INTERVIEW, SCANIA WAY

風力発電用風車の巨大な部材を運ぶスカニアを追う 〜株式会社ミック様〜 

再生可能エネルギーとして注目される風力発電。その風車(風力タービン)の建設現場で、株式会社ミックのスカニアが大活躍していると聞き、静岡県御前崎市に向かった。そこに待ち受けていたのはドイツメーカー製の巨大な風車のパーツだった……。

注目の再生可能エネルギー「風力発電」

『SCANIA(スカニア)』は世界で、そして日本で日夜様々な物資を運んでいる。特にスカニアが強みを発揮するのは、その中でも重量物の輸送だ。スカニアのエンジンは高出力かつ低速から盛り上がるトルクを持つため、橋梁、建機、重機など数十tの重さの積荷を運ぶ際にその威力をより感じられる。今回も重量物輸送の現場で活躍するスカニアを見ることができたが、スカニアが牽く輸送物はとびきり大きなものだった。それは風力発電用の風車(風力タービン)だ。風が強い海岸線などに巨大な風車を設置して回転力により発電を行うシステムで、建設コストが安く設置場所の土地も小さく済み、発電時にも地球温暖化ガスなどを出さないなどメリットが多い。近年、将来性の高いクリーンな再生可能エネルギーの一つとして世界中で注目されている。日本でも巨大な風車が海岸線に続々と設置され始めているので見たことがある人も多いと思う。そう、風力発電用の風車は、巨大なのだ。遠くからもその威容を確認できることができるほどに。しかしこの巨大な風車をどのように運びどのように設置しているのか、また風力発電用風車の多くが海外メーカーで製造されていることを知る人は少ないだろう。筆者もその一人だった。

御前崎港に隣接された敷地に並ぶ風力発電用風車を構成する巨大なパーツたち。風車は支柱と羽(ブレード)で構成される。支柱は5つのパーツに分割されるが、支柱だけでも軸までの高さが約78mに達するため基部の直径は4mを超え、ローターは直径82mにもなる。

メジャー風力発電機メーカーはドイツやデンマーク、アメリカ、中国などに存在し、部材は現地で製造される。そのため日本には船で運ばれ、発電所最寄りの港に陸揚げされてから部材を風車の設置場所まで陸上輸送する。今回取材で訪問したのは静岡県の御前崎から西に約20km離れた静岡県掛川市の海岸沿いの現場だったため、ドイツメーカー製の支柱と羽(ブレード)は御前崎港に一旦ストックされ、そこから風車の設置に合わせて随時輸送を行う。

そこでまず訪れたのは御前崎市の御前崎港だ。広大な敷地にはこれから設置される4基分の発電用風車が部材単位で並んでいた。風車はE−82と呼ばれる回転部(ローター)の直径が82mにもなる大きなモデルで、支柱の高さは数種類が用意される。掛川市に設置のタイプは支柱高さ78mで、発電容量は約3MWの「E4」仕様。支柱が78mもあるので支柱は太く、根元の部材では実に直径4.8mにもなる。

巨大なクレーンでドイツから海上輸送されてきた部材をこの敷地に下ろして保管、適宜トレーラーに搭載して風車の設置現場に向かう。この時敷地内には4基分の部材があった。人物との対比で大きさの想像がつくかと思うが、部材はいずれもとにかく大きい。いつもなら山のような威容を誇るスカニア+路上走行に許可が必要なほどに巨大なトレーラーさえも小さく見えるほどだ。

巨大な風車の輸送シーンでもスカニアが活躍

クレーンのオーソリティである株式会社ミックが運用するスカニアは、日本国内で購入可能な最強モデルでV8・730馬力エンジン「DC16 103」を搭載したR730の6輪駆動モデル(6×6)だ。ひときわ高い全高が「普通のトラックではない」雰囲気と迫力を与える。株式会社ミックのアイデンティティでもあるカラフルなボディカラーが、スカニアのヨーロピアンデザインを引き立てる。

それほどに大きく重い部材の陸上輸送はどうようにされるのだろうか。そこで活躍するのが巨大で重量がある物資を輸送できるパワーのあるトラクターとそれらの輸送に特化した大型トレーラーである。5つに分割された支柱、全長約40mのブレード3枚などをそれぞれ積んで運ぶのだが、部材が大きいため必然的に全長20m以上、全幅3.5m以上、車両総重量44t以上などのいずれかの数値を超える「超寸法・超重量車両」となってしまう。そのため一般道を走らせるには「夜間運行(21時〜6時まで)」「前後に誘導車を走らせる」などの条件が必要となる。今回の事例では陸揚げ港と設置場所の20kmほどを片道1.5時間から2時間ほどかけて輸送しする。一晩で2往復することもあるという。先導車は輸送車両の前に3台、後方に2台を置くとのことだ。

