Scania Japan

【スカニア新モデル解剖編】21年ぶりのフルモデルチェンジ!気になる細部を徹底チェック!

21年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたスウェーデンのトラックメーカー「スカニア」の新モデル「NEXT GENERATION SCANIA」。その性能面はもちろん、開発秘話などグリフィンマガジンだけでしか知ることができない情報をぎっしり詰め込みました。

21年ぶりのフルモデルチェンジを経てスカニア新モデルが登場

実に21年ぶりのフルモデルチェンジを受けて登場した『SCANIA(スカニア)』の新モデル「NEXT GENERATION SCANIA」。日本法人スカニアジャパンでは2018年4月から“トラクター”を、続いて2018年9月から“リジッドトラック”の発売を開始しています。今回そのスカニア新モデルの細部に迫ってみたいと思います。

スカニア新モデルは、2016年9月のIAA国際商用車ショーで世界初公開され、2017年のインターナショナル・トラック・オブ・イヤーを獲得、欧州では好評を持って迎え入れられています。なお前身となるPGRシリーズは、1995年に登場した「4シリーズ」がベースです。4シリーズは2004年にグリルやランプ類を変えるなど内外に大規模な変更を経てRシリーズに発展。このときから現在まで続く「シリーズ名+馬力」というネーミングが使用されています。2006年にはスタンダード版のPシリーズ、そして2007年にPシリーズとRシリーズの間を担うGシリーズが追加され、PGRシリーズのラインナップが完成しました。なお4シリーズは1996年、Rシリーズは2005年のインターナショナル・トラック・オブ・イヤーを受賞しています。1995年以来21年ぶりのフルモデルチェンジを果たしたスカニア新モデルもインターナショナル・トラック・オブ・イヤーの栄冠に輝きましたので、モデルチェンジの度に大きな賞を得ていることになります。

【スカニア新モデル解剖編】21年ぶりのフルモデルチェンジ!気になる細部を徹底チェック!

写真は「Rシリーズ」のハイルーフ、「R450 4×2 R20H」。スカニアらしさを残しつつ、全く新しいスタイルに生まれ変わった。ヘッドランプはハイ/ロービームのほかデイライト/ウインカーをビルトイン。すべてLEDとなった。車名はこれまで通りシリーズ+最高出力を示す。

内外装からパワートレーンまですべてを一新

21年ぶりのフルモデルチェンジとなったスカニア新モデルは、10年に及ぶ開発期間と約2,500億円のスカニア史上最大の開発費用をかけてシャーシ、キャブ、パワートレーンすべてを一新しています。ローンチまでは地球300周分に相当する1,250万km以上の走行テストを行いました。世界各地で使用されるワールドワイドモデルですので、カモフラージュを施し厳重に機密管理された状況での公道走行テストは世界8エリアにわたります。また、スカニア新モデルの登場に合わせ、ほぼすべての製造工程がロボットによって行われる近代的なキャブ工場がスウェーデンのオスカーシュハムン(Oskarshamn)に新設されています。

エクステリアはPGRシリーズのイメージを残しつつ直線的でスタイリッシュにまとめられ、一目見てスカニアとわかるデザインが採用されました。これまでも定評のあった堅牢なキャブにはさらに高い剛性が与えられ、世界でもっとも厳しいと言われるスウェーデンの安全基準もしっかりクリア。左方直下及び側方の確認用カメラ「コーナーアイ」の標準装着や着座位置変更、窓ガラス拡大によって視界の拡大を図るなど様々な対策を充実させて安全性も向上しています。

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空力特性の改善が一層進められたエクステリア。キャブ後部を覆うエアディフレクターは空気抵抗を減少させ、最大で4%の燃料を節約する。トラクターではサイドスカートは全車標準装備され、空力特性改善もサポートする。ホイールベースの長さ、エアサス/リーフサスなど幾つかラインナップが存在するため、牽引する対象、重さなどの用途に応じたさまざまな仕様を選ぶことが可能なのもトラクターの特徴。

