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白馬・五竜スキー場にスカニア×大原鉄工所の圧雪車「RIZIN」の活躍を追う

スカニアのエンジンを搭載した大原鉄工所の新型ゲレンデ整備車「RIZIN」。2017年1月に長野県北安曇郡白馬村の「白馬五竜スキー場」導入され大活躍を見せている。今回は、白馬五竜スキー場を訪問し、実際にRIZINがゲレンデ整備に使用されている様子をレポートする。

大原鉄工所の新型ゲレンデ整備車「RIZIN」、スキー場で活躍中

以前、GRIFF IN MAGAZINEでは、スキー場で活躍する大原鉄工所製の新型ゲレンデ整備車(圧雪車)「RIZIN(雷刃)」に『SCANIA(スカニア)』のエンジンが搭載されたことをお伝えした。大原鉄工所は新潟県長岡市に本社を置く、国内で唯一圧雪車を製造するメーカーである。また日本で最初に圧雪車を開発したことでも知られる。現在同社では用途に合わせた圧雪車を数多くラインナップするが、RIZINはそれまでの主力機で「DF350」の後継に当たる中型機だ。日本の雪を知り尽くした大原鉄工所らしい圧雪車開発のノウハウが詰め込まれた一台で、2017年グッドデザイン賞を受賞したモダンで斬新な車体のデザイン、高性能・省燃費なスカニアエンジン採用による高い機動性と静粛性を備え、日本の平成26年排ガス規制や欧州のStage4、北米のTier 4fなどの厳しい規制もクリアした、環境性能にも優れた新時代の圧雪車である。

この新たな圧雪車RIZINは幾つかのスキー場に納入され、それぞれ活躍している。開発時に込められた高い性能と機能を大いに発揮しているという。そこで今回は実際にRIZINをゲレンデ整備に使用している長野県北安曇郡白馬村の「白馬五竜(はくばごりゅう)スキー場」にお伺いし、性能や使い勝手などのインプレッションをお聞きすることに。久しぶりに会えるRIZINの現場で活躍する雄姿を改めて見ることが出来ると思うだけで道中とってもワクワクした。

白馬・五竜スキー場にスカニア×大原鉄工所の圧雪車「RIZIN」の活躍を追う

2017年1月に白馬五竜スキー場に導入され大活躍を見せる大原鉄工所の新型ゲレンデ整備車「RIZIN」のサイドビュー。洗練されたスタイルは、これまでの圧雪車の印象を大きく変える。

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4月でも多くの雪を残す白馬五竜スキー場。2018年はゴールデンウィークの5/6まで春スキーが楽しめる予定。

大原鉄工所がRIZINのパワーパックにスカニアを選んだ理由は数多い。開発に膨大な時間がかかる圧雪車ではエンジン搭載に関連する開発コストを抑えることが大事だが、スカニアの産業用エンジンではエンジンとラジエターなどに既存の実績ある部品が使用可能なためコストダウンと開発期間が短縮できたこと、スカニアのエンジンが持つ低温時の始動性の高さ、信頼性、耐久性、低騒音、豊かなパワーなどのメリットが挙げられる。詳しい経緯やRIZINの高い性能についてはRIZINデビュー時のレポートが詳しいので、ぜひご覧になっていただきたい。

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ボディ中央に搭載されるスカニア製「DC09 085A型」9.3ℓ5気筒エンジン。最大出力257kw(350ps)を発生する。定格回転数は1,400rpm。パワフルなエンジンは、総重量10tにもなる機体に思った以上の機敏な動きを与える。厳しい排ガス規制をクリアしたクリーンディーゼルで、排気ガスには黒い色は全く見られない。この写真もエンジンがかかったアイドリング状態で撮影されている。

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オレンジ色に塗装されたエンジンは巨大だが、車体に埋め込まれていることと補機類に囲まれているためその全貌を見ることは難しい。この搭載位置の低さはRIZINの優れたコントロール性能の源でもある。

白馬五竜スキー場はゲレンデ整備車開発のパートナー

RIZINが稼働するスキー場の一つ白馬五竜スキー場に到着すると、早速RIZINが待っていてくれた。訪問した時期は暦的には春だが、標高が高く朝晩冷え込む白馬ではまだまだ春スキーが楽しめる。美しく雪を戴く白馬連峰の五竜岳麓に展開する同スキー場では、頂上側の「アルプス平」ゲレンデは5/6までオープンしているとのことだ。白馬五竜スキー場はレストランやショップ、仮眠室やバスターミナルも備える国内屈指のスキー場併設ベースセンター「エスカルプラザ」を有するウインタースポーツのメッカで、取材日は平日だったにもかかわらず多くのスキーヤーやスノーボーダーが来場しており、人気の高さをうかがわせた。雪質の良さでも愛好家に良く知られている。

