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日本の重車両をSCANIAが変えて行く!「BANDO EXHIBITION 2017」をレポート

阪東自動車工業が主催している特殊車両展示会「BANDO EXHIBITION 2017」。トラック、トラクターはすべてスカニア製。多種多様なシャーシが用意されており、様々なオーダーに応えることができるスカニアの魅力をレポートした。

重量機器、重車両を得意とする「阪東自動車工業」が展示会を開催

2017年4月14日(金)〜16日(日)にかけて、大阪府大阪市住之江区のアジア太平洋トレードセンター・ATCホールピロティ広場にて「BANDO EXHIBITION 2017(阪東自動車工業展示会)」が開催された。この展示会は大阪府東大阪市に本社を構える「阪東自動車工業株式会社」が同社クライアント向けに主催するもので、2014年も同じ場所で行われて以来2度目の開催となった。阪東自動車工業は重量物輸送用の機械、重車両の取り扱いを得意とする企業のため、展示された車両たちはいずれも普段はお目にかかることが少ない高所作業車やクレーン車、橋梁点検車、長大なトレーラーなどで、さらにトラック・トラクターはすべて『SCANIA(スカニア)』製という濃密な展示が行われたイベントだった。そこで今回のGRIFF IN MAGAZINEではトラックファン、スカニアファン、そして建機や特装・特殊車両ファンにはたまらないイベント「BANDO EXHIBITION 2017」の模様を、なぜスカニアがこれほど集結したのか、という興味深い話を交えながらお送りしたい。「重車両」と「世界有数のトラック・バスメーカー、スカニア」が関係した理由は必読である。

大阪南港ATCホールのピロティ広場で開催された阪東自動車工業の展示会。入り口では大型サインがお出迎え。取材当日は晴天に恵まれ、多くの招待客で賑わった。

トラック・建設機械ファンならずとも興奮する「巨大な重車両」がズラリ

「BANDO EXHIBITION 2017」が開催される大阪湾に面した会場に足を踏み入れたとたん、目の前にはスカニアのトラック・トラクターが並ぶ迫力ある光景に胸が踊った。心を落ち着かせてこれらの車両を改めてじっくり見てみると、その多くが荷台部分にクレーンなどの機械を架装してあることに気づく。展示会の訪問取材にあたり事前にどのようなイベントなのかをある程度把握して会場入りするのだが、このイベントはその予想を遥かに越える「知られざる、縁の下の力持ち」のような興味深い車両たちが並び、より大きな規模の建設機械を展示するショーやトラックのイベントにも劣ることがないと感じた。

ご存知の通りトラックはキャビンの後部に伸びたフレームの上に様々な架装を行うことが可能だ。パネルバン、冷凍車、ダンプカーやミキサー車、クレーン車などその種類は多岐にわたり、これらは路上や建設現場などで目にする機会も多い。だが、「BANDO EXHIBITION 2017」に並んでいた車両は特に車両自体が巨大な「重車両」や重量物運搬に特化されていたのが特徴だ。しかも、機械の多くが海外製品ということが特筆される。具体的には伸長すると全長47mに達する長いイタリア製トレーラー、35tもの重量物を吊り上げることが出来る日本製クレーン車、最大地上高さ56mまでオペレーターを運ぶだけでなく、水平にもブームを展開出来るフィンランド製の高所作業車、さらに25階建て以上のマンションに相当する90mという国内最高峰の高さでの作業を実現した、こちらもフィンランド製の高所作業車、荷台に備えたアームとバスケットが橋の下に回り込むことで点検を容易としたドイツ製の大型橋梁点検車など、日常生活ではなかなか見ることが出来ないものばかりだ。存在さえ知らなかった、という読者も多いのではないだろうか。

筆者はトラックや建設機械が好きなので大興奮していたのだが、同行した女性の取材スタッフも、今まで見たことがない「働くクルマ」の機能が形を作る魅力に取材中ずっとワクワクしていた。