新モデルでは、燃費と走行性能向上のために、エンジン、クラッチ、トランスミッションなども刷新されました。好燃費が評判だったスカニアのエンジンは、インジェクターと燃焼室の改良などによってさらなる燃料効率の最適化を目指しています。V8エンジンでは約80kgの軽量化も達成。約7〜10% も燃費が向上したとのことです。更にスカニアが誇る12段AMT「オプティクルーズ」にも改良が加えられました。「レイシャフトブレーキ(カウンターシャフトブレーキ)」を採用しシャフト回転スピードの制御を行うことで変速時間を45%も短縮しています。

また、6×4重量物運搬トラクターには、「3ペダルク ラッチオンデマンド」も選べるようになりました。セミオートマチックのオプティクルーズではクラッチのない2ペダルが基本なのですが、3ペダルクラッチオンデマンドでは低速走行時や微速走行時の発進後退などの車両コントロール性を向上させるためにクラッチペダルを追加しています。3ペダルですが通常はクラッチペダルを踏まなくても通常通り自動で変速が行われます。

【スカニア新モデル解剖編】21年ぶりのフルモデルチェンジ!気になる細部を徹底チェック!

新モデルでは安全性の向上も図られている。新たに全車装備される左方直下及び側方の確認用カメラ「コーナーアイ」が捉えた画像は、助手席ドア上部の10インチモニターに投影される。死角となるエリアがしっかりと画面に映っているのがわかる。

そして新モデルでは空力性能向上にも留意しています。エアディフレクターだけでなくバンパーやルーフ、サイドスカートなどの部品単位で風洞実験とシミュレーションを徹底的に行い、空力特性による燃費低減を実現しました。

安全装備も充実。全車車間距離保持機能付きクルーズコントロール(ACC)、衝突被害軽減ブレーキ(AEB)、車線逸脱警報(LDW)、電子制御しき安定走行プログラム(ESP)などを備えています。

新たに「Sシリーズ」を加え、豊富なバリエーションをさらに充実

 

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スカニア新モデルで初登場の「Sシリーズ」。Sシリーズのラインアップは、4×2低床トラクターでは直6エンジンのS410、S450、S500、3軸の6×4トラクターではV8エンジンが積まれたS520、S650となっており、ハイルーフは直6エンジン搭載車のみ選択が出来る。S650のエンジンは16.4ℓV8エンジンで、650馬力(479kW)/1900r/minの最高出力と3300Nm(950-1350r/min)の最大トルクを誇る。なお、新モデルからV8エンジンは520と650という2バリエーションとなり、前者は最高出力520馬力(382kW)/1900r/min、最大トルク2700Nm(1000-1300r/min)の性能を持つ。

これまではP、G、Rの3レンジだったスカニアに、新モデルでは新シリーズが追加されました。それが「Sシリーズ」です。最上位モデルだったRシリーズ“トップライン”のさらに上位に位置するSシリーズは、キャブ床面のフルフラットを実現して居住性をさらに増したモデルで、ウインドウ位置も上昇してグリルはさらに迫力あるものになりました。床面高さが上がってもキャブの室内高さはRシリーズトップラインに匹敵する数値を保持。装備はRシリーズよりさらに充実し、他を圧倒する外観とともに新しいフラッグシップにふさわしい存在感、風格を持ちます。実際にSシリーズを目の前にしたとき、その高さにまずびっくりしました。4段のステップを登って乗り込むキャブからの視界は抜群です。

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上位モデルのRシリーズ「R410 4×2 R20H」。ハイルーフ、エアディフレクター付き、ロングホイールベース仕様である。Rシリーズのバリエーションは直6エンジンのR410、R450、R500、V8エンジンのR520、R650で、Sシリーズの登場後もRシリーズ+V8エンジン搭載3軸トラクターが存在。ノーマルルーフも選べる。R410の「DC13」型12.74ℓ直6エンジンは最高出力410馬力(302kW)/1900r/min、最大トルク2150Nm(1000-1300r/min)を発生。RシリーズにはR410、R450、R500があり、R450、R500のスペックはそれぞれ450馬力(331kW)/1900r/minと2350Nm(1000-1300r/min)、および500馬力(368kW)/1900r/min/2550Nm(1000-1300r/min)。

