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アストロメガの名を継承し、運行を開始した新型はとバスを体験!

明るい黄色の車体に鮮やかな“HATO BUS”の赤いロゴ。仮にその姿を目にしたことがなかったとしても、『はとバス』の名前を耳にしたことはおありでしょう。1948年から東京都内や横浜市内を起点にしてツーリストのための定期観光バスを運行している、老舗中の老舗。昼夜合わせて150近くの多彩なメニューが用意されていて、日本各地から首都圏に遊びに来られる方々の定番であることはもちろん、海外から日本を訪れる人々からも人気です。

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そのはとバスがスカニア製のエンジンとシャシーを持ったバスの導入をスタートしたことは、お伝えしたとおりです。日本国内で2階建てバスの製造が終了してしまってから今回そのバスが日本に上陸するまでのストーリーは、誰もが想像するより困難な壁の立ち塞がる、関わった人達のいくつもの情熱に支えられたものでした。

記事はこちら:SCANIAエンジンを搭載した“新しい日本の二階建てバス”

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「アストロメガ」の名前を継承した新しいバスは、すでにこの4月末から運行が開始されていますが、それに先駆け2階の客席に乗せていただく機会に恵まれました。はたしてどんな心地を味わわせてくれるのでしょう・・・?

イメージよりも遙かに身体に優しい乗り心地

書き手である僕自身はクルマに関するモノ書きで、本来は自分で走らせて様々なメディアにその印象を寄稿するのが仕事の大半を占めています。あくまでも仕事柄なのが泣けてくるところではありますが、自分ではそう簡単に手に入れることなどできないスーパーカーや贅をこらした高級サルーンなどに触れることが少なくなく、そういう意味では乗り心地に対する優劣の判断基準はおそらく一般の方よりも厳しく方向にシフトしがちかも知れません。なのに、スカニアのシャシーが生む乗り心地は、ちょっと驚くほどに快適で、とても身体に優しく感じられ、素直に嬉しい気分にさせられたのでした。

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車体の後方にある階段で二階に登り、シートに腰を下ろすと、最初に感じたのは座り心地が良好なことでした。車体を架装したバンホールがセットしたそのシートは、ふんわりとした感触ではなく、当たりはほどほどに柔らかいけれど芯がしっかりしていて、長時間座っても腰や背中の疲れが少ないタイプ。乗用車に例えるなら、ドイツ製高級サルーンのそれに近いといえるかも知れません。

そしてバスが動き始めると、僕はあることに気づきました。身体の揺れがかなり少ないのです。もちろんドライバーの方の運転技術によるところも大きいのでしょうが、走行中のピッチング(前後方向の揺れ)もローリング(左右方向の揺れ)も、あまり伝わってこないのです。御覧のとおりの2階建てで車高は3.78mと高く、当然ながら重心も高いわけです。乗用車でも同じですが、重心位置が高ければ高いほど発進時や減速時のピッチングは大きく、路面の状態が悪かったりコーナーを曲がったりするときのローリングも大きいものです。物理の法則には勝てません。

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が、スカニア製のシャシーは、それを電子制御式のエアサスペンションで、上手くいなしている感じでした。路面の荒れた場所や段差などを乗り越えるときも、その凹凸を嫌な衝撃として伝えてきたりすることはありませんでした。バスはその大きさや車体の形状の性質上、横風の影響を受けやすいものですが、風の比較的強めだったその日、突風を受けて車体が一瞬揺れることはあっても、クルマ自体の進路が乱されるような動きを見せることもありませんでした。あらゆる局面において、揺り返しのようなものを感じることもありませんでした。シャシーの剛性がすこぶる高く、サスペンションの制御が優秀であることの証ですね。

乗り味としては、これまで体験したことのある観光バスなどよりやや引き締まった印象ですが、サスペンションが伸び縮みするときの動きがとてもしなやか。だからとっても快適で、ちょっとやそっとの乗用車では太刀打ちできないレベルにあるように感じたのでした。

もうひとつ気づいたことは、エンジンとトランスミッションの連携の良さ。このバスが積むスカニア製のエンジンは、“DC13”という型式を持つ、直列6気筒の1万2742ccのターボ・ディーゼル。同じくスカニア製のトランスミッションは、12段変速の“オプティクルーズ”と呼ばれる、クラッチを完全に自動化したAMT(オートメイテッド・マニュアル・トランスミッション)です。