広場に入ると、クレーン車、トラクター、高所作業車など阪東自動車工業が取り扱う「重車両」が並ぶ。ベースのトラックはすべてスカニアの車両だ。これだけ一堂にスカニアの珍しい特装車両が見られる機会もなかなか無いと思われる。

キャビンが低く乗降性に優れた「Pシリーズ」は今後日本での展開が期待されるモデル。このモデルは日本では大変珍しい前1軸・後ろ3軸の「P410(8×4*6)」で、12.74ℓ・インタークーラーターボ付き直6エンジン「DC13 115」を搭載。後ろ3軸のうち前側2軸が駆動軸となる。架装されるクレーンは日本が誇るクレーンメーカー、タダノが新開発した35t吊りクレーン「OC-350N」。

伸長すると全長47mに達するイタリアのコメット(COMETTO)製「XA4TAPLL」トレーラーを牽引する状態で展示されていたのは、スカニアRシリーズの「R580」トラクター。

重車両の取り扱いに長ける阪東自動車工業では、重量物を運搬するトレーラーを牽引可能なトラクターの販売も行う。高出力で燃費に優れているスカニアは最適な選択の一つだ。この日も来場者が興味深くスカニアのトラクターを見学する姿が見られた。

スカニアトラックをベースにした高所作業車の体験試乗も 

天空に伸びゆく各種クレーンのデモンストレーションが賑やかで楽しい。ファンならずともワクワクする光景だ。

中でも最大地上高90m(床面88m)まで上昇が可能なフィンランドのブロント(BRONTO)製の高所作業車「S90HLA-X」のバスケット(ゴンドラ)試乗体験は大人気。90mは25〜27階建てのマンションに相当する。

高所作業車「S90HLA-X」のブームが春の空に向かってぐんぐん伸びていく。だが、ここからさらにバスケットは上昇。その高さは、少し上を見たくらいでは視界に入らないほどだ。

展示会はハイライトが多く見応えがあったが、特に驚かされたのが最大地上高90m(バスケット床面88m+オペレーターで合計90m)を誇る高所作業車のデモンストレーションだった。高所作業車は日本でも珍しい車両ではないが、街中で電気・通信工事、ビル外壁工事を行っている2t〜3.5tクラス(日本式の呼称)のトラックをベースとしたタイプは最大地上高がおおむね8〜15m、ビルの外壁や看板工事などで目にする4t〜8tクラスだと20m〜30mが主で、それ以上の大きさの高所作業車はなかなか見る機会が無いように思う。それが50m超、90m超で5つも車軸を持つトラックともなれば、その迫力や車体サイズの大きさ、ブームの長さ、高さにはただ驚くばかりだった。

しかも高さ90mを誇るフィンランドのブロント製高所作業車「S90HLA-X」のデモンストレーションでは、バスケットにオペレーターと同乗して実際にその高さに上ることまで可能だったため、来場者の多くが高さ90mのバスケットから見る未知の世界を体験していた。来場の招待客は一般の来場者ではないため建設機械や特殊車両に慣れ親しんだ方が多いのだが、90mまで上がって降りて来たあとは、さすがに恐怖にこわばった顔が安心に変わったような安堵の笑顔を浮かべていたのが印象的だった。でもまさか取材チームもその笑顔をこの後体験することになるとは…(笑)。

こちらも同じくフィンランドのブロント製高所作業車「S56XR」で、ベースのトラックはPシリーズの「P410」。軸配置は一般的な前1軸、後ろ2軸の「6×2」。56m(床面54m)の最大地上高を誇る。バスケットの最大許容荷重は700kg。キャビン上のオレンジ色の回転灯が作業用車両らしさを醸し出す。普段見慣れない特殊な車両なので、この状態で展示されているだけでワクワクしてしまう。

