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自動車輸送のエキスパートも認める、車載トレーラー用スカニアの実力 〜株式会社ヤマサ様〜

活躍の場面を続々と広げる、スカニアのトラクター

『SCANIA(スカニア)』は、世界100カ国以上の市場で高い評価を受けており、日本でもトラクターやリジッドトラックなど数多くのスカニアが導入され、さまざまな目的に用いられている。その中でトレーラーに注目してみると、近年、タンクローリー・キャリアカーなど、続々と新たな活躍の場面を広げており、注目が集まっている。

安全な石油製品輸送に貢献する、日本初のタンクトレーラー用スカニア

車載用トレーラーを牽引するスカニアについては、以前GRIFF IN MAGAZINEでも取り上げている。大きな特徴は、スウェーデンに本社がある欧州生まれのスカニアのみならず、連結されるトレーラーもイタリアの「ROLFO(ロルフォ)」製ということだった。日本では見慣れないトレーラーの構造も合わせ、「正調欧州セット」の美しさに息を飲んだ読者も多いことだろう。

車両輸送のパイオニアが選んだ、車載トレーラー用スカニア

この「スカニア+ロルフォ」セット、そして車載用トレーラーを牽引するトラクターは全国各地で導入が進んでおり、広島県で自動車運送事業を行う株式会社ヤマサでも、これらの車両を活用した輸送を展開している。

広島市佐伯区五日市港に構える、株式会社ヤマサ本社の敷地に勢揃いした4台のスカニア。2022年12月現在、同社ではこのほか6台のスカニアを保有しており、合計10台の陣容を誇る。グリーンのボディーは同社のイメージカラーで、ほとんどの車両が、この色をまとう。

中古車を中心に、高品質な自動車輸送で定評のある株式会社ヤマサ

株式会社ヤマサは、2022年12月現在、広島県広島市佐伯区に本社を、そして福山(広島県福山市)・福岡(糟屋郡粕屋町)・大阪(大阪市住之江区)・名古屋(愛知県東海市)・東京(千葉県野田市)の各地に営業所を設けており、輸送用車両の所有台数は約140台という大きな規模を誇る。創業は1953年。「山佐運送」としてスタートした。当初は、セメントや生コンクリートなどの建設資材を運んでいたが、1971年に一般区域貨物自動車運送事業免許を取得してからは、自動車輸送業にも参入している。

同社が自動車輸送を開始したのは、当時まだ広島県内では自動車輸送を行っている企業が少なかったことに加えてオークションによる中古車売買・業者間取引がはじまり、さらに中古車の買い取り専門業社も登場して、大規模な中古車輸送体系が必要とされ始めたことが理由だ。やがてインターネットオークションが行われるようになり、中古車市場もさらに拡大。流通数も増えたことから、同社では2000年頃から事業を自動車輸送に一本化。車両の入念なチェック・保管ヤードの整備やスタッフの教育に強く力を入れており、高い輸送品質でも定評がある。中古車輸送のほか陸送・新車輸送も行っている株式会社ヤマサは、まさに自動車輸送のエキスパートと言えるだろう。

また同社では、自動車輸送のほか、輸送サービスの一環としてTAA ・NAA・USS・Juなど、全国23箇所のオークション会場に営業スタッフを置き、車両状態のチェックから入札・落札・売却などのサポートも行っている。

スカニアのキャブサイドに描かれた、同社のシンボルマーク。創業は1953年。2023年で70周年を迎える、歴史ある企業だ。

スカニアトラクターのほかイタリア製車載トレーラーも活躍中

自動車輸送を行うにあたり、同社では大型車載トレーラーや5台積み大型キャリアカー、1台積みキャリアカーなど多種多様な車両を用いている。その中で、車載トレーラー牽引用トラクターにスカニアが加わったのは、2020年春のこと。以来、本社に6台、福岡・大阪・名古屋・東京営業所に1台ずつ、合計10台が順次納入されて活躍中である。

株式会社ヤマサのスカニア「R410」には、ロルフォ製車載トレーラー専用と、日本製車載トレーラー用の2種類が存在する。この写真のモデルは前者で、その違いについては後述する。

さらに本社所属のうち1台は、イタリアの「ROLFO(ロルフォ)」製車載トレーラー「BLIZZARD J1」を牽引する。「BLIZZARD J1」は、日本専用設計を持つトレーラーで、支柱の少なく車重が軽いため、より多くの積載を可能とする。一度の運行で運べる量が多ければ、効率が上がりコスト削減にもつながるのだ。さらにロルフォ製トレーラーはフロアの昇降が電動のため、エンジンのパワーを取り出すPTO(パワーテイクオフ)を用いない。PTOの駆動には燃料を消費するが、ロルフォ製トレーラーを牽引する場合はそれがなく、トータルでの燃費数値が向上するのもポイントである。支柱の少なさはスッキリした外観を見せるとともに、幅が広く、乗り降りがしにくいエキゾチックカーの積載も容易とするメリットがある。

