スウェーデンの歴史と技術力が生み出す、スカニアの高いテクノロジーと革新性
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スウェーデンの歴史と技術力が生み出す、スカニアの高いテクノロジーと革新性

強靭で堅牢なシャーシに、高性能かつ省燃費を誇るエンジンと快適なキャビンを載せる『SCANIA(スカニア)』のトラック・バスは、世界各国から高い評価を受けています。これらスカニア製品のふるさとが北欧のスウェーデンであることは、もはや説明の必要はないかもしれません。ところでスウェーデンといえば、日本では家具のイメージが強いのではないでしょうか。そこで今回は、伝統工芸品や家具・工業製品など、スウェーデンの技術力や工業化を成し遂げた革新性とスカニアの関係にフォーカスします。

スカニアを生んだスウェーデンってどんな国?

その前に、スウェーデンについて少しおさらいしておきましょう。スウェーデンという国名はポピュラーですが、どこにあり、そしてどのような国なのか、私たち日本人にはあまり知られていないと思います。

スウェーデンは、ヨーロッパ北部・スカンジナビア半島の東側にある、南北に細長い国です。緯度で見ると北緯55度〜70度ほどに位置しており、国土上側の約1/7は北極圏に入っています。日本最北端の宗谷岬でも北緯約45度ですので、北海道よりも寒いのではないかと思いますが、首都ストックホルムなどを擁する南部は、緯度の割には暖かく、真冬でも最低気温は−5℃ほど。夏は25℃くらいまで上がります。いっぽう北部では、冬の平均最低気温は−18℃まで下がり、夏でも平均気温は11℃ほどに留まります。北部は日照条件も特殊で、真冬では太陽が昇らない「極夜」が約1ヶ月、夏は夜になっても太陽が沈まない「白夜」が約1ヶ月続きます。

日本でも、スカニアは寒さや雪道に強く、キャビンの密閉性が高いという評価を受けますが、これは、北欧の過酷な環境で走ることを想定したスカニアならではの美点です。

スウェーデンの国土面積は約45万㎢(日本の約1.2倍)国ですが、日本のような急峻な山岳地帯は少なく、最高峰でも2,100mほどしかありません。国土の半分は森林に覆われており、地形は比較的平坦。湖沼が多いことも特徴です。人口は約1,045万人(2021年)、人口密度は23人/㎢です。日本では神奈川県が約920万人、東京23区が約970万人ですので、いかに人口が少ないかがわかります(参考までに、日本の人口密度は340人/㎢)。

国土の約97%が無人と言われており、29の国立公園と約4,000カ所の自然保護区を有しています。大きめの都市が集まる南部でも、周辺には広大な景色や素晴らしい自然が溢れており、身近に美しい自然を感じ取れるのは羨ましいところ。スウェーデンの人々は自然を愛しており、普段から自然の中で過ごすことを好みます。スウェーデンやスカニアが、サステナビリティ(持続可能性)について真剣に取り組み、高い環境意識を持つ理由がわかります。

スウェーデンの建国記念日は1523年6月6日と定められていますが、もちろんその前にも深い歴史を辿ってきました。そのため伝統的な文化やお祭り、手工芸品・伝統工芸品も数多く存在しています。

スウェーデン語で手工芸品を意味する「ヘムスロイド」には、織物・刺繍・編み物・木工細工・陶器・鉄製品など様々な種類があり、現在も生活の一部に取り入れられています。スウェーデンの冬は長く、かつては家で手工芸を行う人が多かったことが、ヘムスロイドを発展させました。

Photo_Masato Yokoyama

スウェーデンの伝統工芸品といえば、日本では、「ダーラナホース」が有名です。ダーラナホースはスウェーデン定番のお土産のひとつで、スウェーデン語では「ダーラナヘスト(ヘスト=馬)」と称します。「幸せを呼ぶ馬」としても親しまれており、その名の通り、スウェーデン中部・ダーラナ地方で約400年前から手作業で製作される工芸品です。現在もダーラナ地方には専用工房がいくつもあるほか、各地でダーラナホースが作られており、日本のスウェーデン大使館には、巨大なダーラナホースも置かれています。