白馬五竜スキー場でRIZINについてお話をしてくださったのは、白馬五竜スキー場を経営する株式会社五竜の索道営業部 索道管理課 課長で、ゲレンデ整備を担当する9名のチームスタッフと6台の圧雪車を管理する松本 賢一氏と、大原鉄工所 営業部 部長の渡辺 博氏のお二方だ。

「五竜さんでは現在、私たちの会社の歴代の大型機にずっと乗っていただいておりますので、比較や性能などは我々よりも松本さんをはじめとしたオペレーターの皆様の方が熟知されており、常にフィードバックを頂戴しています。新型に切り替える際も、既存機の性能や機能で何を残すのか、ということを考える際にも、とても重要なご意見になります。私たちはいろいろな場面を想定して設計をするのですが、実際に使わないとわからないことも多いのです。」

と渡辺氏が語るように、白馬五竜スキー場では継続して大原鉄工所製の圧雪車を使用しており、白馬五竜スキー場からのフィードバックが大きいという。

白馬・五竜スキー場にスカニア×大原鉄工所の圧雪車「RIZIN」の活躍を追う

今回の取材でRIZINの「現場での声」を届けてくださったのは、株式会社五竜 索道営業部索道管理課 課長 松本 賢一氏。白馬五竜スキー場でゲレンデ整備チームを率い、ご自身もまるで手足のように自由にゲレンデ整備車を操縦する。

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RIZINを生み出した株式会社大原鉄工所で営業部 部長を務める渡辺 博氏は、同社と白馬五竜スキー場の長年の関係やRIZIN導入の経緯を教えてくださった。OHARA×SCANIAのジャケット、カッコイイ!

群を抜くスカニアエンジンの静粛性

——ズバリ、RIZINの性能や使い勝手、従来の機種との違いはいかがでしょうか?

松本氏「はい、まず乗って、静かです。試乗会などにも参加していろいろな機種に乗っていますが、RIZINは群を抜いています。スカニアのエンジンは1500回転の実用回転域に達しても静かなのです。1日5時間以上乗車しますので、静かな方がもちろん良いですね。」

渡辺氏「静かさは快適性以外にも、作業時の“異音”を教えてくれるのです。整地作業中に聞こえる音がいつもと違っていても、エンジン音が大きいとかき消されてしまいます。感じ取る音の違いで整地時の大きなトラブルを防ぐことができます。」

松本氏「あと、雪質にもよるのですが、従来の圧雪車では下れなかったような坂も、降りていけます。下り坂は、場所によっては滑り落ちていくこともあるのですが、RIZINはコントロールが効きやすいです。」

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旋回を行うRIZIN。超信地旋回を可能とするため最小回転半径は0mだ。これも履帯を備えたゲレンデ整備車の特長。車体中央にエンジンなどの走行機器を載せ、前方にはブレード、後方には圧雪ローターを備える。

渡辺氏「コントロールがしやすいのは、重心やバランスの細かな設計によります。圧雪車は重い(RIZINは約10t)ですが、重心がわずかにずれるだけでも登坂性能が上がったりします。下りもオペレーターさんが思い通りに降りられるようにする必要があります。ゲレンデ以外の場所にも入っていかないとなりません。自分の手足のようにコントロールできることが大切です。前後のアタッチメントのアームの長さがちょっと短くなっただけでもオペレーターさんは気が付きます。」

——RIZINにも白馬五竜スキー場向けのカスタマイズはされているのでしょうか?

渡辺氏「はい、カスタマイズを行っています。アタッチメントの反応や動きのさじ加減はスキー場ごとに違いがあり、作業のテクニックはスキー場ごとに踏襲されていきますが、五竜さんでは9人のオペレーターさんの意見を松本さんがまとめてくださるので、それを反映しています。」

松本氏「ブレードのフレームを少し伸ばして重心を前に移動したり、オペレーションレバーの左手側をセンターに移してもらったりしています。納車後にも大きな対応をしてくれる圧雪車メーカーは大原さんだけです。」

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RIZINの操縦席。ゲレンデ整備車はそれぞれのスキー場に向けたカスタマイズが行われる。白馬五竜スキー場用のRIZINも同スキー場のオペレーターが慣れ親しんだ操作ができるよう一部操作機器配置が変更されている。

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本来、RIZINでは左右への操舵と前進後退を司る左手用レバーは左のアームレストに装備されているが、白馬五竜スキー場ではそれがセンターに移植されている。なお右手のレバーではブレードとローターを操作する。標準ではアームレストに設置されている液晶モニターもセンターに置かれるが、これも白馬五竜スキー場に納入後に依頼されたカスタマイズだ。

RIZIN、白馬五竜スキー場で大活躍

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RIZINが力強く雪面を整地していく。RIZINは大原鉄工所のゲレンデ整備車の中では中型機に属する。白馬五竜スキー場でもそのコンパクトさを利した活躍の場面が増えているという。

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後部の圧雪ローターで美しいゲレンデを作っていくRIZIN。雪質に合わせて撹拌する量を変動できる可変式レギュレーターを採用する。

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RIZINの通った後に出来上がる美しいフラットな整地面。見ているだけで気持ちがいい。ゲレンデ整備車の性能だけでなく、オペレーターのスキルも要求される。大原鉄工所製の圧雪車はRIZINを含め直感的な操作が可能なため、歴の浅いオペレーターでも操縦しやすいという。

——白馬五竜スキー場にRIZINを導入された理由は?

