Scania Japan

スカニアは日本市場に付加価値がある製品・サービスと新しいマインドセットを与えたい〜スカニアジャパンCEO、ミケル・リンネル氏に聞く〜

就任2年目を迎えたスカニアジャパンのCEO ミケル・リンネル氏にインタビュー

スウェーデンに本社を持ち、世界規模でトラック・バス・産業用エンジンを提供する『SCANIA(スカニア)』。その日本法人であるスカニアジャパンは2009年の設立後、サービスネットワークの拡大、販売数の増強を絶やさず進めて来ました。街行くスカニアを見る機会もぐんと増え、スカニアブランドの知名度も大幅に増しています。そしてスカニアジャパンでは2017年6月、前CEOヨハン・ルンデン氏に代わり、同氏と同じくスウェーデン出身のミケル・リンネル(Mikael Lindner)氏が新しいCEOとして就任しました。

そこでGRIFF IN MAGAZINEでは、就任して2年目を迎えるミケル・リンネル氏にインタビューを行いました。リンネル氏はスカニアUSAのCEOという前職を持ち、アメリカ(カナダ含む北米)市場でのスカニアブランドの成長に大きく寄与した輝かしい経歴の持ち主です。今回のインタビューでは、この1年間で日本市場に接したご感想、スカニアが考える「持続可能性=サスティナビリティ」、そして今後の日本市場での展望についてお聞きしました。

スカニアは日本市場に付加価値がある製品・サービスと新しいマインドセットを与えたい〜スカニアジャパンCEO、ミケル・リンネル氏に聞く〜

スカニアにとって魅力的な日本市場

──スカニアジャパンのCEOに着任されて、ちょうど1年が経ちました。この間、日本のトラック・バス市場やカスタマーに触れられて、どのような感想をお持ちでしょうか。

「とても興味深い部分と、挑戦したい部分があります。興味深い部分としては、日本はスカニアにとって大きな市場であり、多くの良い機会があること、そしてスカニアを応用できる様々な分野に対するニーズがあることです。また日本では他の市場に比べてトラックやバスを販売する商用車メーカーの数が少なく、しかもそのほとんどが国産です。その市場に入っていくことは、私たちにはチャレンジなのです。

日本のマーケットのなかにスカニアの居場所があると感じています。それは、今までなかったようなマインドセット(企業の考え方)、そして今までなかったオペレーションを日本のお客様にもたらしているからです。2017年10月に新モデルのスカニアを発表し、続いて4月から受注開始したことで、今まで他社が提供していなかった輸送の手段や包括的なソリューションをお客様に提供できると考えています。

その一方で “持続可能なサスティナブルシステム”というものを考えたときに、日本の企業ではその言葉を最近まであまり使ってこなかった印象があります。日本のすべてのお客様は、利益を出すことについてよく理解をされています。それは企業が長く続くためには必要なことですが、社会的な貢献や環境に対する持続可能性に関しては、必ずしもすべての企業がそれを感じていないように思います。スカニアでは、今は持続可能な輸送手段のための転換期を迎えている時期だと考えています」

スカニアは日本市場に付加価値がある製品・サービスと新しいマインドセットを与えたい〜スカニアジャパンCEO、ミケル・リンネル氏に聞く〜

──日本も環境意識は高いと思います。しかしサスティナビリティの概念を日本のトラック・バス市場に浸透させるのはなかなか難しい部分があるかもしれません。どのように展開をされていくイメージでしょうか。

「日本のマーケットには、サスティナビリティの概念に理解を示し、高い優先順位を持っている企業もあります。サスティナビリティという考え方を市場に広めるため、私たちもアイデアを提供します。利益を求めるだけではなく、環境への配慮にも重点を置き、それをどのようにしてビジネスと結びつけるかが大切だと考えています。

そして私たちは、新技術で新しいものを作り出すことだけでなく、今あるものをどのように効率的に長く使えるようにするかにも着目しています。具体的な例の一つとしては、スカニアが重要視する燃費効率の向上です。お客様の業態やオペレーションに合った最適なエンジンやモデル(車両)を提案し、ベストな燃費を達成することでムダをなくし、持続可能な社会に貢献できると考えます」

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持続可能性のためのアクションが企業の利益を生む

リンネル氏は続けて、持続可能性という概念の重要性を語りました。

「これは一般的な考えなのですが、環境に優しいことをしようとすると『お金がかかる』というイメージがあります。スーパーマーケットでもオーガニックな食品は一般的に高価です。自動車業界にも同じことが言えます。例えば電気自動車を買おうと思うと、環境に優しいことをするためには高価な買い物をするイメージが強い。

