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ドライバーズスコア100点!  スカニアの潜在能力を引き出す喜び 〜三陸運送株式会社〜

環境に優しく、企業に利益を生むスカニアの完成ウィング車

スウェーデンに本社を構える『SCANIA(スカニア)』の日本法人・スカニアジャパンが、2018年9月から日本国内で販売を開始したスカニア新モデルのリジッドトラック。より広い市場での普及を目指すべく、日本の物流に適した専用設計の「完成ウイング車」を用意したことが特長だ。高性能なパワートレーン・快適で広いキャブなどにより、長距離運転時のドライバー負担が少ないことから、採用企業とドライバーからも高い評価を得ている。

さらに、スカニアを採用することで大きなコストダウンが実現することも、これまでGRIFF IN MAGAZINEでお知らせした通りである。主な効果の一つに、スカニア完成ウィング車の省燃費性能による燃料費の削減が挙げられる。

高燃費を誇るスカニアがもたらす、大きなコスト削減効果とは 〜山岡倉運株式会社様〜

スカニアの完成ウィング車では、標準仕様として、国内需要に対応した日本トレクス製のウイングボディが用意される。今回、取材で訪問した三陸運送株式会社で活躍する「R410」には、最高出力410馬力(302kW)/1900r/min、最大トルク2150Nm(1000-1300r/min)を発生する「DC13」型12.74ℓ直6ディーゼルターボエンジンを搭載。スムーズな変速で定評がある12段AMT「オプティクルーズ」を介して、後輪前軸を駆動する。

しかし燃費はドライバーの運転方法によって大きく変わってしまう。そこでスカニアでは、メーターパネルに現在の走行状況から割り出された「点数」を表示することで、ドライバーに省燃費運転や安全運転をコーチングするシステムを構築している。車両側の走行情報は、コネクテッドシステム「FMS フリートマネージメントシステム」により事前登録された運行管理者に送信される。スカニアは抽出されたデータを、カスタマーに「モニタリング報告」としてフィードバックする。この際、ドライバーごとにスカニアが運転操作を評点したスコア(ドライバーズスコア)もわかるようになっている。

モニタリング報告では、アクセルワーク・アイドリング時間・速度超過、ブレーキのかけ方などの情報を車両ごとに把握できる。また燃費の向上は、二酸化炭素の排出量削減にも貢献するため、報告では燃料消費量だけでなく、二酸化炭素の排出量も表示される。ドライバーズスコアともども、前回の記録と比較ができるので、ドライバーはリアルタイムで車両のメーターに表示される点数を基準に、より省燃費で走れる「エコドライブ」の運転スキルの向上が可能になるのだ。

スカニアの「FMSフリートマネージメントシステム」では、車両から送信される情報により、燃料消費量だけでなく、アクセルを閉じている時間・アイドリング時間・速度超過、急ブレーキ操作、二酸化炭素の排出量などをオフィス側のパソコンでも確認することができる。写真は、車両側のドライバーズスコア表示。ご覧のように各走行状態が点数化され、正面のパネルで確認できる。(Photo_ Scania)

燕三条エリアの産業を輸送で支える、三陸運送株式会社

このモニタリング報告で、スカニアの営業担当者も驚いたことに、なんとドライバーズスコア「100点満点」を叩き出したドライバーがいるというのだ。それが、新潟県三条市に本社を持ち、3台のスカニア完成ウィング車を運用する三陸運送株式会社である。

同社は1951年創業の歴史ある企業だ。2021年7月現在、従業員88名、10tウィング車29台、4tウィング車20台、2tパッカー車7台など合計80台以上を保有し、郵便、宅配、燕・三条エリアの有力企業の長距離チャーター便、工場間輸送、一般貨物輸送、市のごみ収集・廃棄物回収を事業の柱とする。かつては「三条陸上運送」と称しており、その愛称「三陸」が略され、現在の社名になったという。