渡辺氏「私たちの狙いといたしまして、大原は大型機だけでなく中型機もあります、という発信の拠点を五竜さんとさせていただきました。白馬界隈のスキー場は大型機がメインなのですが、中型機は他社さんのですので、RIZINで“中型機も大原”にしていきたいです。また、ずっと私たちの機械を使っていただいている五竜さんで運用することで、ご意見を頂戴してブラッシュアップを行っています。」

——大型がメインだった白馬五竜スキー場でRIZINはどのように使用されているのですか?

松本氏「中型機のRIZINは、パーク以外の雪遊びができる箇所の整地を担当しています。大型車では大きすぎるような場所もRIZINはコンパクトですので入っていけます。スノーカヤックの大会など今年行ったイベントでの整地はほとんどRIZINが担当しました。」

渡辺氏「今、ゲレンデ整備車は安全に登って下れるという基本性能の他に、ゲレンデスキー以外の遊べる場所を作るなど、求められる機能が増えています。その需要に合わせられるような製品提供をできるのがRIZINです。またスキー場のオペレーター不足の問題にもRIZINはお力添えができると思います。ゲレンデ整備の技術は、1年2年ではなかなか習得できません。先輩の指導を仰ぎながら技術を学ぶだけでなく、私たちの技術でその期間を短くし、かつ品質の高いゲレンデを作れるお手伝いができれば、と考えています。」

良いゲレンデの整地具合はそのまま品質の高いゲレンデ、良いゲレンデというスキー場の評判となる。つまり性能が高い圧雪車は美しいゲレンデを生み、それが結果としてスキー場への来場者数増加につながっていくのだ。それを実現するのも優れた操縦性を支えるスカニアエンジンを搭載したRIZINの使命なのだと感じた。

白馬五竜スキー場では今後もRIZINの導入を考えているという。日本を代表する圧雪車メーカー大原鉄工所とスカニアエンジンの美点が見事な融合を見せるRIZINのさらなる活躍を応援したい。

白馬・五竜スキー場にスカニア×大原鉄工所の圧雪車「RIZIN」の活躍を追う

北欧の過酷な環境の中育まれたスカニアエンジンを積んだ、日本の雪を熟知した新潟・長岡から生み出されるゲレンデ整備車、RIZIN。今後のさらなる活躍が楽しみだ。

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RIZINは「雷刃」を意味する。キャビンやブレードに新たに加えられたイエローのロゴにも「刃」のイメージが反映される。

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ゲレンデ整備車で重要な後方視界を確保するため、エンジンカバーが斜めにカットされている。

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エンジンの上部にはマフラー(消音器)が設置される。RIZINにスカニアエンジンが採用された理由の一つに「静粛性」が挙げられたが、確かにこのサイズのエンジンとしては静かでエンジンカバーを閉めなくても近くで会話ができるほど。

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湿った雪でも固着することがないよう、履帯は柔らかい材質で出来ている。なおホイールは車好きなら誰しもが知るBBS(BBSジャパン)による鍛造アルミ製。

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パワフルなエンジンから出力されたパワーで駆動される履帯は、雪の重さをものともしない。

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雪を押し上げる前部のブレード。プラスチックコーティングが施され着雪を防止する。3分割されておりブレード全体も上下左右に柔軟に可動する。最大展開幅は5,790mm。

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綺麗に雪面を整地する後部の圧雪ローター。開発には5年以上を要した。大原鉄工所が持つ、長年に渡る日本の雪に対する研究と技術開発力が詰め込まれている。

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圧雪車が作り出す美しい整地面にため息。白馬五竜スキー場では18時からナイター営業を行う際には圧雪車が稼働して整地を行うため、この美しいゲレンデに一番乗りできるチャンスが朝一番よりもある。

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キャビン上部右サイドに輝くパワード・バイ・スカニアのプレート。

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こちらは圧雪ローターの最大幅6mの大原鉄工所製大型ゲレンデ整備車、「DF430」。履帯幅が広く、前後のブレード/圧雪ローターがない状態でも全幅は5mに達する。白馬五竜スキー場ではこのDF430の前身モデル「DF400」、さらにその前任機「DF370」など大原鉄工所製大型ゲレンデ整備機を継続して使用しており、実際に運用された現場の情報は大原鉄工所の製品開発にフィードバックされている。

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圧雪車を創り続ける大原鉄工所と、使い続けてきた白馬五竜スキー場は信頼で結ばれたパートナーだ。

Text:遠藤 イヅル
Photos:横山 マサト

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