Culture

スウェーデンの夏至祭、ミッドサマー。夏の到来を祝う伝統的なお祭りをご紹介

長く暗い冬が終わり、明るい日差しがまぶしく輝くスウェーデンの初夏、新緑が美しく野花が咲き誇る、1年で最も過ごしやすく美しい季節です。卒業シーズンを迎え、学校も夏休みに入り、いよいよ夏本番。そんなスウェーデンの6月下旬、夏至に合わせて行われるお祭りがミッドサマーです。クリスマス、イースターと並び、スウェーデンの最も重要な年間行事の一つであるミッドサマーとは、いったいどんなお祭りなのか、その由来、祝い方、食事の内容など、ミッドサマーのすべてをご紹介します。

スウェーデンの夏至祭、ミッドサマー。夏の到来を祝う伝統的なお祭りをご紹介

緑豊かなスウェーデンの夏(Photo_Sara Ingman/imagebank.sweden.se)

スウェーデンの夏至祭、ミッドサマー。夏の到来を祝う伝統的なお祭りをご紹介

ミッドサマーのお祝いの様子(Photo_Vilhelm Stokstad/imagebank.sweden.se)

日照時間が20時間?!白夜の国スウェーデン

北ヨーロッパ、スカンジナビア半島に位置するスウェーデンでは、サマータイムに切り替わる3月後半から日照時間の長さを感じるようになります。スウェーデン北部では6・7月には白夜となり、ストックホルムでも夜の22時頃に夕日が沈み、朝4時頃には朝陽が昇ります。日照時間が長くなり始めると、近づく夏に心を躍らせるスウェーデンの人々は外で過ごす時間が増えていき、夏の休暇の計画を立て始めます。スウェーデンでは年齢により多少異なりますが、年間5週間ほどの休暇が保障されており、夏に3・4週間ほどとるのが一般的です。ミッドサマーに合わせて夏の休暇を取り始める人も多く、日本のお盆のように帰省・移動ラッシュが見られ、家族や友人とサマーコテージや別荘でお祝いする人も多く見られます。

スウェーデンの夏至祭、ミッドサマー。夏の到来を祝う伝統的なお祭りをご紹介

ミッドサマーは家族、友人とゆっくり食事をしてお祝いします(Photo_Vilhelm Stokstad/imagebank.sweden.se)

ミッドサマー、その由来は?

夏至祭であるミッドサマーはスウェーデン語では「Midsommar」と表記され、「ミィドソンマル」と呼ばれます。その昔は毎年6月23日に祝っていましたが、1953年に移動祝祭日となり、6月19日から26日の間で夏至に近い金曜日がミッドサマーイブとなりお祝いをします。クリスマスと並ぶスウェーデンで最も重要な行事の一つであり、もともとはキリスト教に由来しており、洗礼者ヨハネを祝うお祝いであるとされていました。しかしながら、宗教色が薄れつつあるスウェーデンでは、その昔から農業国だったことから、6月の終わりは閑散期でお祝いをするのに適していたからという説もあります。現代では、長い冬が終わり夏の到来を祝う行事というのが最も一般的で、家族親戚と祝うことが多いクリスマスに対して、ミッドサマーは友達などと祝う人も多く見られます。

スウェーデンの夏至祭、ミッドサマー。夏の到来を祝う伝統的なお祭りをご紹介

ミッドサマーには欠かせない、白樺の葉と季節の野花で飾ったメイポール(Photo_Vilhelm Stokstad/imagebank.sweden.se)

ミッドサマーの象徴、メイポール

ミッドサマーのお祝いに欠かせないのがメイポール。マイストング(Majstången)やミッドソンマルストング(midsommarstång)とスウェーデンでは呼ばれており、中世期にドイツから伝わったといわれています。スウェーデン語で5月を「Maj(マイ)」と呼ぶのですが、マイストングの「マイ」は5月という意味ではなく、白樺の葉で飾ったものという意味です。その名の通り、白樺の葉と季節の野花で飾るのがスウェーデンのメイポール。ミッドサマーのお祝いに手作りのメイポールを作る家族も多く見られます。メイポールの形は複数、諸説あり、女性と男性を象徴しているともいわれ、スウェーデンには3月生まれの人が多いという話も?!メイポールとともに欠かさないのが、ミッドソンマルクランス (Midsommarkrans)と呼ばれる花の冠です。メイポール同様に白樺の葉と野花で花の冠を作ってかぶっている人を多く見かけるのもミッドサマーらしい光景です。

スウェーデンの夏至祭、ミッドサマー。夏の到来を祝う伝統的なお祭りをご紹介

彩り豊かな野花で花の冠をつくる(Photo_Tina Stafrén/imagebank.sweden.se)

