Culture

スカニアジャパン 代表取締役社長、ミケル・リンネル氏がスウェーデンのペールエリック・ヘーグベリ大使と語り合う 「スウェーデンと日本、そしてサステナブル」

今回お届けするのは、『SCANIA(スカニア)』の日本法人スカニアジャパン 代表取締役社長のミケル・リンネル(Mikael Lindner)氏がスウェーデン大使館を訪れ、着任ちょうど1年のペールエリック・ヘーグベリ(Pereric Högberg)大使と向き合うGRIFF IN MAGAZINEのスペシャル対談。日本の印象。スカニアのイメージ。そしてスウェーデンがもっとも得意とするサステナブルの真意。大使曰く「ちょっと哲学的になった」トークを披露します。

スカニアジャパン 代表取締役社長のミケル・リンネル氏

80年代、欲しいと思えるものはすべて日本から届きました

──初めに、それぞれこの国に来る前の、日本のイメージを教えてください。

(ペールエリック氏)まずスウェーデン人は、日本に対して100%ポジティブな印象を持っています。なぜなら、独特なカルチャー、ネイチャー、フードに多大な関心を寄せているからです。コロナ終息後に観光したい国ランキングでも日本は1位なんですよ。

2019年秋に着任し、駐日スウェーデン大使を務めている、ペールエリック・ヘーグべリ大使

日本を象徴する言葉は、イノベーション、テクノロジー、スマートソリューション、そして高効率。私がそのイメージを抱いたのは、10代を過ごした80年代です。画期的な電化製品、カメラ、スキー用品等々、欲しいと思えるものはすべて日本から届きました。それだけに首都の東京は、夢のような近代都市だと思っていました。そして大学生になる頃には、スウェーデン人と日本人には似ているところが多いと感じるようになったのです。互いに自然を大切にし、美味しい食品を愛し、厚かましくなく自慢し過ぎない。特に集団行動をとる国という点は、もっとも顕著な類似点だと考えました。

──大使は着任1年とお聞きしましたが、日本に来てイメージが変わったところはありましたか?

(ペールエリック氏)発見が多かったです。集団行動をとりつつも、個人単位では豊かな表現力を持っていること。人間性の部分で際立つのは、一定のスタイルにコミットする感覚です。先週、鎌倉に行ったのですが、そこでは皆同じ雰囲気に見えるサーフコミュニティに出会いました。あるいは北欧に憧れるが如く、スウェーデンのクルマに乗りIKEAに行き、できれば北海道に住みたいという意欲が一種のブランドと化しているのも、他の国では見られない傾向です。そしてまた日本人は自分の生活や国の政治などに納得していないような気がします。理由はまだわかりませんが、どうしたらハッピーになれるか、私もその答えを探していきたいと思います。

うれしかったのは、北欧に対する興味の高さです。他の国のスウェーデン認知は、戦時中や独立に関わるスウェーデンが行った支援が主でしたから、こんなにも文化や製品などを知ってくれていたのは、私にとって望外の喜びでした。

(ミケル氏)日本に対するイメージは、私も大使とほぼ同じです。学生時代には日本について学んだので、東京以外の都市、大阪、京都、神戸、広島の名前を知っていました。スカニアジャパンに来る前はアメリカのテキサスに住んでいて、日本赴任が決まってから改めてこの国のことを学びました。しかし実際に暮らしてみると、それらは表面的なものだったことに気付かされました。

──どんなところに違いを感じましたか?