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こちらがスタンダードモデルとなる「Pシリーズ」。スタンダードと言っても必要充分な装備を誇り、安全性と快適性は上位のG、R、Sシリーズに全くひけを取らない。写真のモデルはリジッドトラックのデイキャブ、ノーマルルーフ360hpエンジンを組み合わせた「P360 6×2 P17N」。駆動軸は後輪の前側である。デイキャブはベッド幅540mmを確保する。410 hpエンジンの「P410」もチョイス可能だ。リジッドトラックは日本トレクス製のウイングボディを架装した「完成車」として販売される。(撮影:Masato Yokoyama)

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Pシリーズのトラクター、「P410 4×2 P20H」。トラクターのキャブはベッド付のスリーパーキャブで、ノーマルルーフもしくはハイルーフを選択できる。この新モデルはフロントオーバーハングを5mm短縮、フロントアクスルやサスペンションを一新したことでハンドリングも向上している。

そしてPGRシリーズ同様、新モデルもP、G、Rの3シリーズをラインナップしています。Rシリーズは快適で高級感に溢れた長距離輸送向けの理想的なモデル。今回も豊富な装備と収納スペース、広いキャブを持つハイスペックモデルとして用意されています。Gシリーズは快適性と使いやすさを高いレベルで両立したモデルで、従来同様スカニアのミドルレンジを担います。キャブ高さがRシリーズよりわずかに低いのも、PGRシリーズを踏襲しています。Gシリーズではすべての直6エンジン(410、450、500)を選ぶことができます。

乗降が容易で操縦性と視界に優れたキャブを持つPシリーズは、都市間輸送や街中での使用などさまざまな用途に最適な経済性の高いモデルです。もちろん安全性や高い品質は上位レンジに準じ、必要充分以上の快適装備や安全性能を持つので、スカニアの快適性や長距離運転時の疲労の少なさを体感することができます。またPシリーズは、これまで以上に開発と販売に力の入ったスタンダードモデルとして位置付けられます。新しいPシリーズには、P360に360 hpを発生する9.29ℓ直5エンジン「DC09」型が新たに搭載されたほか、410 hpの直6エンジンを持つ「P410」もカタログにラインナップされています。

質感をさらに高め、収納力や居住性も大幅にアップしたインテリア(内装)

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整然としてモダン、心地よいデザインを持つ新モデル(Rシリーズ、オプション装着車)のインテリア。ダッシュボードの7インチインフォテイメントシステムはPシリーズ以外全車に標準装備。ステアリングホイール上のボタンで操作も可能。キャブの開発は、基本となるドライビングポジションから新規で行われた。シートの位置は視界向上のため前方方向に65mm、側面方向に20mm移動されている。

すべてを刷新した新モデルでは、インテリアも大きく進化。スクエアになって前後に大型化されたキャブによって室内空間が増え、居住性は格段に向上しました。前+外側方向にシート位置が移されたことによってシート背面のスペースが拡大されて、ベッドのサイズも大きくなりました。そして新モデルのキャブで特に広さを実感できるのは高さ方向です。例を挙げるとキャブ高さ自体が低いPシリーズでもハイルーフ仕様を組み合わせると、これまでのGシリーズ ハイルーフよりも室内高が14.5cmも拡大。Rシリーズ ハイルーフ仕様ではPGRシリーズと新モデルを比較した場合、キャブ床面から天井までの室内高は1.9mから2.07mに。天井が高くなったことで乗った瞬間に「広いなあ」と思わず声が出てしまうほどのゆとりを感じさせるのです。キャブ内の至るところに設けられた収納の多さも注目です。