そして社屋に貼られているコーポレートマークは、ブランドイメージ刷新のために「SunLix」というキャッチとともに、作成されたもの。三陸運送では環境への意識が当時から高く、ロゴには「Sun(太陽)」「月(Moon)」「Earth(地球)」の文字が並ぶほか、車体などに記載のロゴには、エコロジーの文字も見受けられる。ピーコックグリーンとブルーの鮮やかな組み合わせも、同社のクリーンなイメージを体現している。

新潟県の燕・三条エリアの企業からのチャーター便などを事業の柱とする三陸運送株式会社。古くから環境へ配慮する意識を持っていた同社のロゴマークには、Sun(太陽)、月(Moon)、そしてEarth(地球)の文字が見られる。

鮮やかなチェッカー模様が美しい、三陸運送のスカニア。グリーンとブルーのカラーも、エコロジーな企業イメージを体現している。三陸運送が導入した完成ウィング車は、高級感あふれる内装・設備を誇る上位モデル「Rシリーズ」のキャブに、ハイルーフを組み合わせている。日本の法規いっぱいの高さ約3.8mのバンボディと、ハイルーフキャブの一体感が美しい。なおハイルーフ仕様では、ベッド幅が広い「スリーパーキャブ(R20H)」が選択されている。

導入した3台とも、ドライバーの嗜好を反映した仕様になっており、写真の車両では、グリルの横桟をホワイトにペイントしていた。

燃費性能に優れ、環境負荷も少ないスカニアへの期待

三陸運送では、2020年5月に3台同時にスカニアの運用を開始している。では、導入の理由は、どのようなことだったのだろうか。インタビューを受けてくださった同社代表取締役 岡田 大器氏にお聞きした。

「ズバリ、スカニア導入を決めたのは、ドライバーからの『こういうクルマがあるんです!ぜひ買ってください!』という『推し』と『熱意』でした。当社は専属車制度なので、新車購入時に希望の装備や、メーカーの違いによる好みをドライバーからヒアリングしたりすることはあるのですが、これまで一度も導入したことがないトラックを、ドライバーから猛烈にプッシュされたのは初めてでした」

三陸運送株式会社を率いる若きリーダーの、代表取締役 岡田 大器氏。厳しい欧州市場で磨かれたスカニアの性能に、大いに期待されていた。

──なるほど! ではのちほど、そのドライバーさんから直接、お話を伺ってみますね。では、スカニア導入による効果は、どんなところに感じられましたか。

「最近は燃料代が特に高騰しているので、スカニアの燃費が良いことはたいへん助かります。スカニア担当ドライバーがスカニアに乗務するようになってから、環境問題、燃費を良くする運転、安全運転に対する意識は、少なからず高まってきていると思います。弊社では、普段からドライバーへの各種指導を行なっているのですが、スカニアは運転に対するスコアが明らかになるため、スカニアに乗ることで、その意識をより高めることができたのではないでしょうか。この変化が、他のドライバーにも波及することを期待しています。

注目度や宣伝効果も、とても高いですね。導入当初は、同業他社から『輸入車が入ったんだね』と声をかけられました。スカニアが来たことを知ったドライバーからの、求人の問い合わせも多くなりました。今後、運送業界にも、環境に関して積極的な企業姿勢がより一層求められていくと思います。燃費が良く、排気ガスもクリーンなスカニアを使っていることが、弊社のアピールポイントになるでしょう」

「スカニアは環境に優しいトラックという印象がありますので、今後は、クライアントから『スカニアで運んでほしい』とお願いされるかもしれません」

スカニアジャパンも驚く、ドライバーズスコア100点を生むドライビングテクニック

スカニアジャパン営業担当者も「群を抜いて優秀です」と評価する、三陸運送のモニタリング報告。その立役者が、ドライバーズスコア90点以上をマークする、同社の敏腕スカニアドライバーたちだ。インタビューには、稲田 和久氏と大塚 博樹氏にご同席いただいた。

