Culture

世界を先導するスウェーデンのサステナビリティ

「サステナビリティ(持続可能性)」をスウェーデン語で、「Hållbarhet(ホルバールヘート)」といいます。この「Hållbarhet」という言葉は、スウェーデンでは、本当によく見聞きします。そのくらい人々の日常生活と社会に根付いているといってもよいでしょう。これを裏付けるのが、ドイツのベルテルスマン財団と持続可能な開発ソリューション・ネットワークが2020年6月に公開した「持続可能な開発報告書2020(Sustainable Development Report 2020)」の中のランキングで、17位の日本に対して、スウェーデンは堂々の1位でした。ちなみに2位と3位はデンマークとフィンランドで、北欧諸国のサステナビリティへの取り組みと意識の高さが表れています。

ストックホルムの代表的なサステナブルなモデル都市、ハンマルビー・ショースタード(Photo_Ola Ericson/imagebank.sweden.se)

SDGsって、何?

スウェーデンのSDGsロゴ(Illustration_Regeringskansliet/FN)

最近よく聞かれるようになった「SDGs」という言葉をご存じでしょうか。2015年9月の国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されたもので、国連加盟国が2015年から2030年までに達成するために掲げた目標です。このアジェンダでは、地球上の「誰一人も取り残さない」ことを誓い、人間と地球のこれからの繁栄のために必要とされる「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」が、貧困や飢餓、ジェンダーや経済などを網羅した169のターゲットからなる17の目標にまとめられました。この「持続可能な開発目標」の英語の頭文字をとり、「SDGs」と呼ばれています。

スウェーデンでも、この「2030 アジェンダ」は大きく報道されました。しかし、日本と大きく異なるのが、スウェーデンはSDGsの中に既に達成している目標が多数あったことです。このため、国内の目標達成にとどまるのではなく、諸外国を先導し国際的な手本となり、世界をリードしていくことが重要であるとされてきました。スウェーデンでは、持続可能な社会とは、決して一個人や企業、一国のみで成し遂げられるものではなく、諸外国とともに協力し達成していくことが重要であると考えられているのです。

ストックホルムのソーラーパネル(Photo_Jann Lipka/imagebank.sweden.se)

スウェーデンのサステナビリティとは

サステナブルと聞くと、地球環境、環境問題を思い浮かべる方が多いかもしれません。日本では、持続可能な社会をエコや節電、省エネといった環境と結びつけることが多いのですが、スウェーデンでは、貧困や飢餓、働き方や女性の社会進出、男女平等やジェンダー、生涯学習なども含んで捉えられています。その歴史は、1980年代後半に国連のレポートで使われた「持続可能な開発」という言葉に遡ります。

スウェーデンのサステナビリティは、環境的、社会的、経済的の3つの持続可能性に分けて定義されており、それらが相互に作用することで、持続可能な社会につながると考えられています。この考え方は、政治の包括的な目標とされてきました。こう聞くと、何だか大袈裟なことと感じられる方もいるかもしれませんが、スウェーデンのサステナビリティ=Hållbarhetとは、環境問題に限られたものではなく、地球に生きる自分を含めた全ての人を大事にし、平等を重んじ、社会と地球を守るために、自分のできることをするということなのです。

スウェーデンでよくみられる風力発電(Photo_Per Pixel Petersson/imagebank.sweden.se)

オーガニックの家庭菜園の親子(Photo_Simon Paulin/imagebank.sweden.se)

家庭の生ごみもリサイクルするリサイクル大国

では、いったいどんなことを人々はしているのでしょうか。スウェーデンのゴミのリサイクル率は99%といわれており、資源は有限であり、無駄にすることなく、可能なものは限りなく再利用していく工夫がされています。家庭で紙類、ビン類、缶類、プラスチック類と分類します。買い物などに行く時に持っていきやすいように町の中の至る所にリサイクルステーションがあり、アパートなどの集合住宅には分別できるごみ置き場があります。ペットボトルと缶、一部のビン類はデポジット制になっていて、購入する際に1~2kr(日本円で約12~24円)先に支払い、スーパーマーケットなどにある自動回収機によってお金が戻ってくる仕組みになっています。

ペットボトルのリサイクルをする親子(Photo_Margareta Bloom Sandebäck/imagebank.sweden.se)

以前から、生ごみをコンポストにして家庭菜園や花の肥料にすることはありましたが、近年は、家庭の生ごみを回収し、バイオガスや肥料に再利用しています。こちらもできる限り多くの人が分別しやすいように、スーパーマーケットで生ごみ回収用の紙袋が無料で配布されています。その専用の袋で生ごみを分類し、ごみ収集車が集めた生ごみを発酵タンクに集め、バイオガスを発生させることで再生エネルギーにしています。このグリーンエネルギーは、ストックホルム市内を走るバスにも使われています。このように生ごみを分別するかしないかによって、ごみ収集の料金が変わり、分別する場合はしない場合に比べて、年間の費用が安く設定されています。