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ダッシュボードをはじめとしたインテリアの質感はさらに向上した。使いやすい位置にカップホルダーを備える。

機能的でエレガントなインテリアはさらに磨きがかかりました。ダッシュボードの質感はさらに高級感を増し、まるで高級乗用車のよう。クロームパーツも派手でなく効果的に使用されていて好感が持てます。全体のカッチリとしたイメージはデザインだけでなくスイッチ類のタッチにも反映され、細かいパーツにもこだわりを感じさせます。シート自体の形状の良さ、使用されている素材やデザインも北欧らしいモダンなものになっています。これまでもその品質に定評があったレザーシートや木目調のステアリングなどのオプションは新モデルでも豊富に用意されており、5種類のシートタイプと組み合わせて好みのインテリアにカスタマイズを楽しめます。シートは固めで形状も良く、シートに合わせて着座姿勢をきちんとすれば、長時間の着座でも疲労が少ないのではないかと思います。

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新しいPシリーズのステップは2段のみで、乗降は容易。なおPGRシリーズは3段だった。

【スカニア新モデル解剖編】21年ぶりのフルモデルチェンジ!気になる細部を徹底チェック!

広々とした新しいPシリーズ ハイルーフ仕様のキャブ内。フロアからの室内高はPGRシリーズ比で14.5cmもアップして飛躍的に室内空間が拡大。PGRシリーズのGシリーズに匹敵する広さを実現している。新モデルのスリーパーキャブでは全車ベッドサイズがPGRシリーズから拡幅された。

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Pシリーズ ハイルーフのキャブの室内高さが伝わるだろうか。筆者(166cm)がフロアに立ち、思い切り手を伸ばしてようやく届くほど。

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ヘッドランプやフォグランプなど灯火関係のスイッチとミラーの電動調整スイッチはドア部に移動した。灯火類のスイッチとしては珍しい場所への設置だが、操作性は良く慣れるととても使いやすい。

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洗練されたデザインと高い質感を持つドア内張り。北欧デザインの面目躍如だ。

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新モデルでは収納スペースの豊富さにも驚かされる。こちらのPキャブはダッシュボード上のフロントルーフシェルフ。ハイルーフ仕様では196.2ℓの容積を持つ。その他リアルーフシェルフなど多数の収納があるが、そちらは記事後半のギャラリーコーナーで紹介したい。

迫力のV8専用インテリア(内装)

スカニアの象徴とも言えるV8エンジン搭載モデルには、専用のインテリアが奢られました。分厚いブラックレザーの表皮とV8ロゴのエンボス加工を持つシートとレザーステアリング、ドアトリム、そして専用品のフロア&センターマットには赤いステッチが巡っています。ダッシュボードの各部にも赤いアクセントパーツやV8のロゴが散りばめられ、V8モデルが特別な存在であることを教えてくれます。黒とベージュでコーディネートされた重厚で洗練された室内空間を、赤が引き締めてくれているのです。

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V8エンジン搭載車のステアリングホイールは赤いステッチとレザーの専用仕様。写真はS650のもの。キャブ内での移動を容易にするために、ステアリング下部がフラットになっている。質感の高さがこの写真からも伺える。ステアリングホイールの右奥に覗くレバーがシフトとリターダーのスイッチ。シフトはダイヤルを回すだけのシンプルな仕様に。

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RシリーズとSシリーズでは、ベッド下部には大容量の容量を持つ引き出しと冷蔵庫を備える。写真はS650。

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V8エンジン搭載車には専用のブラックレザー素材のシートが装備される。赤いステッチとヘッドレストに刻まれたV8の文字が誇らしい。

“本気の日本仕様”で作ったスカニアのリジッドトラックを選択肢のひとつに

スカニア渾身のニューモデルを発売するにあたり、スカニアジャパンでは気合充分で販売体制やサービス体制の充実に当たっています。そこでこの新モデルについて、スカニアジャパン株式会社 営業本部 企画開発シニアマネージャーの廣岡 真幸氏と、大阪中央ディーラー セールスマネージャーの北田 健二氏に、とりわけ販売に注力するリジッドトラックに関してお話をお聞きしました。

【スカニア新モデル解剖編】21年ぶりのフルモデルチェンジ!気になる細部を徹底チェック!