大人から子どもまでみんなで踊る「カエルのダンス」

ミッドサマーのお祝いは、白樺の葉を切り草花を集めてメイポールを作ることから始める家庭もありますが、スウェーデンならどんな小さな町でも大きなメイポールを立てて人々が集まってお祝いをする場所が設けられています。その地方の民族衣装を来た人々が集まり、町の中で素人でも楽器が上手な人がバイオリンや、アコーディオン、スウェーデンの伝統楽器であるニッケルハルパと呼ばれる鍵盤ハープなどを演奏し、祭りは本番を迎えます。民族衣装に生演奏でにぎわう中、子どもから大人まで老若男女、多くの人々で伝統のフォークダンスを踊る姿は圧巻です。ミッドサマーの定番のダンスは「カエルのダンス(Små grodornaスモーグロードナ)」。老人も子どももみんなカエルの真似をして「クワックワ」と飛び跳ねる様子は、とても微笑ましく一見の価値ありです。

スウェーデンの夏至祭、ミッドサマー。夏の到来を祝う伝統的なお祭りをご紹介

メイポールのまわりで楽しくダンス!(Photo_Carolina Romare/imagebank.sweden.se)

ミッドサマーと言えば・・・

スウェーデンにはミッドサマーの夜に、7種類の草花を枕の下に敷いて寝ると将来の結婚相手を夢見ることができるというかわいいらしい言い伝えがあります。7種類の草花はその地域によって異なり、9種類必要であるという地域もあるので、スウェーデンで夏至祭を祝ったあとには、その地域の方に聞いて試してみるというのもありかも?!

もう一つ、ミッドサマーと言えば、例年天気がいまいちなことで有名です。カラッと晴れるということはめったになく、雨が降り小寒く「ミッドサマーの天気」という言葉もあるほど。おしゃれをして、外で食事をして、ダンスをして、1日中夏を満喫したいスウェーデンの人々は、お天気対策に余念がありません。庭にテント、レインコートなどを準備し、どんな天気でも食事は外で、必ずダンスは踊るのがスウェーデン流のミッドサマーのお祝いです。

傘にレインコートの準備、どんな天気でもミッドサマーを楽しむ(Photo_Werner Nystrand/Folio/imagebank.sweden.se)

意外と質素なミッドサマーの食事

ミッドサマーの食事に欠かせないのが、新じゃがです。ジャガイモが主食であるスウェーデン、日本の新米と同様に新じゃがの味は格別です。ミッドサマーのお祝い用に新じゃがを自家栽培する人も多く、ディルという香草とともに茹でて、ニシンの塩漬けとサワークリームやニシンの酢漬けといただきます。デザートはイチゴと決まっており、イチゴと生クリームで食べたり、イチゴのケーキを食べたりします。飲み物は、スナップス(Snaps)やヌッベ(Nubbe)と呼ばれるアルコール度が30度を超える蒸留酒です。スナップス用のグラスを手に取り、お酒専用の歌をみんなで大合唱した後に、ぐっと飲み干します。こうして、スウェーデンのミッドサマーの長い夜は更けていきます。

スウェーデンの夏至祭、ミッドサマー。夏の到来を祝う伝統的なお祭りをご紹介

ミッドサマー用の新じゃがを栽培する人も(Photo_Carolina Romare/imagebank.sweden.se)

ミッドサマーを体験するならここ!

スウェーデンのミッドサマーを体験したいという方に、ぜひ訪れてほしいのがダーラナ地方です。ストックホルムから列車で3時間ほど北へ上ったダーラナ地方は、スウェーデンを代表する伝統工芸品の一つ「ダーラナホース(Dalahäsダーラへスト)」が生まれた地域として有名です。1700年代ごろから森林作業が盛んになり、その残り木で子どもの遊び道具を作り始め、1830年代に入ると木彫りの馬に色を塗り、模様が描かれるようになり、ダーラナホースが生まれました。そんなスウェーデン人の心の故郷ともいえるダーラナ地方は、例年観光客が2万人ほど訪れる、伝統的なミッドサマーのお祝いを楽しむスウェーデンミッドサマーの聖地ともいえる場所なのです。当日は観光客のためにお祝いをするので、地元の人々は前日にお祝いをするほどの力の入れよう。2万人の国際色豊かな観光客とともにスウェーデンの「カエルのダンス」を踊ってみれば、一生の記念に残る旅行となること間違いありません。

スウェーデンの夏至祭、ミッドサマー。夏の到来を祝う伝統的なお祭りをご紹介

ダーラナ地方のミッドサマーの様子(Photo_Per Bifrost/imagebank.sweden.se)

ストックホルムでミッドサマーを祝いたいという方は、野外民族博物館スカンセン(Skansen)がおすすめです。博物館と美術館の島として有名なユールゴーデン島にあるスカンセンでは、生の楽器演奏と共に民族衣装で伝統的なダンスを踊る人々を見ることができます。スウェーデンの気持ちのよい夏に行われるミッドサマー。ぜひ、一度体験してみてはいかがでしょうか。

【おすすめスウェーデンカルチャー記事】スウェーデンの復活祭、イースターをご紹介! はこちら
【おすすめスウェーデンカルチャー記事】春の訪れを楽しむスウェーデンの冬の暮らし方 はこちら

Text:サリネン れい子

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