Culture

サステナビリティにも配慮したスウェーデンのクリスマスの風物詩、イェヴレの藁のヤギ

スウェーデン中央部、ストックホルムから2時間ほど車で北上したところにある、イェヴレ(Gävle)は、クリスマスの時期になると世界中からあるもので注目されます。そのあるものとは「Gävlebocken(イェヴレボッケン)」と呼ばれる、藁でできた巨大なヤギです。このイェヴレの藁のヤギは、その大きさでも注目されますが、クリスマスまで燃やされることなく、そのまま残っているかどうかが最大の注目の的となっている、不思議なスウェーデンのクリスマスの風物詩です。

ライトアップに輝く巨大なイェヴレの藁のヤギ(Photo_Daniel Bernstål)

世界最大の公式記録を持つ藁のヤギ

スウェーデンでは「Julbock(ユールボック)」と呼ばれる藁で作られたヤギが、伝統的にクリスマスの飾りとして飾られます。(スウェーデンのクリスマスについてはこちらをご覧ください。)このクリスマスの飾りである藁のヤギを巨大にしたものが、イェヴレのヤギです。2022年のヤギは、高さ13メートルで、制作費用は200,000スウェーデンクローネ、日本円で約260万円(2022年12月の為替レートによる)もかかっています。毎年第一アドベント(待降節)の日曜日にオープニングイベントが行われ、盛大にお披露目されます。2022年は11月27日に1万人を超える観客が訪れ、クリスマスを待ちわびる人々が巨大な藁のヤギの登場を喜びました。この様子は、インターネットでライブ配信もされ、多くの方がその様子を世界中から見守りました。イェヴレのヤギは、世界最大の藁のヤギとして公式記録を持っており、国際協会「Friends of the Gävle Goat」もあるくらい、世界的にも有名な藁のヤギなのです。

スウェーデンのクリスマスの伝統的な飾り、藁のヤギ(Photo_Lieselotte van der Meijs/imagebank.sweden.se)

「イェヴレ」って、どんな町?

人口10万人程のスウェーデンの地方都市「Gävle(イェヴレ)」は、スウェーデン第14番目の都市であり、北部では2番目に大きな町です。イェヴレと聞くと思い浮かぶのが、「イェヴレの藁のヤギ」と「匂い」です。イェヴレは、「Korsnäs(コッシュネス)」という製紙工場からの特別な匂いがしたかと思うと、コーヒー会社「 Gevalia(ゲバーリア)」からコーヒーのいい匂いがしたり、のど飴などで有名な「 Läkerol(ラケロール)」の匂いがしたりと、匂いを楽しめる街です。街のはずれには、スウェーデンの国内産ウィスキーを製造販売する「Mackmyra Whisky(マックミーラウィスキー)」会社もあります。マックミーラウィスキーは1999年に創業され、現在は、その製造過程で出る藁を用いて、イェヴレのヤギが作られています。

イェヴレの街のシンボル、コンサートホール(Photo_Albin Bogren)

イェヴレのヤギの藁を提供するスウェーデンのマックミーラウィスキー(Photo_pressbild from Mackmyra whisky)

56年の歴史を持つイェヴレのヤギ

イェヴレのヤギの歴史は1966年に遡り、2022年で56年の歴史があります。イェヴレ南部商業組合が客を呼び寄せるために何か良いアイデアはないかと考え思いついたのが、巨大な藁のヤギを町の中心部の大広場に作ろうというものでした。そして、1966年12月1日に、最初のイェヴレのヤギが披露されたのです。それ以来、毎年第一アドベントと共に現れ、クリスマスを待ちわびるスウェーデンや世界の人々を喜ばせています。この1966年の最初のイェヴレのヤギは、大晦日の年越し12時に放火による火災で、完全な形で年を越すことなく燃やされてしまいました。

クリスマスを待ちわびる人々を喜ばせるイェヴレのヤギ(Photo_Daniel Bernstål)

毎年放火の危機に立たされているイェヴレのヤギ

この巨大な藁のヤギは、その大きさのみならず、放火されずにクリスマスを超えることができるだろうか、今年は生き延びることができるだろうかというところにも人々の関心が毎年集まります。56年の歴史の中で、放火により燃やされたのが、なんと30回。壊されてしまったり、崩れてしまったりした年もあり、無事にイェヴレのヤギがクリスマスと年越しを迎えられたのは、わずか19回です。そんなイェヴレのヤギの運命を、世界中の人々が毎年注目しているのです。
繰り返し行われるイェヴレのヤギに対する犯罪行為に対抗するために、24時間体制の警備員や監視カメラ、二重のフェンスなどの対策を行っています。燃やされないように、防火剤で処理をするなどの対策も取られていますが、それでも、2019年はクリスマス前に燃やされてしまいました。加害者には刑事罰と損害賠償が言い渡されています。こんなイェヴレのヤギの運命を毎年賭博にする会社もあるくらいです。

放火などの犯罪から守るために2重の柵に囲まれるイェヴレのヤギ(Photo_Thuresson Veronica)

インターネットでライブ中継?!

イェヴレのヤギは、なんとfacebookInstagramTwitterのアカウントを持っています。そこで、イェヴレのヤギ自ら、「私は、世界中で最も有名な藁のヤギです。クリスマスが大好きで、マッチが苦手です。」と語っています。Twitter は、3万8千人、Instagram は1万2千人を超えるフォロワーがおり、世界中の多くのファンが、クリスマスの時期になると毎日更新を楽しみにしています。イェヴレの観光局のサイトからは、ライブ中継もされており、今現在のイェヴレのヤギの様子を見ることができます。皆さんも、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。

facebookとInstagram、Twitterのアカウントをもつイェヴレのヤギ

サステナビリティにも配慮したイェヴレのヤギ

イェヴレのヤギは、制作過程からオープニングイベントまで、様々な形で、サステナビリティの配慮がされており、その取り組みをホームページで知ることができます。巨大な藁のヤギの制作には多くの藁を使用します。それらの藁をどのように輸送するか、その際の輸送車両の動力は化石燃料を抑えるなどの配慮がされています。可能な限り、地元で生産された商品やサービスを利用することや、オープニングイベントで使用される電力に、100%再生可能エネルギーを用いるなどの工夫がされており、この巨大な藁のヤギにも、スウェーデンのサステナビリティの精神を垣間見ることができます。

スウェーデンのちょっと変わったクリスマスの風物詩、イェヴレのヤギはいかがでしたでしょうか。これを機会に、ぜひ皆さんも毎年のクリスマスの訪れをイェヴレのヤギとともに楽しみませんか。最後に、もしも、クリスマスの時期以外にイェヴレを訪れることがあれば、ぜひ、街のどこかにある「イェヴレのヤギの交通標識」を探してみてください。

イェヴレのどこかにあるイェヴレのヤギの交通標識(Photo_Daniel Bernstål)

Text:サリネン れい子

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