「S56XR」は上方向だけでなく真横方向に37.5mもブームを伸ばせるため、川の向こうに重車両が入れない状況などでも対岸の作業を可能とする。これはそのデモンストレーションの様子。

スカニアが阪東自動車工業の取り扱い車種に選ばれる理由

ところで、阪東自動車工業が発売するこれらの機械や車両は、なぜ海外製、スカニア製が多く選ばれているのだろうか。阪東自動車工業 貨物車部 佐竹 庸寿氏に、その理由をお伺いしたところ、とても興味深いお話をお聞きすることが出来た。
「わたくしたちの会社は、もともとは重量物専門機械であるリフターやクレーン車などを国内クレーンメーカーと協力して開発を行っていました。現在では海外メーカーの優れたクレーン車や高所作業車、橋梁点検車などを国内のクライアント様に向けてご紹介・販売を手がけています。海外メーカーの製品は日本で製造される機械よりも大きく実用性が高いものが多く、一方で重量もかさむ傾向があります。これらの機械を載せるためのトラックが必要になりますが、日本の法規では1軸あたりの荷重が10tまでと決められています。でも現在国内のトラックメーカーでは現在後ろの軸が2軸までのトラックしか存在しないため、トラック後部に20t以上の重量物を載せられないのです。」

つまり、海外では日本製のクレーンや高所作業の機械よりもさらに大きな製品が存在しており、日本でも様々な用途での活躍が期待されるのだが、日本ではそれらを搭載出来るトラックが存在しないという事情があり、海外のような大きな機械や車両の導入が進んでいない。これらが日本で使用されていないのは、日本の狭い道路事情などは関係が無く、あくまでも日本の法規やベース車両側の事情によるということになる。日本でも90mまで届く高所作業車、横方向に37.5mもブームが伸びる高所作業車があれば作業効率は大きく向上するのは言うまでもない。

阪東自動車工業とスカニアの関係や日本の重車両事情を長い時間をかけて話して下さった、阪東自動車工業 阪東自動車工業 貨物車部 佐竹 庸寿氏。同社主催のイベントでお忙しい最中だったが、とても丁寧にご対応いただいた。

そこで阪東自動車工業は、海外の優れた機械を日本に導入するためのパートナーにスカニアを選んだ。スカニア製トラックは世界規模で販売されているし、シャーシに架装するクレーンや機械部分も海外製品であるのならば、海外では当たり前のこの組み合わせを日本に導入すればよい、ということがその理由だ。阪東自動車工業はこのようにして最新の海外製機械をスカニアのトラックに載せて日本で販売をしている。これは同社の強みである重量機器と、スカニアの強みがガッチリ手を組んだ成果でもある。なお国内クレーンメーカーのタダノも、スカニアにしか架装できない35t吊りの大型クレーンを新開発した。以前なら日本で走るクレーン車のトラックが海外製ということはほとんど無かったし、国内クレーンメーカーが選んだトラックが国産トラックではないことも考えられないことだっただろう。

このようにいま、日本の重車両はスカニアの存在が大きく変えていると言っても過言ではないのだ。

日本に導入される世界各国の優れたクレーン車や高所作業車のベースがスカニアになる理由がこの写真に示されている。その秘密は「後ろ3軸」というレイアウト。高所作業車「S90HLA-X」のベースは「P450」の5軸で、こちらも日本ではまずお目にかかれない仕様だ。自分がいま大阪にいるのかどうか目を疑ったほど。キャビン高さが低いため、ブームを折り畳むクレーン車でも全高を抑えることが出来る。

佐竹氏によると、同社が取り扱う車両の中でも橋梁点検車の需要が拡大しているという。近年日本でも橋梁やトンネルの老朽化がクローズアップされ国土交通省では全国の橋梁の点検を順次進めている。国土交通省のレポートによれば橋梁数は全国で約70万橋にも及ぶが、点検をしながらも未点検の橋の老朽化も並行して進んで行く。建設後50年を超えた長さ2m以上の橋梁は2023年頃には43%、2033年頃には67%に達すると予測されており、橋梁点検の重要性は今後もますます増えて行くと思われる。