この稲田氏こそが、先般、ついにドライバーズスコア100点を出し、岡田社長にスカニアを奨めた張本人とのこと。そこでまず稲田氏に、スカニアを知った経緯や、スカニアへの感想をお聞きしてみよう。

ドライバーズスコアで90点以上という驚異的な点数をキープする、三陸運送のスカニアドライバー 稲田 和久氏(左)と、大塚 博樹氏。中でも稲田氏は、スカニアジャパンでも過去に見たことがない「100点満点」を出す超優秀なドライバーだ。

「21年ぶりのフルモデルチェンジで登場したスカニア新モデルを導入した大川運輸さんの記事を見て、スカニアに興味を持つようになりました。さらに、その記事で紹介されていた田村 崇氏と直接知り合いになることができ、スカニアに乗りたい!と強く思うようになったのです。そして、先代の社長(現会長の岡田 大介氏)に直談判をして、導入が決まりました。スカニアに初めて乗った時の衝撃は、今でも忘れられません。圧倒的な存在感、高級乗用車のような内装の質感、静粛性、室内の広さ、ハンドリング、エンジンの性能などすべてに身震いしました。もう、スカニア以外には乗れませんね。スカニアのドライバーであることを、嬉しく思っています」

カモフラージュされたスカニアの新モデル「ファースト・ランナー」による試乗インプレッションをお届け

大川運輸の田村 崇氏は、稲田氏と同様に独学でエコドライブを行い、高いドライバーズスコアを獲得していた。2021年、同社で半年に亘って実施されたスカニアドライバーズ講習会を受講しさらに燃費改善の運転技術に磨きをかけ、同社のドライバーズスコアコンテストで優勝している。
(Photo:YosukeKAMIYAMA)

──稲田氏は、ドライバーズスコアで100点を出されたとお聞きしました。毎月数千キロ以上に及ぶ長距離を運転していて満点を出すためには、常に運転に対して操作の意識をキープし続けないと、なかなか難しいことだと思います。数多くのドライバーズスコアを見ているスカニアジャパンのスタッフでも「99点までしか出ないと思っていた」「100点は見たことがない!」と言っています。ズバリ、100点を出す秘訣はどんなところにあるのでしょうか? 以前、別のドライバーさんには、「予測運転」がコツだとお聞きしました。

(稲田氏)「はい。私の場合は、さらに前を走っている乗用車に乗っている人まで見ています。例えば、前の車に母親と子どもが乗っていて、子ども病院が道沿いにあったとしたら、『左折して病院に入るかもしれない』と考えます。それを予測して車間を開けて走っていれば、ブレーキを踏まないで済み、アクセルを開く角度や回数を減らして、燃費の悪化を防ぐことができます。」

こちらが、スカニアジャパンから三陸運送に提供される、月次モニタリング報告の一例。ご覧のように、3台のスカニアの走行距離・惰性走行(アクセルを踏んでいない走行)・アイドリング時間の比率、燃料消費量、二酸化炭素排出量などがひと目でわかるようになっている。「Scania Driver Support」と表示される「ドライバーズスコア 」の項目では、3台ともに90点以上・3台平均で96点をマークしている。

──スカニアに乗務される前から、同様の運転をされていたのですか?

(稲田氏)「いえ、スカニアに乗ってからです。スコアが表示されるのがとても面白く、どうすれば高得点が出るかを考えるようになりました。それで99点までは出せたのですが、もはや99点では納得できなくなってしまって……(笑)。スカニアジャパンの方に『予測運転』と『車間距離を開ける』ことが秘訣かもしれないと教えていただき、努力を続けた結果ついに100点を取ることができました。本来、パワーがあって加速がいいトラックなので、アクセルを踏みたい誘惑もあり100点を出し続けるのは正直大変です。しかしスカニアを買って欲しいとお願いして買ってもらったので、少しでも良い数値と燃費を出して会社に貢献したいという気持ちがあります」