リジッドトラック導入秘話などを話してくれたスカニアジャパン株式会社 営業本部 企画開発シニアマネージャーの廣岡 真幸氏(右)と、大阪中央ディーラー セールスマネージャー北田 健二氏(左)。

—— スカニアといえば日本でもトラクターの評価が高いと思うのですが、新たなユーザー層にアプローチするべく発売が開始されたリジッドトラックも拝見させていただきました。日本での使い勝手に優れた「本気の日本仕様」になっていると思います。スカニアジャパンとしてはどのような方に乗っていただきたいですか。

廣岡氏「スカニアのトラクターは性能、快適性や安全性から高いご評価をいただいております。そのためこれまでは、スカニアを気に入っていただいたお客様やスカニアに興味を持たれたお客様から、指名買い的、嗜好的にご購入いただいたことが多かったのですが、リジッドトラックは国産メーカーの完成車と同じ感覚で、日本の多くのお客様に選択肢の一つとして選んでいただければと思っています」

—— そのためにはどのような販売戦略を考えていらっしゃいますか。

北田氏「今回のリジッドトラックは完成車として販売をいたしますので、今までお声をかけていなかった大手の物流業者様などにアプローチをかけていく予定です。私たちのリジッドトラックはまだ知名度が低いので、スカニアにもリジッドトラックがあります、とアピールしていきたいです」

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新モデルのリジッドトラックは3軸車で低床4軸車並みの荷台高さを実現する。燃料タンクは一般的に低床4軸車では容量400ℓだが、スカニアでは3軸車の強みを生かして2つのタンクで合計500ℓ入る。(撮影:Masato Yokoyama)

—— ズバリ、リジッドトラックの良さを教えてください。

廣岡氏「日本のユーザーが求める荷室の内寸9.6m、高さ2.6mを取れたトラックということ、それを6×2の3軸車で実現したことは大きなメリットになります。1軸少ないためランニングコストが少なくなることが今後実績として出てくると思います」

—— リジッドトラックの導入に向けてご苦労はありましたでしょうか。

北田氏「リジッドトラックを発売することとは、戦略として今後はより多くのお客様にご使用いただく車の開発を考えています。スカニアが持っているプレミアム性を保ちつつも販売価格が高すぎては販売の増加は難しくなってしまいます。欧州ではこのサイズではフルトレーラーになることが多いため、ここまで長い日本型のトラックを作るのに最適なホイールベースのシャーシがなかなか見つからないなどの苦労がありました」

話題の新モデルの中でもさらに注目のリジッドトラック。スカニアジャパンにとっても一般的に普及しているリジッドトラック販売は大きなステップになるかと思います。そこで、スカニアジャパンは戦略モデルとしてのPシリーズ以外にもRシリーズにもデイキャブを用意し、燃料タンクも欧州の左右振り分けから左側に集約するなど、とても細かな変更をたくさん行っています。日本の道路事情や風土に合わせて海外のトラックメーカーが「日本向け」にしっかりと仕立ててきたことは特筆に値します。

スカニア新モデルの活躍と今後のラインナップに期待

新モデルの詳細に迫る今回の記事はいかがだったでしょうか。新モデルはモダンなエクステリアと高い質感を持つインテリア、居住性や快適性の高さ、高い性能と好燃費などを備え、全方位にわたって磨きがかかったモデルとなりました。一般的なトラックであるリジッドのウイングボディ完成車も用意されていることも大きなトピックです。ライバルが多い世界のトラックの中でも高い評価を得続けてきたスカニアだけに、21年ぶりの新モデルにかける並々ならぬ想いをここ日本でも感じさせられます。

日本の風景を変える力を持つ優れたデザイン、ドライバーの労働環境も変える高い快適性と安全性を持つスカニア新モデル。GRIFF IN MAGAZINEでは今後もこの新モデルの新しい情報をお伝えしていきますので、どうぞお楽しみに!