輸送には、クレーンによる陸揚げから現場までの輸送及び設置を行う株式会社ミック(本社:愛知県名古屋市)と、特に太く大きな部材については、兵庫県南あわじ市に本社を置く風車輸送のオーソリティであるマルショウ運輸株式会社が担当した。両社ともにスカニアを所有しており、今取材では株式会社ミックが国内で購入できるスカニアの最高出力モデル「R730」の6輪駆動(6×6)が2台、そしてマルショウ運輸のR580が1台、合計3台のV8スカニアが活躍していた。いずれも3軸の重量物輸送仕様で、背も高くバンパーのデザインなどが異なるR730は超寸法・超重量車両にふさわしい迫力を備える。大きな部材の安全確実な輸送をサポートするスカニアの力強さを象徴するようなモデルだ。マルショウ運輸のトレーラーはセンター部が丸くえぐられており、支柱の輸送に特化した仕様であることがわかる。同社では、風車の部材を運ぶ車両が入れないような市街地や山岳地、急カーブにも自走で入っていける特殊車両(ゴールドホファー製6軸トランスポーターFTV300)を所有するなど風車輸送に関して積極的な取り組みを続けている。

支柱のうち直径が大きなパーツについては、風力発電用風車輸送に力を入れるマルショウ運輸株式会社が輸送を手がける。同社が保有するスカニアはR580で、こちらも580馬力のV8エンジンを搭載するスカニアきってのハイパワーモデルだ。

スカニアトラクターが牽引するこのトレーラーで支柱を運搬する。最大積載量は80.3t、車両総重量は93.3t!スカニアR580の高出力高トルクが活きる。全長は通常で合計20m、トレーラーを伸ばすと24mになるためスカニアも小さく見えてしまう。

知られざる巨大な風力発電用風車の設置方法

海岸沿いで設置が進む新しい風車。設置中の光景は見たことがないのでとても新鮮だ。すでに支柱と発電機を収める部材(ナセル)は組み立てが終わり、これからローターを取り付ける。

そうしてスカニアが運んだ部材は設置場所でクレーンによって組み立てられる。この場所で設置を行った株式会社ミックは8t〜3,200t級まであらゆる機種を取り揃えたクレーンにとても強い専門会社で、風車の設置でも1993年以来数多くの実績を誇る。設置場所は同社が本社を置く愛知県近郊に限らず、日本全国で工事を行っている。設置に関わる調査・計画段階から一括で参加できるのも同社の大きな強みだ。

風車の設置場所にはまず基礎が作られる。基礎の上に、支柱(タワー)を下から積み上げていき、トップに発電機を収めるナセルが上に載せられる。ローターを構成するハブとブレードは地面で組み立てられ、これもクレーンで軸に装着されて外観が完成する。積んでいく作業はクレーンによるが、それぞれの部材の結合は内側から人力で行うという。その後支柱内に管理用エレベーターの設置などを行って完成となる。設置には最短で10日ほどかかるが、風車が置かれる場所はそもそも風が強い場所なのに風速5m以上では安全のためクレーンでの作業が止まってしまう。設置工事は常に風を見ながら行っているため、風が収まるまでずっと待つこともあるとのことだ。

すでにほぼ工事が終わった別の風車を遠望する。よく見ると、発電機を収めるナセルに人が乗っているのがわかる。スタッフのいる高さは約80m近くあるだろうか。手前の棒状のものは高所作業車のバスケットだ。ブレードはワイヤーで回転しないよう固定されているが、この時はそれを外す直前だった。風車はドイツメーカー製「E−82」で、82という数字はローターの直径を示す。

設置現場で出迎えてくれた株式会社ミックのもう一台のスカニアR730。積載しているのは「風車を設置するためのクレーン車のブーム(伸びる部分)」で、これだけで驚きの76t。何もかもが桁外れ!