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エンジンの音は、少なくとも2階のシートに座っている限り、耳障りなものとして聞こえてくることはありません。こうしたクルマですから乗用車のようにエンジンをブンブン回して走るものではないと理解してはいましたが、それにしてもエンジンの回転が高まる様子が感じられないのです。それもそのはず、このエンジンは410psの最高出力をわずか1900回転で発生させ、2150Nm(219.2kgm!)の最大トルクをたった1000〜1300回転の間でまかない続けるのです。それを12段変速のギアで、次々と繋いでいくわけです。トランスミッションの変速ショックも皆無で、いつギアが切り替わったか判らないくらい。意識しなければパワートレーンの存在は忘却の彼方です。それでいて車両総重量19トン近くの凄まじく重たい車体を、力強く滑らかにスピードに乗せていくのです。街中での発進も、高速道路でのクルージングも、その動きには全く苦がないようでした。

「このクルマとは長く付き合いたいな、と思います」

ドライバーの方にお話を伺うことができました。はとバスのドライバーとしてこれまで様々なバスの運行を担当してこられた、村尾吉貞さんです。

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──これまで運転してこられたバスと、この新しいバスとでは、どんなところが異なってますか?

今日で走らせるのは3回目で、まだ操作に慣れてないところもあるから第一印象みたいなものですけど、色々なところが違いますね。

──例えばエンジンやトランスミッションでは?

パワーが410psしかないから力不足かな?って思う人も多いんですけど、そんなことはないですね。トルクが結構大きいので。それに12段のトランスミッションが、これが基本操作はオートマティックと同じで煩わしさがないんですけど、エンジンのトルクのいいところを使えるように自動的にギアを切り替えて走れるようになっているみたいで、力強いし運転しやすいです。かなり計算されている感じですね。エンジンも滑らかに回ります。

──コクピットの操作性はいかがですか?

すべて手元にあるというか、必要なものがドライバーの手が届きやすいところに集約されていますので、とても扱いやすいと感じます。

──サスペンションの動きとかはどうでしょう?

国産のバスと較べると少し固めかとも思うんですけど、乗り心地はいいですね。前後にも左右にもクルマが変に動いたりはしませんし、揺り返しもないです。きっとお客様も同じように感じられるんじゃないでしょうか。それはこのクルマの特徴だと思います。曲がるときにもロールが少ないから安定してますし、まっすぐ走るときも安定してます。路面にハンドルを取られるようなこともありません。全体的に、扱いやすい、とても素晴らしいクルマですね。これに乗れるのは嬉しいですよ。長く付き合いたいな、と思います。

スカニアの乗り味を体感できる2つのコース

プロフェッショナルにも「嬉しい」といわせるスカニアのパワートレーンとシャシーですが、乗っていた僕達がやっぱり嬉しいもうひとつの決定的な要素は、やはり3mを超える高い位置から風景を眺めながら移動できる非日常的な感覚と、そしてアメニティ。

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車内ではWi-Fiにアクセスすることができて無料でインターネットに接続できますし、シートの下部にUSBコネクターが備わっていますから、スマートフォンをはじめとするデジタル機器を充電することも可能です。楽しい時間を過ごしているときの電池切れ、泣きたくなりますものね。
それにはとバスならではバスガイドさんの解説は通常は日本語で行われますが、“TOMODACHI”と名付けられたワイヤレス受信が用意されていて、英語・フランス語・スペイン語・中国語・韓国語・ベトナム語・インドネシア語・タイ語など8ヶ国語による解説を聞くこともできます。海外からの友人と一緒に観光を楽しむときに、とてもありがたいですね。
この新しいアストロメガは、先述のとおりすでに運行が開始されています。『東京タワーと国会議事堂』コース(コース番号:A149)、そして『二大ブリッジドライブと夜景の六本木ヒルズ』コース(コース番号:B270)です。

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はとバスのウェブサイトから検索して、皆さんもぜひ北欧が生んだスカニアの包容力ある乗り味を体験してみてください。ちょっと感激すると思います。
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Text:嶋田智之
Official bus photos:横山マサト
Photos:Shigeta Kobayashi

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