また佐竹氏は、スカニアを採用する利点としてフレームが頑丈であること、強力なリターダーと排気ブレーキによりブレーキパッドの保ちが素晴らしく、40万キロを走行してもまだ充分にパッドが残っていた事例があったこと、パワーがあるため重い機械を積んでも走行性能が良いこと、エアサスペンションによる優れた乗り心地などを語った。

スカニア+タダノ35tクレーンの前で穏やかな笑顔を湛える阪東自動車工業 専務取締役 髙木 伸治氏。重車両に特化した同社の強みを教えて下さった。

続いて阪東自動車工業 専務取締役 髙木 伸治氏にお話をお伺いした。髙木氏は、同社の製品について「日本の市場では出来なかったもの、無かったものを提供する」と仰った。スカニアとの関係は、スカニアジャパンが設立される前からあるという。同社が各社に販売した海外製クレーン車や高所作業車は昨年4月の地震で被災した熊本エリアや、福島の原発の工事などの復旧作業にも使用されており、橋梁点検車を含め活躍の場所は日本各地に着実に広がっているとのことだった。

載っているクレーンが重い場合トラックの後ろの軸を増やさないと対応出来ないが、現在国内トラックメーカーでは後ろ3軸を提供していない。このモデルはクレーン部が国産メーカーのタダノだが、キャリアとなるトラックが国内メーカー製ではなくスカニアが選ばれたことは注目に値する。

こちらはドイツのモーグ(MOOG)製「MBI 140-1,4S」橋梁点検車で、ベースは「P410」。前1軸、後ろ4軸という驚きの軸配置だ。阪東自動車工業の取り扱う重車両のバリエーションの多さと、スカニアジャパンが用意出来るトラックの柔軟性の高さに目を見張る。それにしても、「働くクルマ」でもトラックは魅力的だが、機能美に溢れるスカニアの特装車両は群を抜いてカッコいいように思う。

スカニア製品は様々な面で優れたところがある、と語る阪東自動車工業のエンジニア、長澤 幸三氏。

佐竹氏は阪東自動車工業のスタッフを「少数精鋭」と評したが、まさにその少数精鋭のひとりでモーグ・ブロント製品のエンジニアとして活躍する長澤氏も、スカニア製品への感想を話して下さった。
「モーグ・ブロント製品が架装されるベースとなるスカニアのメンテナンスも手がけています。スカニアはアフターサービスが良いですね。部品に番号が付いていることがとても助かります。どのトラックにどの部品が付いていたかをすべてデータベースで追いかけることも出来ます。また、お客様からトラック自体の乗り心地が良いことと、パワーがある、という評価もよく頂きます。そのため、スカニアを採用するユーザー様は重量物輸送の企業が多いです。」

優れた機械があって、初めて需要が生まれる 

最大地上高さ90mを誇る高所作業車「S90HLA—X」を導入したユタカ電建工業株式会社 代表取締役 武村 秀隆氏。私たちが日常生活では触れる機会の無い「橋梁点検車」についてのお話をお聞きすることが出来た。

今回の展示会で人気を集めた高所作業車「S90HLA-X」による高さ90m体験をプロデュースして下さったのが、大阪・摂津市に本社を置くユタカ電建工業株式会社である。ユタカ電建工業は1972年の設立後、電気工事・造船所向けの高所作業車のレンタルに着目、1990年代以降は橋梁点検車をオペレーター付きでレンタルする事業を主に手がけている。現在はモーグ製橋梁点検車を5台有するが、そのうち一台はスカニア製シャーシを持ち、現在さらに1台追加の予定である。クライアントは主に日本道路公団が改組されたNEXCOなどのインフラ系企業の依頼が多い。なお、同社が所有する「S90HLA-X」は国内最大級の高さを誇る高所作業車で、2017年4月現在日本国内には1台しか存在しないが、このサイズになると風力発電用風車の羽根の点検も可能となり、今までの高所作業車では出来なかった作業への対応も期待される。