そのクレーンが写真左側に写るクレーン車「リープヘルLTM11200NX」で、1,200tを持ち上げることができる世界最大級の超巨大なクレーン車である。ブームを積んだままだと高さと重量の規制で公道を走行できないため、このスカニアが別に運んできた。なおリープヘルもドイツのメーカーだ。

取材日の段階ではすでに支柱の積み上げとナセルの設置は終了しており、残すはローターを結合するのみだった。現地には見たこともないような自走式の巨大なオールテレーンクレーン車、ドイツのリープヘル社製の「LTM11200NX」がアウトリガーを広げる準備に取り掛かっていた。LTM11200NXは18輪で全長約20m、全幅3mもあり、なんと1,200tを吊り上げることができる。支柱の運搬を終えたスカニアは、このクレーン車のブーム(伸びる部位)を積んでここまで来た。LTM11200NXが愛知県から自走で来たことも驚きだが、ブームを載せたままでは高さと重量の規制で道路を走行できないので別に運んできたブームだけで76tもあると聞いてびっくり。重量物を持ち上げるクレーンの世界の凄さを感じることができた。

設置前、現場に置かれたブレード。長さ約40m。分割はされず1ピース構造。巨大だがFRPなどで作られており重量は約10t程度に抑えられている(それでも10tもあるのだが)。ブレードの端部にあるギザギザは静音効果があるとされる。

SF映画の宇宙船のようなパーツは、ローターの中心となるハブ部分。3枚のブレードが刺さる。取材開始から見ているもの全てが大きいのでだんだん感覚が麻痺してくるが、これも相当大きなパーツである。これらも全て御前崎港からトレーラーで運ばれてきた。なおブレードの根元は風に合わせてピッチを自動で可変させることができる。

風車に関する様々なことをわかりやすくお話いただいた株式会社ミック エネルギー事業部 三井 弘氏。愛知県の本社に属するが、風車の設置工事があると数ヶ月単位で現地に出向くという。

重量物を運んでわかる、スカニアの良さ

重量がありサイズも大きな部材をスカニアで輸送する株式会社ミックのドライバーにも話を伺うことができた。現場を明るく盛り上げる大岩 昌親氏は、「発進時など含め全般的にとてもスムーズ。パワーはありますね。遠距離輸送をしても疲れないです。シフトチェンジのタイムラグがないことと、停まるときのリターダーの強さが素晴らしい。ブレーキもそもそも効きます」。同じくスカニアを運転する山田 敏裕氏は「シートが良く、乗り心地も良いです。ステアリングの安定感が気に入っています。視界も良いですね」とのスカニアへの感想を語ってくださった。

スカニアは長距離の運転でも疲れないと語る、株式会社ミックでスカニアを操る大岩 昌親氏。

同じくスカニアのドライバーである株式会社ミック 山田 敏裕氏は、ステアリングの安定感の高さをスカニアの良さにあげた。

徐行で数時間かけ重量物を深夜に輸送する中で、また輸送エリアまで大型車両を自走させるにあたり、スカニアの持つハイパワーと微速・低速にも強い12段AMT(セミオートマチック)「オプティクルーズ」や強力なリターダーが大いに役立っているという印象を受けた。スカニアが巨大な部材を運び活躍している姿を目にして、そして実際に運用されている方々のお話をお聞きして改めて感じたことは、重量物輸送……しかも超寸法・超重量車両の牽引にスカニアの強みが遺憾なく発揮されているということ、スカニアが私たちの日常生活に欠かせないシーンをしっかりと支えていることへの嬉しさだった。

なかなかお目にかかれない深夜の“重量物輸送の隊列”に、もしあなたがスカニアを見かけたら、その活躍を是非応援して欲しい。そして日々当たり前のように使っている電気やエネルギーが多くの人々による大変な努力で生み出されていることに、心から感謝をしたいと思うのだ。

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御前崎港で働く株式会社ミックの皆さんと。部材の大きさ、R730 6×6の高さがわかる。

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スタッフは皆さん明るく、そして逞しくカッコイイ。私たちが使う電気の一部は、彼らによって設置された風車によるものだと言っても良いだろう。大事に使いたい。

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大迫力のR730 6×6のカットをもう一つ。6輪駆動スカニアはバンパーとタイヤとホイールアーチの間隔の広さなどで判別できる。乗降用ステップは1段増設されている。

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R730 6×6が履くタイヤはミシュランのトラックタイヤ、XDA 12.00R24。V8のロゴがホイールアーチサイドに輝く。

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そびえ立つ排気管と風車の支柱のコントラスト。風車はローターを取り付けた後、支柱内部に発電機点検用のエレベーターを設置する。それまでは上まで支柱内のタラップをひたすら歩いて昇降するそうだ。

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最近海岸沿いで見る機会が増えてきた風力発電用の風車。その設置場面を見ることができる貴重な機会となった。

Text:遠藤 イヅル
Photos:YosukeKAMIYAMA

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