ところが、私たち輸送用機器業界、運送の世界では持続可能であるということと利益を得ることを一緒に行うことができます。例えばドライバーのトレーニングを行ってドライバースキルを向上させることによって、より効率的なエネルギーの使い方が可能になり、その結果、経費を下げることができます。つまり、持続可能性のために行うアクションが、直接お客様の利益につながるのです。

このように利益と持続可能性が両立することをご理解いただくのが大事です。お客様の収益とコストを考えることは、スカニアにとってたいへん重要なことです。お客様の利益は優先され、お客様に利益が生まれれば、私たちスカニアにも利益がもたらされる、と考えているからです」

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エコロジーはサスティナビリティという言葉の一部

──2018年3月、スウェーデン大使館で開催された「ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2018 プレイベント」にて、サスティナビリティに関する講演、そして実際のユーザーを招待して「持続可能な輸送システム」と「社会的責任」真剣にディスカッションするシーンを拝見しました。素晴らしい取り組みだと感じました。

「ノーベル・プライズ・ダイアログ東京2018 プレイベントで興味深かったのは、会場で実際に行われた議論の内容でした。その結果に満足しています。確かにサスティナビリティという言葉について多くは語られませんでした。しかし、それに近い考えはお持ちなのです。つまり『持続可能性』ではなく『環境について興味がありますか』とお聞きすると、皆さん素晴らしいアイデアが出てくるのです。私は、エコロジーとはサスティナビリティという言葉の一部だと考えています」

──「エコロジー」というアプローチでしたら、サスティナビリティについて理解が進むかもしれません。

日本市場に定着し、スカニアの良さを訴求したい

──GRIFF IN MAGAZINEの取材を通じて感じるのはスカニアのさらなる躍進です。この1年間で手応えを感じていらっしゃいますか。

「スカニアは自身のプロダクトにとても自信を持ち、日本市場に正しい製品を提供できていると思います。とてもよい反応もお客様からいただいています。さらに私たちスカニアのマインドセットが日本の文化にマッチしていると考えています。

また、私たちが情熱をもって取り組んでいるのは、日本市場に適した製品をご提案し、日本の市場に腰を据えることです。またお客様に対して私たちの取り組みをどのように訴求するか、ということもチャレンジです。日本ではお客様とメーカー、サプライヤーの信頼関係を大事にされていて長期間にわたる関係が重要視されます。まずはスカニアを知っていただく、試していただく機会を得ることが大事です。それも、日本に対してチャレンジが感じられるところです」

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──国産メーカーが製造していないモデルをカタログに用意している現在のスカニアジャパンのラインナップは適切だと感じています。しかし一方で、それらはニッチな市場でもあります。今後は日本市場に対してどのような展開を考えていますか。

「良い質問ですね。スカニアはとても幅広いレンジの製品を提供しており、お客様の用途に合わせたそれぞれのオペレーションに特化した製品と、より効率的な輸送をかなえる包括的なソリューションを提供し、付加価値を付与することができます。ご存知の通り、スカニアジャパンは付加価値を与えられる市場から製品の販売を開始しまして、重量物運搬用の6×4、4×4トラクター、特殊な用途に向けた8×4のトラックなどでとても成功しています。確かにこれらはニッチなマーケットで、スカニアが提供できる仕様やアプリケーションは国産メーカーがお持ちでないものが多いです。

一方で私たちのビジネスを継続させるためには、やはり市場にボリュームを求められるセグメントに広げていく必要があります。さらに、ビジネスを拡大する際に大切なのは、サービスネットワークです。製品を売り始める前にサービスの供給状態をまず確認しなければなりません」

──新モデルが21年ぶりに登場しました。どのような評判が届いていますか。

「私たちの元には、優れた燃費、スムーズなハンドリング、静粛性、安定性、高い快適性など、とても効率的で乗りやすく快適なトラックだというお客様の声が届いています。この声をとても嬉しく思います。日本のマーケットに受け入れられた、という手ごたえを感じています」

最後に、リンネル氏は今後の展望も話しました。昨年秋の東京モーターショーに出展して新モデル スカニアをジャパンプレミアするなど積極的な展開を進めているスカニアジャパンでは、2020年に向けてとても興味深い製品がいくつか考えられているとも。今後も試乗会の実施やノーベル・プライズ・ダイアログ東京2019への参加、2019年の東京モーターショーへの出展のほか、2020年の東京オリンピックにも何かしらの形で参加したいとのことです。

GRIFF IN MAGAZINEでは、これからもスカニアの新しいチャレンジに注目し、最新の情報をどこよりも詳しく掘り下げてお送りいたします。お楽しみに。

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Text:遠藤 イヅル
Photos:横山 マサト

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