家庭で分別をする子ども(Photo_Simon Paulin/imagebank.sweden.se)

スーパーのレジ袋は1枚約90円⁈

日本では、2020年7月よりレジ袋が有料になりました。スウェーデンでも2020年5月1日と、ほぼ同時期にレジ袋が大きな注目を集めました。これまでもレジ袋は有料だったのですが、プラスチック製品の消費削減を目的にプラスチックのレジ袋が1枚2kr(約25円)から6~7kr(約70~90円)と大幅に値上げされたのです。洋服店などの無料で提供されていた袋も有料となり、多くの人が「マイバック」を持ち歩くようになりました。スウェーデンのスーパーマーケットでは、野菜や果物は量り売りされていることが多いのですが、そんなときに使用されてきたビニール袋までも有料になりました。サランラップの代わりになる蜜蝋のエコラップや紙のストローも普及しており、人々は可能な限り、プラスチックの使用を削減しています。

マイバックで買い物をする人(Photo_Margareta Bloom Sandebäck/imagebank.sweden.se)

オーガニックの野菜を買うカップル(Photo_Miriam Preis/imagebank.sweden.se)

サステナブルな消費者に

スウェーデンでは、サステナブルな消費者になることが大切だといわれています。どこに旅行にいくのか、何を食べるのか、どんなものを、どこで買うのかなど、一人一人が今までのライフスタイルを見直し、持続可能な社会のために自分ができることを実行しています。子ども服からタイヤ1本まで、何でも売り買いできるスウェーデンの中古品マーケットはその代表でしょう。何か必要だと思ったときや、これはもういらないと思ったときに、すぐに新しいものを買ったり、捨ててしまったりするのではなく、人々はセカンドハンドやフリーマーケットを上手に利用しています。

中古品を売るリサイクルショップ(Photo_Jann Lipka/imagebank.sweden.se)

夏のフリーマーケットを楽しむ人々(Photo_Faramarz Gosheh/imagebank.sweden.se)

子どものころから学ぶ持続可能な社会

スウェーデンには1962年に始まった「キープ・スウェーデン・クリーン(Håll Sverige ren)運動」という活動があります。白く美しかった雪が解ける春、人々はごみの多さが目につきます。そんな3月から5月にかけて、スウェーデンの多くの学校はこの運動に参加し、学校周辺や公園などの子どもたちにとって身近な環境をきれいに掃除します。子どもたちは、身近な場所で小さなことから行動に移す経験を通じて、毎日できる小さな行動が大きな変化を起こすことを体験します。スウェーデンに人々の持続可能な社会への意識の高さには、子どものころから教育と経験も大きく関係しています。

キープ・スウェーデン・クリーン活動をする小学生(Photo_Anna Simonsson)

リサイクルの資源分別をする親子(Photo_Cecilia Larsson Lantz/Imagebank.sweden.se)

持続可能な輸送システムを目指し続けるスカニア社

持続可能な生産消費活動が注目されるようになり、地元でとれたローカルな商品を求める人が増えました。「グローカル」という「グローバル」と「ローカル」が合わさった言葉が聞かれるようになり、グローバルな視野を持ちつつ、ローカルでできることをしていくという新たな考え方がスウェーデンでも広がりました。消費者は、企業の持続可能な社会への取り組みに関心を払い、何かを購入する際には、環境に配慮したエコロジカルな製品を選ぶようになりました。企業は、ビジネスが社会的エコシステムの一部であると認識せざるを得ない時代となったのです。

人気がある自転車通勤(Photo_Werner Nystrand/Folio/imagebank.sweden.se)

電気自動車の充電スタンド(Photo_Simon Paulin/imagebank.sweden.se)

『SCANIA(スカニア)』社でも、再生エネルギーを使用するなど環境的持続可能性に配慮しながら、持続可能な輸送システムの構築を模索し続けています。再生可能燃料の生産、効率的で再生可能なエネルギーの開発を自社の目標とし、電気自動車の普及、充電スタンドや電力供給基盤設備に力を入れ、走行中に充電できる電気道路の開発も進めるなど、常にグローカルな視野を持ち、サステナビリティに挑戦し続けています。スカニア社では、女性の社会進出や男女の賃金格差をなくすなど、社会的持続可能にも取り組み、地球の環境生態系と人間が共存し、良好な社会生活を営むことができるように、企業として何ができるのか考えながら、日々前進を続けています。

Scania G 410 LNG/LBG 4×2 general cargo transport(撮影地:スウェーデン ストレングネース)