(ミケル氏)非常に洗練された大都市と想像していたのですが、小都市によく見られる活力にあふれた街でした。そこに住む人々は一様に親切で、相手を尊重してくれる。まるで安心して暮らせる家のような場所ですね。

その一方で、ビジネスを行う上ではすべてが高効率とは言えませんでした。一部の業界や会社は、期待していたものとは違ったのです。だからこそ私たちスウェーデンの企業が貢献できる部分があると気付きました。スウェーデンはイノベイティブで、変化を受け入れながら新しいことを考えるのが得意です。そこに組織立って系統化できる日本の力を組み合わせること、もしくは互いに学び合うことができれば、より強固な関係性が築けるでしょう。

スカニアはスウェーデンそのもの

2018年春にスウェーデン大使館で行われた「ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2018 プレイベント」では、大使館内にスカニアが展示された。(Photo_YosukeKAMIYAMA)

スカニアはユーザーとともに持続可能性の課題にチャレンジする〜「ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2018 プレイベント」 はこちら

──大使にお聞きします。スカニアは母国でどんなイメージを持たれているブランドでしょうか?

(ペールエリック氏)スカニアはスウェーデンそのもの。以上!

(ミケル氏)ありがとうございます。(笑)

(Photo_SCANIA)

(ペールエリック氏)100年以上の歴史を持ちながら、世の中の変化に迅速に適応することを誇りに感じ、高品質で耐久性が高い製品を提供し続ける、我が国を代表するグローバルカンパニーですね。ただ、スカニアすなわちスウェーデンという認識は、日本人にはまだ浸透しきっていないようです。そこがすぐにつながるようになることを期待しています。

──ミケル氏にお聞きします。着任3年で日本国内のスカニアのイメージは変わりましたか?

(ミケル氏)印象を変えるよりは、この国でスカニアを広めるほうが重要だと考えています。私たちはバスやトラックを生産していますが、顧客に対するアプローチは製品の提供に留まりません。スカニアにとって大事なのは、製品に付加価値を与えることで社会全体に貢献すること。その主軸となるのはスカニアのシンボルであるサステナビリティです。そこに焦点を当て続け、より多くのパートナーに広めていくのは私の責務です。

そうした活動の中、2017年に初出展した東京モーターショーで“事件”が起きました。各メーカーのブランドグッズを販売するプレミアムショップで、スカニアが全出店メーカー中6番目の売り上げを記録したのです。これには喜ぶより先に驚いてしまいました。

スカニアが初出展した2017年の東京モータショーの様子。(Photo: 安井 宏充)

2017年の東京モータショーでのブランドグッズのディスプレイ。(Photo: SCANIA)

──理由を分析されましたか?

(ミケル氏)おそらくスカニアのグリフィンマークやロゴが魅力的に映ったのではないでしょうか。それと同時に、スカニアには国内の同業他社より多い約2万2千人のFacebookファンがいます。彼らがベースとなってスカニアを支持してくれたのでしょう。

(ペールエリック氏)大使館の同じ数字は5万5千人ですから、この先もっと増えるでしょうね。ミケル氏の話で印象的だったのは、可能性を秘めた日本市場でスマートシティやスマートソサエティを訴求するために、スウェーデン企業が得意とするサステナビリティを強調するということ。これには私も同意見です。スカニアはスウェーデン企業各社の先鋒となり、さらなる挑戦をしてくれることに期待します。

2017年の東京モータショーのスカニアブースにもたくさんの人が訪れた。(Photo: SCANIA)

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日本ではサステナブルの説明が難しい

──お二人の会話に何度も登場したサステナビリティ(持続可能性)は、やはりスウェーデンを語る上で外せない言葉のようです。SDSN(持続可能な開発ソリューション・ネットワーク)が2020年6月末に公開した『持続可能な開発報告書2020』の中のSDG Index scoresでは、スウェーデンが1位、日本は17位でした。なぜスウェーデンの人々はそれほどまでにサステナビリティを意識することができたのか、国民性または人間性に絞ってそれぞれの考えをお聞かせください。

(ペールエリック氏)これは私の大好きな質問です(笑)。“持続可能な社会”が達成されている背景には、スウェーデンと日本の社会の違いがあると思います。スウェーデンではいつでも若い世代の問題意識から変化が起きます。政府によるトップダウンで何かをやるわけでありません。私が学生だったときに上手く機能した運動、『キープ・スウェーデン・クリーン』も同様でした。これは子供たちが身近な環境について考え、先生たちがまずは校庭や公園の掃除を勧めたものです。スウェーデンで新たなムーブメントが生まれるときもっとも大事とされるのは、環境であるとかサステナブルという言葉とかではなく、行動を起こすことです。