代表取締役の武村氏によると、高さのある高所作業車や橋の下を効率的に確認出来る橋梁点検車のような「これまで存在しなかった機械」の特徴は「機械があって需要が生まれる」ことだという。このような便利で優れた機械があることを知ると、クライアントである自治体や企業がより効率よく安全な作業が出来る作業方法にシフトしていくのは当然だと思った。そのためこのような機械はいったん知名度があがって稼働を始めると、台数がどんどん増えていく傾向にある、とのことだった。

ところで同社ではオペレーター付きで各種車両をレンタルしているが、「S90HLA-X」のように海外製で取り扱いに専門知識が必要な場合は、阪東自動車工業と同様にオペレーターが海外に出張してトレーニングを行い、帰国後もそのスタッフ以外は操作しないようにしているという。

スカニアの強みは「世界規模のメーカー」であること

 

スカニアジャパン株式会社 西日本事業部 プリセールス キーアカウントマネージャー 木内 博之氏は、阪東自動車工業とスカニア製品の美点をマッチングさせる立役者のひとり。

最後にスカニアジャパン株式会社 西日本事業部 プリセールス キーアカウントマネージャー 木内 博之氏に、どのような方法で日本に海外製機械を載せたスカニアトラック(しかも日本では見たことがないような特殊な仕様)を持ってくるのかが気になったので、「機械は日本で架装しているのですか?」とお伺いした。
「いいえ、海外でトラックに機械を載せて、トラックごと日本に輸入しています。海外ではごく一般的に海外製機械メーカーがベースとしてスカニアを選択しますので、その方が効率はずっといいのです。スカニアが世界規模のメーカーであることが大いに利点になっています。国内トラックに海外製機械を載せるのももちろん可能で、かつてはその組み合わせもあったのですが、設計の流儀が異なる日本製品と海外製品の差を越えるための仕様変更や改造が必要となり、改造効率やコスト面で不利になります。つまり、『欧州の機械は欧州のトラックに合う』のですね。」

たしかにワンオフに近い仕様を改造で作り上げるより、元から存在しているモデルやそれに近い仕様を現地で日本仕様として組み上げて持って来た方が効率は良い。しかもスカニアには、前1軸・後ろ4軸や前2軸・後ろ3軸などの多種多様なシャーシが用意されているため、様々なオーダーに応えることが出来るのだ。スカニアジャパンでは一般的なカタログモデル以外にも、このような一見特殊なカスタムメイドのモデルの輸入も可能としていることは特筆に値する。この柔軟性の高さは、スカニア製品の世界規模での展開とシャーシラインナップの多さ、そしてあらゆる国内ニーズに細やかに対応するスカニアジャパンならでは、と言えるだろう。

阪東自動車工業とスカニアジャパンのタッグによる優れた車両の導入が、今後も一層進むことを期待したい。

Text:遠藤イヅル
Photos:横山マサト

6輪駆動(6×6)のトラクター、「R730」も展示された。搭載される「DC16 103」エンジンは16.35ℓ+インタークーラーターボにより730psを誇る。フロントホイールとキャビンのただならぬ隙間、そして高い車高が全輪駆動車であることを力強く物語る。

美しい濃紺に塗られたトラクターはRシリーズの「R580」。Rシリーズは高い快適性を誇るスカニアのトップモデルだ。V型8気筒エンジン「DC16 102」はインタークーラーターボを備え、16.35ℓの排気量から580馬力を発生する。

イタリアのコメットが製造する「X54AP」5軸伸縮トレーラー。長い尺の積荷の場合は、エクステンションを挟んでトレーラーを前後に延長する。トレーラーの車輪は外部作業者からのリモコンでステアリング(操舵)が可能となっており、主に後進で荷下ろし場所などに入る際に威力を発揮する。