Photo_YosukeKAMIYAMA

また日本では、スウェーデンといえば家具を連想する人も多いでしょう。モダンなスウェーデン家具は、余計な要素を削ぎ落としたミニマルなデザイン、優れた機能性によって、高い人気を誇っています。その一方で、アートやデザインの世界では、伝統的なヘムスロイドと近代的デザインの融合も次々と行われています。スウェーデンでは、美しいデザインを日常生活に取り入れることを大切にしており、これもまたスウェディッシュデザインの機能美や美しさをもたらしています。この他にも雑貨・建築・工業製品に至るまで、スウェーデン製品はシンプルで機能的なデザインの評価が高く、明るい色使いや自然素材を上手に取り入れることも特徴とされています。

スカニアのトラックやバスも、装飾が少ないシンプルな造形・高い機能性を両立した美しいデザインを持ちます。ここにも、スウェーデンが生み出した製品らしさを感じることができるのです。

クラフトマンシップと高い技術力、革新性が生む、スカニアのハイテクノロジー

そして大切なのは、スウェーデンの製品を支えている「クラフトマンシップ」。職人技、技巧、技能などと訳され、さらに日本的な言葉で置き換えるなら「匠(たくみ)」に相当します。伝統的なヘムスロイドで培われた丁寧なモノ作りという「クラフトマンシップのフィロソフィ」は、北欧随一の工業国となった現在のスウェーデンにおいても、家電・自動車など各種工業製品に息づいています。つまり熟練の技術が生む高品質な製品もまた、スウェーデン製品の大きなアピールポイントです。スカニア製品で定評があるハイクオリティもまた、まさにクラフトマンシップによるものと言えるでしょう。

 

またスウェーデンといえば、世界でもっともイノベーティブな国とも評されています。100年ほど前のスウェーデンは決して裕福な国ではなく、農業や手工芸などを主産業としていましたが、現在に至る工業立国に成長するまでに要した時間は、わずか数十年でした。ではなぜスウェーデンは、これほどまでに変わることができたのでしょうか。

これを成し遂げた理由には、鉄鋼をはじめとした豊富な天然資源、16世紀以降に鉄鋼業が発展したという背景のほかに、人々が常に新しい技術や製品を積極的に受け入れるようとしたとされています。

その結果、スウェーデンではアンデルス・セルシウスが摂氏温度を考案(1742年)、にはグスタフ・エリック・パシュが安全マッチ(1844年)を、アルフレッド・ノーベルがダイナマイトの特許を取得(1936年)しました。他にも、Lux社(現:エレクトロラックス)により掃除機(1912年)が、牛乳用のテトラパックが開発(1944年)されるなど、様々な発明や開発を行うに至りました。

スウェーデンのイノベーションを支えているのは、多くの人が英語を話すことができる語学力の高さ、創造性を重視する企業性、研究開発費を惜しまない国の姿勢など、いくつかの要因があります。

スカニア製品もまたその長い歴史の中で、V8エンジン(1916年)、予熱燃焼式ディーゼルエンジン(1936年)、直噴式ディーゼルエンジン(1949年)、ターボチャージャー付きエンジン(1961年)、モジュラーシステムのトラック(1980年)、エタノール燃料バス(1990年)、走行中に給電するパンタグラフ付きハイブリッドトラック(2020年)、100%EVトラック(2022年)など革新的な技術開発をいくつも成功させ、製品化してきました。今後は、脱炭素社会・自動運転化に向けた取り組みとして、完全自動運転トラック(2019年)、自動運転EVコンセプト「NXT」(2019年)などのコンセプトモデルをベースに実用化が進んでいくものと思われます。

工業製品である自動車は、生産国それぞれの個性や考え方、社会性が反映される鏡。スカニアにも、スウェーデンという国の特徴がしっかりと流れていることがわかり、とても興味深いです。今後もGRIFF IN MAGAZINEでは、スカニアのふるさと・スウェーデンとスカニアの関係を、様々な角度から紐解いていきます。どうぞご期待ください。

※当記事で使用している写真は欧州仕様車です。
日本国内で取り扱っている仕様とは異なりますので予めご了承ください。

Text:遠藤 イヅル

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