*スウェーデンクローネは、2021年2月のレートになります。

【おすすめ記事】スカニアはユーザーとともに持続可能性の課題にチャレンジする〜「ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2018 プレイベント」

【おすすめ記事】スカニアの「持続可能な輸送」と日本の「Society 5.0」がテーマに。「ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2019」プレイベント レポート

【おすすめ記事】【新年のご挨拶】難局面でも挑戦を続けたスカニアと、日本で開花しつつある「サステナビリティ」〜スカニアジャパン 代表取締役社長 ミケル・リンネル氏インタビュー〜

【おすすめ記事】駅が美術館?!スウェーデン・ストックホルムの地下鉄アートとは

【おすすめ記事】スウェーデンの夏至祭、ミッドサマー。夏の到来を祝う伝統的なお祭りをご紹介

Text:サリネン れい子
Main Photo:Ulf Grünbaum/Imagebank.sweden.se

SHARE ON SOCIAL MEDIA

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

SCANIA JAPANの最新情報をお届けします。

GRIFF IN MAGAZINE創刊100号記念!印象的な記事を振り返る その2 〜スカニアの評価・導入効果・スカニア愛 編〜

スウェーデンに本社を置く、トラック・バス・産業および船舶用エンジンメーカーの『SCANIA(スカニア)』。その日本法人、スカニアジャパンがお送りする公式Webマガジン『グリフィン・マガジン(GRIFF IN MAGAZINE)』は、先日100号を迎えることができました。今回は100号記念のスペシャル対談の第2回、「スカニアを愛する人々」編をお送りします。

Scania Japan

GRIFF IN MAGAZINE創刊100号記念!印象的な記事を振り返る その1 〜記憶に残る取材編〜

スウェーデンに本社を置く、トラック・バス・産業および船舶用エンジンメーカーの『SCANIA(スカニア)』。その日本法人、スカニアジャパンがお送りする公式Webマガジン『グリフィン・マガジン(GRIFF IN MAGAZINE)』は、2016年3月の創刊以来、スカニアを運用するカスタマー、スカニア製品やサービスの特長、販売や整備を担うディーラーやスタッフのインタビューなどを掲載してきました。今回は100号を記念してスペシャル対談をお届けします。

Scania Japan

110年の歴史を誇るスカニア製バスの歴史を振り返るVOL.02〜1970年代から現在まで〜

『SCANIA(スカニア)』は、トラックだけでなくバスの分野でも世界有数のメーカーで、これまでに納入したバスの台数は、長距離バスだけでも17万台以上にのぼります。最近では、日本各地でもスカニア製エンジンを積んだ連節バス・路線バス・二階建てバスが活躍を始めており、その姿を目にする機会が増えています。1911年から1960年代を振り返った前回に続いて、今回は1970年代から現在にかけて登場したエポックメイキングなバスを貴重な写真とともにお送りします。

Scania’s History

世界を先導するスウェーデンのサステナビリティ

「サステナビリティ(持続可能性)」をスウェーデン語で、「Hållbarhet(ホルバールヘート)」といい、この言葉は、スウェーデンでは、本当によく見聞きします。『SCANIA(スカニア)』社でも、再生エネルギーを使用するなど環境的持続可能性に配慮しながら、持続可能な輸送システムの構築を模索し続けています。また、女性の社会進出や男女の賃金格差をなくすなど、社会的持続可能にも取り組み、地球の環境生態系と人間が共存し、良好な社会生活を営むことができるように、企業として何ができるのか考えながら、日々前進を続けています。

Culture

サステナブルな輸送のシフトに向けた最適なパートナー〜HAVIサプライチェーン・ソリューションズ・ジャパン合同会社〜

日本最大規模の外食チェーンのサプライチェーンマネジメントを一手に引き受けるHAVIサプライチェーン・ソリューションズ・ジャパン合同会社 (以下HAVIジャパン) は、新たに導入する大型冷凍車に、サステナブルな輸送へのシフトをリードする企業『SCANIA(スカニア)』のトラックを採用した。納車式のレポートと併せて、HAVIジャパン 職務執行者社長 下岡 弘幸氏にお話を伺った。

CUSTOMER

110年の歴史を誇るスカニア製バスの歴史を振り返るVOL.01〜1911年から1960年代まで〜

『SCANIA(スカニア)』は、トラックだけでなくバスの分野でも世界有数のメーカーで、これまでに納入したバスの台数は、長距離バスだけでも17万台以上にのぼります。最近では、日本各地でもスカニア製エンジンを積んだ連節バス・路線バス・二階建てバスが活躍を始めており、その姿を目にする機会が増えています。そこで今回から2回にわたり、1911年に登場して以来、2021年で110年の歴史を誇るスカニア製バスのヒストリーを、貴重な写真とともにお送りします。

Scania’s History