最大で50m近くまで荷台を延長出来る。こちらもコメット製となる「XA4TAPLL」50mトレーラーを牽引する「R580」はこちらも6×4と呼ばれる後輪2軸が駆動するタイプで、写真のモデルのリアサスペンションはリーフ式。ロードホールディングに優れ揺れが少ないことから精密部品の輸送に強いエアサスペンション装備が一般的なスカニアだが、このようにリーフ式のモデルも選択が可能だ。

最大積載量が40tをオーバーする「XA4TAPLL」型トレーラーは、最長約47mまで荷台を延長出来る。スペースの関係でこれでもまだ伸ばし切っていないとのことだが、はるか彼方に見えるトラクターの位置と、海辺に立つ風力発電機の巨大な羽根1枚を積んで運搬可能というサイズ感からこのトレーラーの長さをご想像いただきたい。

あまりにも巨大なので、このトレーラーにも後輪ステアリング機構が備わる。それでも最小回転半径は40mを越えるというのだから、そのスケールには驚くしか無い。なおコメット社はスペースシャトルや巨大船舶なども運搬出来るサイズの輸送機器を多数製造している歴史あるメーカーである。

タダノ「OC-350N」のブームは最長15mまで伸長可能。アウトリガを展開し、クレーンを動かすデモンストレーションを行った。アウトリガは2.08m、4m、6.1mまで3段階で張り出せる。油圧でクレーンを作動させるオイルの容量は425ℓにもなる。

同じくタダノ製のクレーン「OC−200N」を載せるスカニア「G410」。「OC-200N」は20tまで吊り上げることが可能なクレーンで、ブームの最大長は12.4m。なおクレーンの動力は一般的にトラック自体のエンジンのパワーを「PTO(パワーテイクオフ)」という機構から取り出して得る。なお、この日はP、G、Rの各モデルがすべて揃ったため、キャビン部の高さの違いを見比べることが出来た。ヘッドライトと窓の下の黒いスリットが2本でPシリーズ、3.5本ではGシリーズ、4本だとRシリーズになる。Rシリーズはバンパー部自体もP、Gシリーズよりも高さがある。

このシャーシは3軸目がステア(一般のクルマの前輪のように切れる)出来るため、一番後ろのタイヤがシングルになっていることに注目。なおOC200Nを搭載した国産の3軸トラックも存在するが、3軸目がステア可能なのはスカニアだけである。OC200Nは新築ビルに機械や設備を搬入するために使用されることが多いが、新築のビル内に入って旋回などをした際、後ろ2軸だと3軸目を引きずってしまい真新しい床を傷つけてしまうためキズ防止の養生が必要となる。だが、3軸目がステアするスカニア製シャーシだと、この養生の手間が無くなり、作業の省力化に貢献する。

ドイツのモーグ(MOOG)製橋梁点検車「MBI 140-1,4S」を見ても、どうやって橋梁を点検するのだろう?と考えていたら、近くに展示されていたパネルで説明がなされていた。橋の上に点検車を停車してからアームを介してバスケットを下ろして橋の下に差し込み、バスケットに乗ったオペレーターが各部を点検するのだ。アームの大胆なアクションに驚かされる。巨大なアームが動く様子を見てみたい。

イタリアのイドログル(IDROGRU)製「KT90.23」クレーンを搭載したトラッククレーンも展示された。吊り上げ能力最大90トン(現地仕様)を誇る。これまで阪東自動車工業が国内市場に投入したどのトラッククレーンよりも全長が短くコンパクトで、かつ吊り上げ能力が高いことが特徴。シャーシはスカニアGシリーズキャビンを持つ6×4で、ベッドが無い“ショートキャブ”が新鮮。