トレーラーの製品名は「BLIZZARD J1」。数多くのスカニアを保有し、自らトレーラー開発も行う株式会社トランスウェブ(千葉県)が、ロルフォ社と共同開発して誕生した日本専用モデル。

導入されたスカニアトラクターは、優れた快適性と高級感を備えた上位モデル「Rシリーズ」の「R410」である。R410には「DC13」型12.74ℓ直6ディーゼルターボを搭載。最高出力410馬力(302kW)/1900r/min、最大トルク2150Nm(1000-1300r/min)と、スムーズでストレスの無い変速を誇る12段AMT「オプティクルーズ」の採用により、力強いパワーと省燃費、そしてドライバーへの快適な運転環境を実現している。

こちらは、日本製車載トレーラーと組み合わされるスカニア。一般的な“日本型”車載トレーラーも、スカニアによく似合っている。製造は、日本を代表する車載トレーラーメーカーの浜名ワークス。ドライバーによれば、ロルフォ、浜名ワークスともに用途に応じて優れた積載性を持つため、比較してどちらが良いということはないという。

ドライバーだけでなくお客様からも評判が良いスカニア

自動車輸送のエキスパートであり、長い歴史を誇る株式会社ヤマサが、なぜスカニアやロルフォ製トレーラーを導入することになったのだろう。その理由や、実際にスカニアを使ってみた感想を、株式会社ヤマサ 代表取締役 椎木 裕隆氏にお聞きした。

「スカニアは、運用している業者からの紹介で知りました。評判が良かったこともあり導入を決めました。最初の一台は、2020年の3月くらいに福岡営業所に配属してみたのですが、実際に走らせてみると、乗り心地も良く燃費も優れていて、パワーもあってドライバーからの評判も上々でした。ドライバーが喜んでくれるのは嬉しいですね。それで、一気に10台まで増やしました。それと、現在の状況として、国産メーカーから購入しても、なかなか納入されないという問題もありますね。ロルフォのトレーラーは、ジャパントラックショーに展示されていましてね。低いクルマや幅が広いクルマが載せられて、積載量も多いというので興味を持ちました」

株式会社ヤマサ 代表取締役 椎木 裕隆氏。ドライバーが良い環境で運転できるスカニアに、高評価を与えてくださった。

━━スカニアの導入に関連して、お客様からの反応など、数字面以外の副次的な効果はありましたでしょうか。

「お客様に、『運ぶクルマがよく見えるから、綺麗なトラックで来て欲しい』と要望されたことがあります。その点では、デザインがよく見た目も美しいスカニアなら、お客様にも満足していただいておりますね」

インタビューにご同席いただいた、両備ホールディングス株式会社 両備テクノモビリティーカンパニー 岡山工場 スカニア事業部 課長 犬飼 昌宏氏。同社はスカニアディーラーで、株式会社ヤマサにもスカニアを納入している。「この業界に入ってから、ヤマサさんが初めてのお客様でした。そのため、ヤマサさんには特別な思い入れがあります」

なお株式会社ヤマサにスカニアを納入した両備ホールディングス株式会社 両備テクノモビリティーカンパニー 岡山工場 スカニア事業部 課長 犬飼 昌宏氏は、同社に納める車両には塗装の美しさや、「スペアタイヤを3種類搭載する」などのこだわりがあるという。確かに株式会社ヤマサのスカニアは塗装がひときわ美しく、ホワイトボディの上からコーポレートカラーを塗るだけではカバーしきれないドア開口部の内側なども、しっかりと塗られていたのは印象的だった。

株式会社ヤマサのトラックには、いくつかのこだわりポイントがある。そのひとつがこの「スペアタイヤ」で、全車輪に対応できるよう複数のスペアタイヤを搭載している。スカニアトラクターは前輪・後輪でサイズが異なり、トレーラーもサイズ違いのタイヤを履く。そこで、トラクター+トレーラーのセットで、3つのスペアタイヤが必要になる。通常のスカニアでは3種類のスペアタイヤを搭載する場所がないため、両備テクノモビリティーカンパニーでは、日本製トレーラー用スカニアのみ、株式会社ヤマサ向けの車両にこの改造を実施。キャブ後部に追加で2種類のスペアタイヤを置けるようにした。