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ひときわ高いキャブが凛々しいS650の勇姿。3軸の重量物運搬トレーラーなので迫力も凄い。スカニアの象徴であるV8エンブレムは、フロントグリル以外にもサイドスカートにも装着されている。

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見やすく美しいメーターパネル内(G、R、Sシリーズ用)には7インチカラー液晶がビルトインされ、安全運転に必要なギア段数やタイヤの空気圧などの情報がオンタイムで表示される。

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こちらはスタンダードモデルのPシリーズのメーターパネル。シンプル&モダンなデザインで、視認性に優れた大型メーターと情報のモニタリングを随時行う4インチカラー液晶を持つ。表示される情報量は充分以上。

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USBポート、AUX入力ポート、12V/24V電源など便利なコネクターを各種装備。エアコンはフルオート式だ。

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視界の向上にも力が入れられている。フロントガラスを大型化、ピラーも細くなりダッシュボード上端を低くしたことなどによって得られた見晴らしの良さがわかる。ダッシュボードから展開できる折りたたみテーブルは便利な装備だ。回転&リクライニングする助手席シートはオプション。

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車種によりオプションで選択できるレザーシートは北欧生まれの製品らしいシックな色使い。車内はシートカラーとコーディネートされ、落ち着きのある空間になっている。シートタイプ自体もニーズに合わせてベーシック/ミディアム/プレミアムなど5種類が、素材もファブリック/ベロア/レザーなど4種類が用意されており、様々な組み合わせを楽しめる。

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Rシリーズ(オプション装着車)のベッドスペース。R、Sシリーズは最大幅100cmまで広げられる拡張式。快適な睡眠ができそうだ。新モデルではベッドのマットレスにボンネルスプリング式、低反発フォーム、ポケットスプリング式が用意される。トラクターでは夏季における休息中のアイドリングストップを推進するためキャブクーラーを全車標準で備えるが、新モデルでは湿度も調整するタイプとなり、しかも外付け感の無いビルトイン式となった。

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キャブ後部・上部に設置可能なリアルーフシェルフ。写真はRシリーズ ハイルーフ仕様のもの。容量は324ℓ。

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SシリーズとRシリーズのベッド下部収納の引き出し。奥は冷蔵庫だ。Sシリーズで81ℓ、Rシリーズが62ℓの容量がある。

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Pシリーズ、Gシリーズのベッド下部収納は一体型の引き出しに。容量はどちらも同じで66ℓもある。

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Pシリーズのキャブ内。ドア上にも収納があることがわかる。新モデルは全車キャブ後部に窓が設置されたのもトピックだ。

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V8エンジン搭載車には専用シート以外にもフロアマットをはじめとして専用のインテリアパーツが数多くあしらわれる。赤いラインとV8ロゴがアクセントだ。

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大型で視認性に優れる左右バックミラーは、4面ともすべて電動調整が可能。素早く曇りを除去するヒーターも装備する。

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コーナーアイのカメラは、このように助手席側に設置される。

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PGRシリーズから受け継がれたキャブ外部収納。内部には照明を備える。車内からのアクセスも可能だ。キャブ外部収納はPGRシリーズのPシリーズには設けられていなかったが、新モデルではPシリーズにも用意された。写真はまさにそのPシリーズのもの。Sシリーズではその高さを利用して2段式になる。

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Pシリーズの前輪。ミシュランのタイヤ(ミシュランXマルチウェイ3D XZE、315/70R22.5)にアルコア製のアルミホイールを履く。アンダーボディ未塗装が標準仕様である。

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Text:遠藤 イヅル
Photos:Yosuke KAMIYAMA, Masato Yokoyama

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