(ミケル氏)大使がおっしゃった、若い世代からの変化には私も期待しています。そこで自分のビジネスでは、常に社員に権限を与え、社員自身がどうすべきかを考えられるよう留意しています。

(ペールエリック氏)話が少し逸れるかもしれませんが、この国の新しい首相候補に名乗りを挙げたのは年配者ばかりでしたよね。それに対して若い人たちは黙ったままだった。サステナビリティに関してもそうです。若い世代ほどその重要性に気付いていながら、なぜ積極的に意見を表明しないのだろうと不思議に思いました。

(ミケル氏)日本ではサステナビリティの説明が難しいですね。私たちにも苦労した経験がありました。サステナビリティをワンセンテンスで語るとすれば、我々が持っているエネルギーをより効率的に無駄なく使い、なおかつ再利用まで行いながら地球を守っていくということになりますが、全体像がつかみにくいのかもしれません。一部ではエコと同義で使われていることあります。エコはサステナブルな取り組みの一部に過ぎないのですが……。

(ペールエリック氏)とは言え、この先100年も炭素に頼る暮らしができない事実は多くの人が共有しています。であれば、今後成功する企業がサステナビリティの考え方を無視することはできません。輸送業界においても、環境問題に適切な対策を提案できる会社だけが生き残るでしょうね。

(ミケル氏)おっしゃる通りです。競争の中で将来も社会の一員であろうとするなら、まず企業はサステナブルな社会の実現に貢献するというマインドを取り込まなければなりません。消費者もまたサステナブルなソリューションを提供してくれるサプライヤーを選ぶ。そうした社会の要請にスカニアは今後も応えていくと同時に、5年、10年先だけでなく、今すぐにできることも考え、効率的なサステナブル・モビリティの実現に取り組みます。

サステナブルとはつまり、生きて死ぬこと

──サステナビリティに関してスウェーデンの方に直接お話を聞けたのは貴重な経験となりました。サステナブルの考えが浸透しているお二人を、典型的なスウェーデン人ととらえてよいでしょうか?

(ミケル氏)もしスカニアジャパンの社員に向かって『私は典型的なスウェーデン人か?』と問えば、そうではないと答えるでしょう。ただし、スウェーデン人には共通した価値観があると思っています。皆がもっとも価値を置いているのは人、家族です。少なくとも私はそうです。

(ペールエリック氏)典型的スウェーデン人については私もよく考えますが、私たちの国には容易に典型を見出せない事情があります。人口約1千万の内、およそ20%の人々が他国で生まれたか、または両親のどちらかが他国出身です。ゆえに一言でスウェーデン人と言っても均一ではありません。その中で育まれたのは個人の平等です。これは我々の文化に根付いており、大半のスウェーデン人が共有する価値観として、ミケル氏が話した人と家族に付け加えていいと思います。

──となるとスウェーデン人が築き上げたサステナビリティという考え方は、人を大事にし、平等を重んじることを原点にして、社会ひいては地球を守るという流れになっているのでしょうか?

(ペールエリック氏)将来の繁栄にサステナビリティは欠かせず、この社会に対して貢献できる、あるいは貢献する責任があると、スウェーデン人のほとんどが考えているでしょう。

(ミケル氏)サステナブルとはつまり、生きて死ぬことなのです。子供や孫に何ができるか、何を残せるか、それを生きているうちに考え行動することにスウェーデン人が価値を感じているのは間違いないと思います。

※換気の良い部屋でインタビューを行い、安全に十分に配慮したうえで取材を行っております。

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大使館の中には、日本庭園の中庭も。

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スウェーデンのお菓子や飲み物が販売されている、Try Swedish自動販売機。

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Text:田村 十七男
Photos:Masato Yokoyama

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