一方、ロルフォ製トレーラー用スカニアの場合、トレーラーの前端がキャブのすぐ後ろまで来てしまうために3種類のスペアタイヤ置き場を作れなかった。そこでこちらのスカニアでは、スペアタイヤを1つだけ懸架する配置とし、タイヤを取り出せるよう新たに開閉式のサイドカバーを設けている。

スカニアなら、長距離での疲労感が軽減。一度の給油で名古屋までの往復も可能に

株式会社ヤマサでスカニアのステアリングを握る石田 英治氏(左)と、宮西 宏典氏(右)。乗り心地の良さ、静かさ、パワーの豊かさ、室内の広さなど、スカニアの美点をいくつも教えてくださった。

続いて、実際に乗務する同社のドライバーである石田 英治氏と、宮西 宏典氏に、スカニアに乗って感じたことをお伺いした。石田氏は、スカニア乗務歴約2年で、走行距離は30万キロほど。名古屋〜福岡間を週に2回往復する。

「輸入車に乗りたかったので、スカニアのドライバーになれたのは嬉しいです。スカニアはエンジンが静かで乗り心地も良くて疲れないですね。出だしも良く、運転が楽です。あと、室内の広さがとにかく嬉しいです。ドライバーは車内で過ごす時間が長く、休むことも多いので。スカニアのRシリーズなら車内で立つこともできるので、雨合羽を着たりするときも、広いのはありがたいです。他のドライバーさんからも、室内が広くていいね、など声をかけられます。スカニアに乗ったら、もう以前のトラックには戻れませんね」

そして名古屋までの往復乗務を主に行っている宮西さんは、取材時では株式会社ヤマサ唯一のロルフォセットのスカニアを担当する。スカニアには、2022年春から乗っているという。

「以前は国産車に乗務していました。スカニアは乗り心地が良く、室内が広いことが嬉しいです。オートクルーズも精度が高く、下り坂で速度があがったりしないのも良いですね。リターダーの効きも素晴らしいです。内装も乗用車のようでお気に入りです。ベッドも広くて快適で、スカニアに乗るようになってから、以前よりだいぶ疲労感が軽減されました。

驚いたのは燃費の良さです。今までは、到着地で帰りの燃料を給油していたのですが、スカニアだとそれが不要です。出発前1回の給油で、往復が可能となりました」

リアオーバーハングが短いかわりに、ホイールベースも短い。宮西氏によると小回りが利き、運転しやすいとのことだ。リアタイヤも245/70R14.5という小径サイズ。

省燃費により利益を生むスカニアの活躍は同社の成長に

スカニアは快適性が高く運転時のストレスも少ないため、ドライバーに優しい車両である、という評価を多く頂いている。また、長い時間乗務するような場面では、広大な欧州のコンチネンタルドライブで鍛え上げられた高速巡航性能やサスペンション、シートの良さなどスカニアの美点が発揮される。そのため長距離を走ることが多く、高額商品でもある自動車を運ぶため、特に気を遣う自動車輸送において、疲労感が少ないスカニアは最適な選択だといえる。

なお、すでに10台のスカニアを運用する株式会社ヤマサでは、今後もスカニアの導入を続ける予定がある。その台数は、なんと7台。トラクター+トレーラーの7セットで、内訳はロルフォ製が4セット、浜名ワークス製が3セットとのことだ。これは、自動車輸送のエキスパートである株式会社ヤマサの高品質輸送に貢献できる車両として、スカニアが必要とされ、その実力が認められたことを意味している。

ドライバー中心で開発され、省燃費により利益を生むスカニアは、きっとこれからも株式会社ヤマサのさらなる成長を支え続けるだろう。今後の同社の発展と、スカニアの活躍を期待したい。

美しいビリジアン・グリーンのスカニアが、冬空の澄んだ空気の下に輝く。西日本を中心に活躍する同社のスカニア。見かけたら、ぜひ手を振ってみてほしい。

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本社所属の6台のスカニアのうち、取材日は4台が並んだ。記事のカバー写真用に、いくつかのアングルから撮影したうちの2枚がこちら。

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アイコンを多用した注意書きも、国際規格製品らしさを漂わせる。社名の脇にある「S.P.A. BRA (CN)」とは、株式会社、ブラ市(クーネオ県)を示す。イタリアのピエモンテ州に所在する、人口約3万人の街で、ロルフォの本社所在地である。クーネオ県はイタリア北東部に位置し、左隣をフランスと接している。

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長いリアオーバーハング部には、ロルフォのロゴステッカーが貼られる。テールライトも、日本では見慣れないデザインだ。

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最大積載量は11.1t。同じスカニアが牽引する日本製車載トレーラーが8,400kgのため、実に2.7tも多く載せることが可能である。

Text:遠藤 イヅル
Photos:佐藤 大輔

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