同色のエンブレムがクールな小物入れ(Waste bin)も稲田氏自慢のアイテムだ。

──排気量が大きくトルクが太いため、アクセル開度を少なくできることも、スカニアの燃費数値が良い理由でしょうか。

(大塚氏)「はい。例えば高速の急な登り坂では、国産トラックだとギアを1速落とさないと登らないのです。その分燃費も悪くなります。他のトラックが登り坂で失速していく中、スカニアは排気量とパワーもトルクもあるので、どれだけ荷物を積んでいてもそのまま走っていけます。」

(稲田氏)「スカニアR410の最大トルク数値2150Nmは、国産トラックでは520馬力クラスに相当します。ヨーロッパ車では、馬力の数字よりもトルク重視なのを感じますね」

GRIFF IN MAGAZINEの熱烈な愛読者でもあり(ありがとうございます!)、自他ともに「スカニアマニア」である稲田氏のスカニア。車内にはエンブレムを持つグッズが溢れ、スカニア愛の深さを感じさせる。「スカニアは段ボール箱さえカッコイイので、宝物になります」。助手席ドア上の「FIKA」というプレートは、稲田氏が参加する北欧製トラックドライバークラブのロゴマークだという。気の合う仲間で集い、お茶とお菓子を楽しみながらトラックの話で花を咲かせる……まさに北欧の文化、フィーカそのものだ。

スウェーデンのコーヒー文化、フィーカを体験!美味しいお菓子とともに楽しい時間を生活の一部に

スカニアが可能とする、エコドライブの有効性に注目

環境意識が求められ始めている物流業界では、「エコなドライブ」の有効性に、今後より注目が集まるだろう。エコドライブをすることは、コスト削減だけでなく「サステナブルな輸送」の実現にも近づく。しかし、これを目指すためには、性能が良いトラックの導入だけでなく、冒頭でも述べた通り、ドライバーの運転技術も不可欠なのだ。ドライバーの意識変化を推進するのは容易ではないミッションだが、スカニアなら、ドライバーも楽しみながら最適な運転を目指せる「FMS フリートマネージメントシステム」を活用することで、その目標を力強くサポートすることができる。

立地上、冬季に雪道を走行する機会も多いが、スカニアは雪道でも抜群の安定感を誇るという。

なお、この記事の読者の中には、ドライバーズスコアで高得点を出すのは好条件が整わないと難しいのではないか……と思われた方もいるかもしれないが、前出のスカニアドライバー・大塚氏は、スケジュールがタイトな運行を担当しており、業務上アクセルを多めに踏む回復運転が必要な場面がある。そのような中でも、素晴らしい点数をマークしていることに注目したい。たしかにハイスコアを出すためには、常にアクセルやブレーキ操作を意識する必要があるが、それをキープすることができれば、多くのドライバーが高得点を記録できる。しかも、稲田氏のように、より高い点数を目指して挑戦するという楽しみを持つこともできるのだ。

三陸運送では、スカニアがもたらす「エコドライブの有効性」が大きく結実していた。今後も、同社内でさらにエコドライブへの意識が広まることだろう。そして、スカニアが一台も多く日本を走り、ドライバーの意識変化、物流コスト削減、サステナブルな輸送に貢献することを期待したい。

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カバー写真を撮影するために移動するスカニア。取材では、現地に到着して初めて各社のスカニアを見ることが多い。それぞれが独自のカラーリングや仕様を持つため、毎回新鮮な驚きとスカニアの精悍さに感激する。

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3台揃って、いよいよカバー写真の撮影がスタート。カバー写真では上下がカットされる横長画像となるので、このようなアングルをカメラに収めることが多い。今回は、過去のGRIFF IN MAGAZINEでも例がない、左右のスカニアを約90度の角度で置くダイナミックな配置となった。

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R20Hキャブの完成ウィング車では、ドアヒンジやアオリ掛け金具、ウィングロックなどがステンレスのメッキ仕上げになる。

Text:遠藤 イヅル
Photos:Masato Yokoyama

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