スウェーデンのコーヒー文化、フィーカ。毎日の忙しさの中で、リラックスした雰囲気で会話をする時間を確保するのはとても大切なことです。コーヒーを飲みながら、お菓子を食べながら過ごす時間で新しいアイデアがうまれたりもします。今回はそんなスウェーデンのフィーカの風習をご紹介しましょう。
コーヒーを飲みながら会話を楽しむフィーカ(Fika)とは?
スウェーデン語で「フィーカ(=Fika)」とは「コーヒーを飲む」という意味を持つ。フィーカが重要なのは単なる休憩ではなく、「コーヒーを飲みながら他の人と会話を楽しむこと」で、スウェーデンではこの時間をとても大切な時間であると捉え、きちんとフィーカをする時間を用意する。つまりフィーカはごく当たり前に、家庭、学校、カフェ、職場で、同僚・友人や家族、恋人と行われる。そして、フィーカではコーヒー(紅茶の時もある)とともに甘いお菓子や軽食をそえるのが一般的だ。今回は、3月10日にスウェーデン大使館で行われた「ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2018 プレイベント」の合間に行われたFika Timeをご紹介する。
フィーカではスウェーデンの伝統菓子、「セムラ」も振る舞われた。イースターの前に食べる期間限定のお菓子で、アーモンドペーストとホイップクリームを挟むパンにはカルダモン(ショウガ科の植物)が含まれているため、甘みの中にスパイシーさもあってクセになる。
フィーカ会場の黄色いサインに記された「Glad påsk!(グラード ポスク)」とは、「Happy Easter!」のこと。スウェーデンの宗教感は世俗的になったとされるが、宗教を起源とする伝統行事は多く、春の復活祭のほか6月の「夏至祭」、8月の「ザリガニ祭」、そして12月の「ルシア祭」やクリスマスなどを祝う。
セムラ以外にもスウェーデンのお菓子がたくさん振る舞われた。ただ甘いだけでなく、アクセントの効いた味のものが多く楽しめた。
フィーカの飲み物にコーヒーと一緒に出されたのが「リンゴンサフト」というスウェーデンの飲み物。昨年は「セイヨウニワトコ」をベースとした「エルダーフラワーサフト」を頂けたが、今年は「コケモモ(リンゴン)」を煮詰めたシロップを水で割った「リンゴンサフト」が提供された。爽やかな味わいが印象的。
ダーラナホース(幸せを呼ぶ馬)を型どったクッキー、どれもジンジャーが効いていて美味しい!
リラックスした雰囲気の中で会話をすると、思わぬ発見をしたり、自分でも想像しないようなアイデアがこぼれたりするので、休憩はとても大事な時間だ。先進的な工業国であるスウェーデンの製品や文化に革新性や温かみがあるのは、フィーカの風習が関わっているのではないかと思った。GRIFF IN MAGAZINEの読者の皆さんも、ぜひフィーカを実践してみてはいかがだろう。思いもよらぬ新しい発見に巡り合えるかもしれない。
Text:遠藤 イヅル
Photos:YosukeKAMIYAMA