINE)』は、先日100号を迎えることができました。今回は100号記念のスペシャル対談の第2回、「スカニアを愛する人々」編をお送りします。

Scania Japan

GRIFF IN MAGAZINE創刊100号記念!印象的な記事を振り返る その1 〜記憶に残る取材編〜

スウェーデンに本社を置く、トラック・バス・産業および船舶用エンジンメーカーの『SCANIA(スカニア)』。その日本法人、スカニアジャパンがお送りする公式Webマガジン『グリフィン・マガジン(GRIFF IN MAGAZINE)』は、2016年3月の創刊以来、スカニアを運用するカスタマー、スカニア製品やサービスの特長、販売や整備を担うディーラーやスタッフのインタビューなどを掲載してきました。今回は100号を記念してスペシャル対談をお届けします。

Scania Japan

110年の歴史を誇るスカニア製バスの歴史を振り返るVOL.02〜1970年代から現在まで〜

『SCANIA(スカニア)』は、トラックだけでなくバスの分野でも世界有数のメーカーで、これまでに納入したバスの台数は、長距離バスだけでも17万台以上にのぼります。最近では、日本各地でもスカニア製エンジンを積んだ連節バス・路線バス・二階建てバスが活躍を始めており、その姿を目にする機会が増えています。1911年から1960年代を振り返った前回に続いて、今回は1970年代から現在にかけて登場したエポックメイキングなバスを貴重な写真とともにお送りします。

Scania’s History