本文でご紹介したフィンランドのブロント製高所作業車「S56XR」が横方向にブームを伸ばした様子がこちら。実際はさらに長く、真っ直ぐ伸ばせる。アウトリガはこのとき片側最大4.7mも展開可能。

日本に1台、世界でも数台という90m級の高所作業車「S90HLA-X」のベースは「P450」。エンジンはP410と同じDC13ながらも、「DC13 124」というハイパワー版を搭載。最高出力は車名数字の通り450馬力だ。転倒防止のアウトリガは片側3.6mずつ張り出す。

「S90HLA-X」のブームの先に見える小さなバスケットにはオペレーターと体験試乗の来場者が乗っている。なお、これでもまだ最大地上高の90mに達していない!

体験試乗者はずっしりと重い安全帯付きのベストとヘルメットを着用する。

バスケットがゆっくり上昇して行く。バスケットは600kgまでの荷重に耐えるので、オペレーター1名と体験試乗者3名が乗り込める。ブームを動かすコントローラーはバスケットに設けられている。

なんと取材班もバスケットに乗ることになった(涙)。上昇していくバスケットから下を見下ろすと、大きな重車両もこんなに小さい…。この日、バスケットに設置された風速計では5m/hほどだったが、時折揺れるのでとても怖かった。

ブームが伸びきっていよいよ90mに届くという景色。小さなバスケットの下は何も無いと思うと足がすくむ。

一番上に到達。90mが正面のビルよりも高いことが写真からもわかる。途中何回かほんとうに怖い気持ちになるのだが、ここまで来ると不思議とゆっくり景色を楽しむ余裕が出てくる。だが願わくば早く降りたいという気持ちも大きい。

スカニアジャパンのスタッフも体験試乗を楽しんだ。降りてくる時は楽しさと安堵でみな満面の笑顔。

スカニアジャパンは、Rシリーズの中でも特に居住性に優れた「トップライン」キャビンを持つデモカーを展示会に持ち込んだ。頭上の広大な空間にはベッドが収まる。右のモデルはハイラインなので、その差がおわかりになることと思う。

そしてこれが車内。二段ベッドは本格的な設えで、気持よい睡眠が得られそう。上段を利用する場合は収納式のハシゴを登る。スカニアのグリフィンマークが刻まれた本革シートはトラックとは思えない座り心地と質の高さ。

美しさと機能が高いレベルで共存する北欧デザインは、スカニアのコクピットにも溢れている。
ステアリングホイールにはクルーズコントロールなどのスイッチが並ぶ。

展示会のスカニアジャパンブースでは、スカニアファン垂涎のグッズが販売されており、来場者も購入していた。かくいう筆者も、Tシャツとスマートフォンカバーを購入。ほんとうは写真に写っているトレーラーの上に載るトラックのミニチュアが欲しかったのだが、持ち帰りが難しいので泣く泣く諦めた。

阪東自動車工業では車両の他にもこのような門型油圧リフターの開発、販売も行っている。こちらはタダノのスーパーリフター「TB−600」で、なんと60tまで吊り上げることが出来る。

そしてこちらはさらに上を行く120t吊りのリフター、「TB−1200」。これらのリフターは分解して運び、必要な場所で組み立てることが可能である。そのため鉄道高架工事の橋桁設置、道路や鉄道の古い橋脚の撤去工事、工場内でのプレス機設置工事など各種作業現場で活躍している。会場にどうやって運んだのですか?と尋ねたところ、分解してトレーラーでここまで運んで来た、との由。

モーグ社の橋梁点検車は、この「MBI-70」のようにキャタピラで自走出来るタイプも存在する。紅白幕部を橋桁、その上に渡された鉄板を橋と見立てると、鉄板に乗った「MBIー70」からバスケットが降りて橋の下を点検できるようにセッティングされていることがわかる。コンパクト設計のため、狭い場所でも点検が可能。もちろんこちらも阪東自動車工業の取り扱う製品だ。

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